31日のロンドン市場は、ユーロ高および円安での推移。東京市場からの動きが継続している。ユーロドルは1.43台後半から1.44台へと上昇、一時1.4425レベルと本日の高値を付けた。ユーロ円も堅調で、117円台に乗せると117.80レベルまで高値を伸ばした。対スイスフランでの巻き返しも強まり、ユーロスイスは1.22台前半から1.23手前の水準へと上昇している。ユーロ高の背景としては、東京市場でのギリシャ救済関連の報道が引き続き下支えとなっている。ユンケル・ユーログループ議長はEUがIMFによる対ギリシャ融資を確保するため同国に対する追加支援策を検討していると発言、またWSJによるとドイツはギリシャが新たな金融支援策を受けられるようにギリシャ償還期限延長を求める主張を取り下げる可能性を示唆した。ロンドン市場に入ってからの材料はあまり目立たないが、ドラギ次期ECB総裁候補は、今後も物価安定を重視するタカ派路線の継続を示していた。経済指標ではドイツの5月失業率は7.0%と予想通り、失業者数は8千人減と予想3万人減ほど改善しなかったが、全体の失業者数は3百万人を割り込んでいた。5月ユーロ圏消費者物価指数速報値は2.7%と予想2.8%よりはやや落ち着いていた。ユーロドルは1.44近辺から1.43台後半、ユーロ円は117円台半ばから前半と、東京市場からの高値水準を維持している。
◆円安継続、ドル円81円台後半へ
ドル円は81円台前半から一時81.77レベルまで水準を上げた。東京昼前に発表されたムーディーズによる日本の格付け見通し、格下げ方向で見直し、とのニュースが素直に円売り圧力となった。ロンドン早朝にもムーディーズは、見直しは大半のケースで格下げにつながる、と述べている。このほかにも投信設定に関連した円売り需要、MSCI指数の銘柄入れ替えなどが円売りの思惑を広げていた。月末特有のフローも意識されていたようだ。ドル円は81円台半ばで高止まりしている。クロス円も東京市場より水準を上げるものが相次いだ。カナダ円は83円台半ばから84円台乗せ、NZドル円は67円台前半でしっかりとした動き。ただ、豪ドル円は87円台半ばを目指すも87円割れへと反落している。あすの豪GDPに対してはやや弱気の見通しもあった模様。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)