日立物流が新たな挑戦を積極的に進めている。ビジネスコンセプト「LOGISTEED」のもと、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、新たなイノベーションを実現しようとしているのだ。今年の「国際物流総合展2018 LOGIS-TECH TOKYO 2018」においても、「物流は新領域へ」というテーマを掲げ、省人化ほか、さまざまな課題解決につながる次世代技術や、多彩な企業の成功事例などが数多く展示される予定だ。株式会社日立物流執行役常務の藤谷寛幹氏に、展示の見所や同社の取り組みについて聞いた。
スマートロジスティクスをコアとしながら、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図る
「ビジネス環境が大きく変化する中で、単体の物流機能を提供するだけでは、お客様の課題を解決できなくなっています。そこで当社では2018年4月、新たなビジネスコンセプト『LOGISTEED』を掲げ、始動しました」
藤谷氏によれば、「LOGISTEED(ロジスティード)」は、LOGISTICSと、Exceed、Proceed、Succeed、そしてSpeedを融合した言葉であり、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思が込められているという。
ところで、日立物流と言えば、物流の自動化・機械化や情報化など「スマートロジスティクス」を積極的に推進していることでも知られる。日立製作所など日立グループのリソースを活用し、あらゆるモノがネットでつながるIoT、ロボット、AI(人工知能)など最先端の技術を活用したソリューションの開発・提供にも力を入れている。「LOGISTEED」のコンセプトにおけるスマートロジスティクスの位置付けはどうなっているのだろうか。
「スマートロジスティクスをコアとしながら、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、新たなイノベーションを実現したいと考えています」
そのためにも、日立製作所のみならず、グループ以外の製造業、ベンチャー企業などとも協創を進めている。
「自前主義にこだわっていてはスピードが遅くなります。まさにオープンイノベーションで、いい製品・技術を持っている企業や大学などとタッグを組んで、これまでにない新たなソリューションの創出を目指しています」
「物流は新領域へ」というテーマを掲げ、次世代型のソリューションを展示
日立物流は今年の国際物流総合展においても、「物流は新領域へ」というテーマを掲げ、次世代型のソリューションを展示する。
「物流現場における労働力不足が喫緊の課題になっています。そこでこれらの課題を解決するものとして、自律移動型双腕ピッキングロボットと、小型・低床式無人搬送車を組み合わせた実機を展示し、実際に作業の様子をご覧いただけるようにしました」と藤谷氏は紹介する。
自律移動型双腕ピッキングロボットは、同社と日立製作所との共同開発で、その名のとおり、ピッキングエリアを自律的に移動し、棚に配置された商品を2本の腕でピッキングする。固定型と異なり、多様な商品をピッキングできるのが大きな特長だ。また、同じく日立製作所と共同実用化した小型・低床式無人搬送車「Racrew(ラックル)」は、商品が保管されている棚ごと、作業者のいる指定位置まで自動搬送することでピッキングのための移動を削減し作業効率を向上させるものだ。
「小型・低床式無人搬送車を活用したソリューションは、当社の3PL拠点にも導入していますが、従来の2.5倍~3倍の生産性になっています」というから驚く。3PL企業はもとより、多くの企業の物流拠点における省力化や生産性の向上に大きく貢献することが期待される。
今回の展示では、グループ会社の日立物流ソフトウェアが代理店として提供する追従運搬ロボットもお目見えする。ロボットベンチャーDoog(ドーグ)社の「サウザー(THOUZER)」だ。人や台車の後を追随したり、AGV(無人搬送車)のように無人でライン上を走行したりすることができる。といっても、AGVのような特別なプログラムは不要で、1台からでも導入可能だ。むろん、カルガモの親子のように、複数台が連なっての走行もできる。「スモールスタートが可能なため、大企業以外のお客様にも導入していただきやすいと自負しています」(藤谷氏)
研究開発専用施設「R&Dセンタ」で究極の自動化の研究開発と実用化を目指す
前述したように日立物流では、IoT、ロボット、AIなど最先端の技術を活用した「スマートロジスティクス」に早くから力を入れてきた。研究開発にも積極的に投資を行っており、2016年7月には、研究開発専用施設「R&Dセンタ」を東京都内に開設している。
「同センタの目的の一つは、『人ゼロ』も視野に入れた究極の自動化の研究開発と実用化に向けた検証です」と藤谷氏は話す。
具体的な研究テーマとして、先ほど紹介した自律移動型双腕ピッキングロボットや小型・低床式無人搬送車のほか、無人フォークリフト、デパレタイズ(荷物の荷下ろし)ロボット、RFID(無線自動識別)タグ、画像検品システムなどもあるという。
興味深い製品も生まれている。たとえば、その一つが、メガネ型ウェアラブル端末だ。同社とコニカミノルタの共同開発で、メガネに組み込んだ画面に棚の番号や作業の手順が表示される。
「すでに当社の倉庫に導入しています。ハンズフリーを実現することで、作業時間を2~3割短縮することができています」。ピッキングだけでなく、製造業の組み立てラインなども含む、さまざまな3PL業務にも活用できそうだ。
ここで特筆すべきは、同社のR&Dセンタは決して、SF映画に登場するような未来のテクノロジーを追求しているわけではないことだ。藤谷氏は「ロボットなども含め、多くの技術は、当社やお客様の物流施設に導入され、すでに成果を上げています。また、R&Dセンタはお客様から受託した物流業務を本番と同等の環境下で事前に再現し検証するとともにリスクを低減するという役割も担っています」というから頼もしい。
さまざまな企業の「お困り事」の解決を一緒に考えるきっかけにしたい
日立物流は日本における3PLのパイオニアとして、長年にわたり実績を積んできた。
「今後は、当社が培ってきたデータやノウハウを生かし、お客様のサプライチェーン全体の最適化に寄与するようなソリューションを提供していきたい」と藤谷氏は力を込める。
作業者の動きや活動を分析し、無駄な動きなどを把握する「作業分析支援ツール」や、調達・製造・配送・販売までの流れのシミュレーションを行い、拠点配置案や倉庫内設計について最適なプランを短時間で定量的に提案する「スマートロジスティクスコンフィギュレータ」なども生まれている。
今年の国際物流総合展では、ロボットなどの実機に加え、ソフトウェアなども含む、さまざまなソリューションについても動画などで紹介される予定だ。
「優れたソリューションだからお使いくださいというだけでなく、お客様がお困りになっている内容をうかがい、それを一緒に考えるきっかけとなる場にしたいと考えています」と藤谷氏は話す。ぜひ、同社のブースを訪問し、気軽に相談してもらいたい。
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