仲間とのつながりもやる気の持続につながる(写真:JLco Julia Amaral/shutterstock)
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 毎日、仕事にプライベートに頑張っているのに、なぜか心から燃えることができないと感じている人は少なくない。燃え尽きるどころか、燃え方すら忘れている人も多いかもしれない。

 明治大学教授で言語学者の堀田秀吾氏は、学生と向き合う中で、本当は何かに夢中になりたいのに心に火がつかない状態を「燃えられない症候群」とし、心に火がつかずに燃えられない人と、心を燃やすことのできる人の違いは才能ではなく、行動パターンにあると指摘している。心に火をつけるにはどうすればいいのだろうか。【第3回】

◎【第1回】「やりたいことがない」と悩む人に共通する誤解、心を燃やすカギは「とりあえずやってみる」と「ルーティン化」
◎【第2回】失敗をイメージするほうが成功率が上がる脳の不思議、三日坊主を防ぐコツは小さく、細かく、日々の習慣に組み込む

※本書は『燃えられない症候群』(堀田秀吾、サンマーク出版)の一部を抜粋・編集しています。

 やる気はスイッチではなく、エンジンです。一度点火しても、燃料が切れれば止まってしまいます。そして、その燃料の多くは、誰かとの出会いや、ちょっとした励まし、ふとした共感の中にあるのです。

 ハーバード大学が1938年から続けている「成人発達研究」という有名な研究があります。この研究ではハーバード大学卒の男性たちと、ボストン育ちの貧しい男性たちの2グループ(約700人)の追跡調査をしました。

 研究の結論を一言でまとめます。「私たちの幸福と健康を高めてくれるのは、良い人間関係である」。

 質の良い人間関係を持っている人は、孤独な人よりも幸福で健康、そして長生きしていることがわかりました。家柄、学歴、年収といった、一般的に「成功」や「幸せ」の指標とされるものよりも、人間関係の質が幸福度や健康と関係があったのです。

 しかも、「本当に信頼できる人がたった1人いればいい」ということも明らかになりました。燃えに燃えて結果を出したり、死ぬ気でがんばって年収が増えたりしたところで、それだけでは幸せにはなれないのです。