出演:松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 特任准教授)
ディープラーニング技術によって、画像認識の性能が急速に伸びている。0.1秒後が予測できるようになったり、静止画を与えると次の1秒間の動画を生成する技術ができたり、またロボットがあるものを動かすと、それがどのように動くのかも予測できるようになっている。この技術を支えているのは、いわば機械やロボットの「眼」だ。ディープラーニング技術によって、機械・ロボットの眼が誕生したのだ。そのため、今後、機械やロボットの世界でカンブリア爆発が起こることが予想できる。つまり、農業・建設業・食品加工業といった自動化が難しいとされた分野で自動化の機械・ロボットが次々に生まれているのだ。そして、農業も建設も食品加工も、究極的には全工程が自動化されるだろう。
東京大学大学院特任准教授・松尾豊氏がいろいろと見聞した結果、最初に自動化が始まるのは、トマト収穫ロボットや自動溶接機械、食洗器にお皿を入れるロボットだという。そうした機械・ロボットが一度普及すれば、機能やサービスに対して課金していくビジネスモデルにすぐ移行できる。次の段階では、畑全体、建設現場全体、飲食店のバックヤード全体のロボットプラットフォームが少しずつ実現されてくるはずだ。それが完成したら、日本の高い技術をグローバルに展開できるようになる。機械・ロボットを使えば、日本の農業・建設・食品加工の技術を世界中に持ち運べる時代がやってくるのだ。
こうした「眼を持った機械」の世界では、日本に非常に有利だ。言葉の壁に阻まれたインターネットとは違い、ものづくりは物流の関係上、一カ所に知識を集約させてつくった方が良い。だからこそ、いまだに日本のものづくりは強いのだ。そこに眼の技術を入れていくことによって、ものを起点にして、日本が世界のプラットフォームを握ることができるかもしれない。これは日本ならではのプラットフォーム戦略ではないだろうか。
この動画は知的教養メディア「テンミニッツテレビ・オピニオン」で収録した映像です。
全編は18:53あり、この動画はその冒頭部分です。
下記リンクより、すべてをご覧いただけます。※クレジットカード登録(1カ月無料)が必要です。
「眼を持った機械」は日本の技術をグローバルに展開できる~ディープラーニング産業論