中川徹 港南台高島屋店長
慶應義塾大学経済学部卒業後、1998年高島屋入社。横浜店-玉川店-横浜店で、売り場マネージャー・シニアマネージャー・バイヤーなどを担当し、2016年3月より港南台高島屋店長。『3S』(Simple、誠実、失敗を恐れずにチャレンジする)を仕事のモットーとして、地域に愛される百貨店を目指す。体系的に経営を学ぶため2015年グロービス経営大学院へ入学。

 2006年の開学以来、わずか10年で入学者数を10倍に増やし、現在も大きな躍進を続けるグロービス経営大学院。
社会の変化に対応する実践的なカリキュラムを通じて次世代のビジネスリーダーを育成することをミッションとする。その特徴のひとつは、「思考」「テクノベート」などの科目群の他に、在校生ひとりひとりが社会に残したい価値を追求し醸成する「志」科目群が存在することだ。

港南台高島屋で同店の史上最年少店長を務める中川徹氏は、働きながらグロービス経営大学院に通った卒業生の一人。同店は、店舗内に「ニトリ」を開店させるなど、新しい郊外型百貨店への変革に向けて数多くの挑戦に取り組む店舗だ。在学中に店長職に就いて1年半、同店のビジネス変革を推進する中川氏は、「グロービスに行っていなければ、今の職務を全うできていないだろう」と語る。
 

実践的な学びの場所へ

 中川氏がMBA(経営学修士)に興味を持ったのは、グロービス経営大学院で学んだ会社の先輩の経営に対する視座の高さと視点の広さに接したことだった。「マーケティングをはじめとして、もっと体系的に経営について学びたいと考えるきっかけになった」と言う。
「百貨店業界だけでなく他業界ともかかわる機会を持ちたいという気持ちもあった。また、40代を前にして新しいチャレンジをしてみたいという気持ちも大きかった」。
しかし、百貨店はシフト勤務が多く土日も仕事が入り、仕事と通学の両立は容易ではない。「会社の先輩の影響はとても大きかった。それに加えてグロービスは、授業振替制度やオンラインでの受講など仕事と両立しやすい制度が整っていた」と中川氏は語る。

入学前にMBAの授業を1科目(3ヶ月)から受講できる「単科生制度」を利用して学び始めた中川氏は、多業種の学生たちと交わす議論の深さと、仕事に生かせる学びの多さに衝撃を受け、本科への進学を決める。通い始めてみると仕事や家庭との両立は大変だったが、「学びは予想をはるかに上回り奥が深かった」と中川氏は振り返る。

グロービスの授業は、今もビジネスの第一線を走る実務家教員によるディスカッション形式だ。ビジネスの現場に近い緊張感の中での議論を通じて、マネジメント層として持つべき能力や覚悟、誠実さを考えさせられたと中川氏は語る。
「『リーダーごっこをするなら、今すぐ通うのをやめた方が良い。リーダーとして部下を本気で守る覚悟がなければ、グロービスで学ぶ意味はない』という教員の言葉は今でもよく思い出しては、肝に銘じている」と話す中川氏。
グロービスには、カリキュラム設計や科目内容だけでなく、実務家教員陣が深化させる議論やメッセージなど、リーダーとしての心構えを意識させる仕掛けが多い。

 

 

自分なりの「リーダーの型」を見つけることができた

 在学中に港南台高島屋の店長に最年少で抜擢された中川氏にとって、職場はまさにグロービスでの学びを実践に移す場だった。「事業計画を立てる際のフレームワークや実行時の課題解決方法を学んだことは、今でも店舗経営に直接役に立っている」という。ただ、経営理論の学びよりもさらに役に立っているのは、リーダーとしてのマインド面での学びだという。

「以前は、リーダーというのはメンバーを力強くぐいぐい引っ張っていくタイプというイメージがあった。グロービスでリーダーシップを学び、バックグラウンドの違う学生と議論する訓練をしてから、リーダーシップにもいろいろな型があると気づいた」

百貨店のように、顧客や同僚、取引先など多くの関係者と働く職場では、まわりの支えを受けられる環境や、環境に沿ったビジョンを作ること自体が重要になってくる。
「まわりを巻き込んで一緒に方向性を決めていく型のリーダーシップが自分にはしっくりきた」と話す。

百貨店業界は大きな変革の時期にある。中川氏が店長を務める店は、住宅街の中で34年続く郊外型店舗。中川氏は、毎日3回、百貨店の全階を巡回して、従業員満足や顧客満足の向上に努める。

「大きな変革には新しい試みが必要だが、それには困難がつきもの。グロービスでは、経営理論を学ぶ以外に、自分の『志』と向き合う授業や機会がたくさんあった。これらがなければ、港南台高島屋の変革計画自体が成し遂げられなかったかもしれない」

「百貨店業界が厳しい状況に立たされている中で、地元に根差した価値を提供し続けることがいかに大切か。そのためにどんな変革プランを構築し、どのように変革を推進していくか。グロービスで得た学びを生かして、地域の活性化につながる新しい百貨店モデルを実現いきたいと思っている」

「グロービスで実践的な経営スキルを学び、志が明確になったことで、壁に直面するとワクワクするようになった。困難をどう乗り越えるかと考える試行錯誤そのものが今は楽しみになった」と中川氏は語る。
「私もこれまでずっと壁にぶつかっては思い悩む日々を送っていたが、一歩踏み出したことで、ものの見方がガラッと変わった。グロービスで学ぶことは、仕事だけではなく人生にも前向きに向き合うきっかけになる」と語る。

 

 

<取材後記>

 学生との切磋琢磨と自分と向き合う機会を通じて、「改めて百貨店が好きになった」という中川氏。当初は、自分のために学ぶという意識が強かったが、学内イベントを通じて自らの経験を語り様々なフィードバックをもらったことで、「グロービスでの学びを社会に還元することで、恩返しをしていきたい」と考えるようになったという。
また、グロービスでの学びを通じて「誰かから意見を言ってもらうことが、いかにありがたいかも分かるようになった」ともいう。
話を聞きながら、次世代のリーダーは、「聞くことができる人」だとの思いを強くした。


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