「年金、もらえないかも」……別居している母からそんなメールが届いたのは、私が手取り16万円のOLをしている頃でした。当時の私にも年金の知識はありませんでしたが、どうにかする方法は本当にないのか? 年金について調べる日々が始まりました。
なぜ年金がもらえないことになったのか?
そもそもなぜ年金がもらえないことになってしまったのでしょう。
現在、年金を受け取るのに必要な加入期間は10年に変更をされていますが、その当時は25年以上の加入期間が必要でした。
その25年に数年分の加入期間が足りていないことが、ねんきん定期便で発覚。母は慌ててねんきん定期便に書かれた問合せ窓口に電話するも、結局は解決できず、冒頭のメールに繋がったとのことでした。
我が家は経済的に苦しい時期があり、その時に年金保険料の未納期間が発生してしまったようでした。経済的に厳しい場合は年金事務所に相談をして免除または納付猶予などの手続きを取ることが本来は必要です。
そうすることで、年金受け取り額は減ってしまいますが、その期間も加入期間に加算されるので将来的に年金が受け取れない、という可能性を減らすことができます。
また、10年以内であれば免除または納付猶予をしていた期間の年金保険料は後払い(追納)が可能なので、経済的に落ち着いてから追納をして年金受け取り額を満額に近づけることもできます。
しかしその当時の母はそういった知識がなかったため、免除などを手続きが取れておらず、未納になってしまいました。
しかしどうも話を聞いていると、母が認識している未納期間とねんきん定期便に記載されている未納期間に相違があるようで……実は、ここに突破口があったのです。
突破口はこれだ!加算されていなかった共済年金
公的年金とひと口に言いますが、その人の年齢や職業により加入している制度が異なります。
【図表1】公的年金制度の種類
国民年金 | 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人 |
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厚生年金 | 厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人 |
共済年金 | 公務員・私立学校教職員など |
出典:日本年金機構「公的年金の種類と加入する制度」
母には教師経験が数年あるため、共済年金の加入者である期間もありました。しかし何らかの理由により共済年金加入期間が、ねんきん定期便に記載されていた年金加入期間に正しく合算されていないことがわかりました。
そのために、母の認識とねんきん定期便の記載とで未納期間にズレが出ていたのです。
2015年の年金制度一元化により、共済年金と厚生年金は加入期間を合算できるようになっていますので、これを加算することで解決できる!
そこで共済組合の窓口で共済加入期間の確認書類を手配するよう共済組合の連絡先を伝え、母はその確認書類を持って年金事務所に向かって手続きを行い、見事に年金受け取り資格を得ることができたのでした。
年金はやはり老後の生活を支えるために重要な制度。受け取り可能となった時の安心感はとても大きかったです。
もしも加入期間が足りないと言われたら?
上記は母の個別の体験談になりますが、年金の加入期間が足りないとわかった場合、どうすれば良いのでしょうか。
まずはやはり、本当に加入期間が足りないのか、確認をしましょう。たとえば、アルバイトや会社員の時期が短期でもあった場合、そこで厚生年金に加入していた期間がないか。加入していたとしたらその期間がきちんと加算されているかを年金事務所の窓口で確認してもらうのが良いでしょう。
母も過去の勤務経験が判明し、窓口で手続きを行うことでその分の加入期間もさらに加算されることとなりました。追加で発覚した勤務経験を加算するため、勤務していた会社名を窓口でクイズのように聞かれているとのこと……。記録はあるのに、なぜそうしたクイズが必要なのかはちょっと謎ですが……。
それでも本当に加入期間が足りない場合は、国民年金の任意加入制度を検討してみるのも方法の一つです。
任意加入制度とは、年金の未納・未加入・免除の期間がある60歳以上の方向けの制度です。60歳以上で特定の条件を満たす人であれば国民年金へ任意で加入ができ、国民年金保険料を納めること、納付月数と納付金額を上乗せできる可能性があります。
毎年、ねんきん定期便という自身の年金加入状況を確認できるはがきが届きます。もし自分の年金加入状況について不安や疑問点があった場合には、地元の年金事務所に相談するのが良いでしょう。もしもの時もまずは落ち着いて、早めに相談をしてみてくださいね。
ここでご紹介しているのは個人の体験談です。年金の加入期間に関するトラブルが全てこのページに記載の対応方法で解決できるわけではありません。また、トラブル対応当時の情報も含みますので、現在の制度については日本年金機構のホームページをご確認ください。