「歩いた分だけ保険料が安くなる」「健康診断結果を出すだけで保険料が安くなる」――。そんな保険があることをご存知でしょうか? こうした健康状態や健康状況によって保険料の割引や還付金給付を受けられる「健康増進型保険」について取り上げます。
がんばり次第で保険料が安くなる!? 健康増進型保険の特徴とは
健康増進型保険を大きく分けると、以下の3つタイプがあります。
【図表1】健康増進型保険の3つのタイプ
健康活動タイプ | 1日あたりの平均歩数が一定以上の期間、継続している |
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フィットネスジムでの運動やスポーツイベントの参加を一定回数行っている | |
一定期間以上喫煙を行っていない など | |
健康状況タイプ | BMI値(体重(kg)÷身長(m)の2乗)が一定範囲内である |
血圧・血糖値・肝機能などの数値が一定の基準値範囲内である など | |
健康維持タイプ | 一定期間以上、入院や手術をしていない など |
運動で健康になりたい人はコレ!「健康活動タイプ」
健康活動タイプは、契約者の運動などの活動を基準に、保険料の割引や還付金給付が行われるものです。1日の平均歩数や、保険会社規定のフィットネスジムでの運動・スポーツイベントへの参加を一定回数以上行っているなど、主に日常生活に運動を取り入れているかどうかを保険会社に申告することになります。
活動の計測には、ウェアラブルデバイスやスマートフォンのアプリなどを利用する場合が多いようです。
健康には自信がある人はコレ!「健康状況タイプ」
健康状況タイプは、契約者の健康診断検査結果を基準に、保険料の割引が行われるものです。「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で求められるBMI値が一定範囲内であることや、血圧・血糖値・肝機能などの数値が一定の基準値範囲内であることなどを保険会社に申告することになります。
申告方法は、約1年以内に受けた健康診断表の提出が必要な場合や、自己申告のみの場合もあるようです。
病気やケガをしていない人はコレ!『健康維持タイプ』
健康維持タイプは、契約者の入院歴・手術歴などを基準に保険料の割引や還付金給付が行われるものです。保険の加入前、または加入後の一定期間に保険会社規定の病気やケガで入院・手術を受けていないかどうかを保険会社に申告することになります。
申告方法は、加入時に自己申告を行う場合や、加入後に保険会社が入院・手術の給付金請求の有無を確認するなどのようです。
健康増進型保険が増えてきたのはなぜ?
ここ数年で、上記のような健康増進型保険を目にすることも多くなってきたかもしれません。健康増進型保険が増えてきた理由のひとつとして、日本の高齢化に伴い課題となっている、健康寿命と平均寿命の差があると考えられます。
健康寿命とは、平均寿命から病気や寝たきりなどの期間を差し引いた、生涯のうち健康上の支障がなく日常生活を過ごせる期間のことです。この健康寿命と平均寿命の差が開くほど、入院や介護などの期間が長くなるため、必要となる医療費や介護費が増えていきます。
国はこの健康寿命を延ばすため、2013年から健康増進の取り組みを開始(「健康日本21(第二次)」中間評価報告書)。これを受けて生命保険業界も、健康増進に関する取り組みを開始しました。
その取り組みの一環として、各社からの健康増進型保険の新発売も積極的に行われているようです。上で触れたウェアラブルデバイスやスマートフォンのアプリが進歩し、契約者の日常生活を客観的に計測することが難しくなくなったことも、こうした新しい取り組みに各社が着手しやすくなった要因のひとつかもしれません。
健康増進型保険のメリットとデメリットは?
気になるのが、健康増進型保険のメリットとデメリットです。
メリットとしては、日頃から運動習慣のある方や、喫煙をしていない、あるいはしなくなって一定期間以上が経っている方であれば、今まで通りの生活を続けるだけで保険料割引や還付金給付を受けられる可能性があります。
また、加入者向けのサービスが充実している保険も一部あります。フィットネスジムの利用料やスポーツ用品・ウェアラブルデバイスの割引など、より本格的に運動を行いたいと思っている方には魅力的かもしれませんね。
一方でデメリットもいくつか考えられます。健康状態というのは本人の努力だけで完璧にコントロールをするのは難しいものです。予想外の病気やケガで入院をした場合や運動が難しくなった場合、割引などのメリットが一定期間失われたり、商品によっては保険料が割増されたりする可能性もあります。
また、入院の保障日数について特定の疾病以外は30日など、一般的な医療保険より短くなっているものなどもあるようです。
保険選びは割引だけでなく保障内容もしっかり確認を
健康増進型保険とひとくちに言っても、商品やサービスの内容、割引・還付金給付の条件は各社で違いがあります。割引や還付金は確かに魅力的ですが、まずは保障内容が自分のニーズにあっているかどうか、確認することをおすすめします。
保障内容が自分の欲しいものであり、健康増進を継続する自信がある場合には、健康増進型保険を候補として考えてみるのも良いかもしれませんね。