目標は小さく、細かく設定する(写真:3rdtimeluckystudio/shutterstock)
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 毎日、仕事にプライベートに頑張っているのに、なぜか心から燃えることができないと感じている人は少なくない。燃え尽きるどころか、燃え方すら忘れている人も多いかもしれない。

 明治大学教授で言語学者の堀田秀吾氏は、学生と向き合う中で、本当は何かに夢中になりたいのに心に火がつかない状態を「燃えられない症候群」とし、心に火がつかずに燃えられない人と、心を燃やすことのできる人の違いは才能ではなく、行動パターンにあると指摘している。心に火をつけるにはどうすればいいのだろうか。【第2回】

◎【第1回】「やりたいことがない」と悩む人に共通する誤解、心を燃やすカギは「とりあえずやってみる」と「ルーティン化」

※本書は『燃えられない症候群』(堀田秀吾、サンマーク出版)の一部を抜粋・編集しています。

 うまくいかない場合を想定しておくことは、目標達成に向けた意欲を高める効果があります。これは一見意外に思えるかもしれません。なぜなら「成功をイメージするポジティブ思考」のほうが良さそうに感じるからです。

 実は、取り組んでいることについて、できるだけ多面的に見ておくほうがいいという研究があるのです。

 ニューヨーク大学のカップスとエッティンゲンは、50名の学生にエッセイを書かせました。その際に、「受賞すること」を想像させて書かせた被験者は、そうしなかった被験者よりも執筆意欲が落ちてしまう結果が出ています。

 さらに別の実験では、課題を「やり終えたところ」を想像させてから取り組ませた被験者は、そうしなかった被験者よりも意欲が低下し、さらに結果の達成度も落ちる結果が出ているのです。

 なぜ「成功をイメージする」というポジティブ思考で、行動の結果が悪くなるのでしょうか?その理由は、脳の仕組みにあります。

 脳は新しい刺激を好むので、新しい取り組みを始めると報酬系が刺激されます。ところが、実は「◯◯をやるぞ!」と決意した時点で、すでにドーパミンが出てしまいます。つまり、本当に大切なのは「実際にやる」ことなのに、「やるぞ」と思っただけで脳が満足して、「やった気分」になってしまうのです。

 では、どうすればこの問題を防げるのでしょうか。そこで効果的なのが、うまくいかなかった場合を想定しておくことです。失敗時を想像することで、「今がんばらないと、ネガティブな未来が待っているぞ。ちゃんとやらないと!」という危機感が生まれ、実際の行動につながりやすくなるのです。

 このように失敗を想定することも大切ですが、目標達成のためには、目標の設定方法そのものも重要です。