(1) 米国初のエボラ出血熱での死亡から1週間
──新たに2人の看護師がエボラウイルスに感染

 テキサス州ダラスのプレスビテリアン病院で、米国初のエボラ出血熱での死者(トーマス・エリック・ダンカンさん)が出てから1週間経過したが、その間に新たに2人の看護師 (ニーナ・ファムさんとアンバー・ビンソンさん) がエボラウイルスに感染したことが明らかになった。2人の看護師はどちらも死亡したトーマスさんの看護に直接、従事しており、トーマスさんからの2次感染である。

 さらなる感染の連鎖を断ち切るため、CDC(米国疾病対策センター)が中心となって様々な努力がなされているが、事態は混迷している。

(2) なぜ、病院で2次感染?

 具体的にどのような作業が原因で、2人の看護師がエボラウイルスに感染したかいまだ不明である。病院の説明(脚注1)では、2回目(脚注2)にトーマスさんが救急搬送されて以降、医療スタッフは全員、CDCのガイドラインに沿って、ガウンや手袋、マスクなどの血液・体液感染を想定した感染防御対策をしていたという。エボラウイルスに感染した2人の看護師は、1回目にトーマスさんが救急外来を受診した際に診療に携わっておらず、感染防御対策を開始した2回目の来院からトーマスさんの治療に当たっている。

 これに対し、全米看護師連合 (National Nurses United)の調査によれば、(1)トーマスさんは救急搬送後、数時間、個室に隔離されていなかった、(2)手首や首が完全に締まらない簡易タイプのガウンが看護師に支給された、(3) 看護師を対象とした実地訓練は実施されていなかったなど、病院の受け入れ体制に不備があったと言う (脚注3)。病院長はトーマスさんの1度目の救急外来受診について対応のミスを認め、公式に謝罪した。現在、CDCが真相を究明中だ。

(3) 『エボラウイルスは血液・体液で感染する』

 エボラウイルスは血液・体液で感染する。従って、エボラウイルス感染者の血液・分泌物・嘔吐物・排泄物に直接、触れない限り感染することはない。

 しかし、仮にエボラウイルスに感染した2人の看護師が「完璧に」感染対策を行っていたとしたら、現在、分かっている以上に、インフルエンザのような飛沫感染(患者の咳やくしゃみで健常者が病原体に感染すること)でエボラウイルスに感染するリスクがあるのではないか──地元のニュースではそう指摘する医師もいる(脚注4)。

 感染したアンバーさんは治療のためダラスからアトランタに、ニーナさんはメリーランドに飛行機で搬送されたが、実際、患者および付き添いのスタッフはともに、厳重に全身を覆ったスーツを着用していた。