岐阜プラスチック工業株式会社の創立は1953(昭和28)年。国内でも有数のプラスチック製品の老舗だ。物流産業資材についても、折りたたみコンテナーやパレット、キャリーなどの開発に早くから取り組んできた。物流や作業の合理化・効率化に貢献することを目指しているだけでなく、リサイクル化による環境保全にも力を入れている。今年の「国際物流総合展2018  LOGIS-TECH TOKYO 2018」での展示の見どころなどについて、同社産業資材事業部 営業管理グループ グループリーダー 大塚泰尚氏に聞いた。

岐阜プラスチック工業株式会社 産業資材事業部 営業管理グループ グループリーダー 大塚泰尚 氏

日本のプラスチック製品メーカーの草分け的存在

「当社は今年、創業65周年を迎えました。創業当時は国内の石油化学産業も立ち上がっておらず、樹脂の素材開発から行わなければなりませんでした」と、岐阜プラスチック工業株式会社 産業資材事業部 営業管理グループ グループリーダーの大塚泰尚氏は紹介する。

 まだ、プラスチックという言葉も一般化していなかった時代に、同社は試行錯誤のうえ、プラスチック製品の量産に成功。特に、キッチン用品や清掃用品、浴用品などの日用品を製品化し、成長してきた。現在はプラスチック総合メーカーとして、物流産業、食品包装容器、建設土木、スポーツ用品、工業部品・医療機器関連部品、TECCELLなどの幅広い分野で製品提供を行っている。
「物流産業資材についても早期から取り組んでいます。さまざまなお客様の多種多様なニーズにお応えし、製品ラインアップを拡大してきました」

 1964年には、竹かごの代替ニーズなどに応えるものとして、網目ボックスの「プラスケット」を発売している。プラスチック容器を使用することで作業性・耐久性が向上するとあって、農水産業をはじめ、さまざまな分野で採用されている。

 1981年には「折りたたみコンテナー」を発売した。空箱時の保管スペースがわずか1/4になるのが大きな特長で、流通業などで広く採用されている。

プラスチックパレットの規格化や普及にも貢献

 物流産業資材について、大きなトピックとなったのが、1990年に岐阜プラスチック工業がプラスチックパレットを発売したことであろう。

 当時広く使われていた木製のパレットは、腐食・破損しやすいのが難点だった。重量も重く持ち運びも容易ではなかった。それに対して、プラスチックパレットは、衛生面、耐久性、滑り防止などの性能に優れていることに加え、リサイクルもできるといった特長がある。
「ただし、単にプラスチックに置き換えればすぐに使えるようになるわけではありません。最大積載質量に耐えられる強度、サイズなどの品質も求められます。当社では、一般社団法人日本パレット協会にデータ提供などを行い、規格作りなどにも協力してきました」と大塚氏は振り返る。

 現在、JIS(日本標準規格)によって「一貫輸送用平パレット」の規格サイズは、T11(1100×1100×144mm)に定められている。同社のパレットはすべて日本パレット協会の認定品で、T11サイズを中心に、数十種類のラインアップがあるという。
「海外での規格や、40フィート型・20フィート型コンテナーに対応する製品もそろっています。また、最近では、環境保全につながる製品を使いたいというお客様の要望も増えています。当社では早くから不要パレット、コンテナーなどの回収とリサイクルに取り組んできました。また、植物由来のバイオマスプラスチックを活用した物流資材の提供も行っています」

 バイオマスプラスチックは、石油から作られるプラスチックとは異なり、植物から作られているため、CO2(二酸化炭素)を発生させない、あるいは吸収する植物から作られているので環境に優しい素材とされる。

労働力不足の解決のためにはパレットやコンテナーの規格化が必要

 物流業界においては、労働力不足が深刻な課題になりつつある。「一つの企業の製品やソリューションで解決できるものではなく、業界全体で取り組む必要があります。その一助として、当社も協力したいと考えています」と大塚氏は語る。

 たとえばトラック運送における生産性向上なども業界全体が抱える課題の一つだろう。国土交通省も課題解決に向けた手引きを公表しているが、その中では、トラックの荷待ち時間の問題、トラックドライバーによる荷物の積卸しや検品作業の問題などが指摘されている。
「特に手作業で積卸しを行っている例が少なくなく、ドライバーの負担が大きくなっています。これをパレットによる積卸しに換えることができれば、作業量・作業時間を大幅に削減できます」

 トラック運送における生産性の向上を議論するにあたっては、運賃の範囲が必ずしも明確でないという問題もある。運送費用のみならず、積卸しなどの作業費用を運賃に含んでいることが習慣になっている業界もある。
「運送事業者だけでなく、荷主企業も含め、さまざまなプレイヤーが協力・連携することが不可欠です。その前提として、パレットやコンテナーの規格化も必要になるでしょう。当社が協力できる余地も大きいと考えています」

物流の合理化・省力化につながる製品やソリューションを提案

「日本のサプライチェーンの構造も時代に応じて変化しています。最近では、メーカーから小売店や消費者に直接配送するという例も珍しくなくなっています。その際に、途中で積み替えたり、小売店の店頭で品出しをしたりする作業があると負担になります。メーカーから小売店のバックヤードまで、ずっと同じコンテナーで運ぶことができればその負担を大幅に減らすことができます」

 同社では、バーコードやRFID(無線自動識別)タグを活用したシステムなどにも柔軟に対応している。 トラック運送における生産性向上のためには、実車している間はなるべく多くの荷物を運ぶことが望ましい。輸送量が増えることにより、トラックやドライバーの数を抑えることができるからだ。
「今後は、複数の荷主企業による共同配送や、3PLを活用した物流拠点の共同化などが当たり前になってくると考えられます。そのためには、お客様の製品が、どのパレットやコンテナーに乗っているのかを管理する必要がありますが、当社はそのあたりにも豊富な実績とノウハウがあります」と大塚氏は自信を見せる。

プラスチックの更なる可能性への挑戦

 プラスチックは更なる用途の可能性がある中、同社では軽量・高剛性の素材であるTECCELLの生産技術を確立し、物流資材のみならず、様々な用途展開を行っている。
「TECCELLは高強度・超軽量の板素材であることから、物流用途では作業性・耐久性の更なる向上とともに、プラスチックの特性より、曲げ加工、三次元加工を活用した幅広いニーズに対応を行っています。また、様々な軽量用途への展開、また、ハニカム構造体の利点を活かした防音製品への展開をする事で、物流を初めとした改善提案をさせていただいています。」

 今回の国際物流総合展2018では、同社の新製品に加え、業界の課題解決につながる取り組みをソリューションとして提案していくという。
「100社のお客様がいれば100の課題があると思います。製品のブームを作るのではなく、お客様のご要望やご意見を伺いながら、どんどん手を入れてブラッシュアップしていくのが当社のやり方です」と大塚氏は話す。

 同社のブースを訪問し、自社のニーズをぶつけてみるといいだろう。きっと、新たな発見や気づきが得られるはずだ。

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