元内閣官房副長官・現自民党衆議院議員の下村博文氏を電話ゲストに迎えた、今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。尖閣諸島をめぐり緊迫する日中情勢や、民主党代表選・自民党総裁選の行方などについて下村氏に聞いた。

「沖縄返還40周年記念日」に尖閣上陸を計画していた中国の活動家集団

中山 今回は、安倍晋三内閣で内閣官房副長官を務められた自民党衆議院議員の下村博文さんにお話を伺います。

尖閣周辺へ漁に向かう漁船、中国浙江省

浙江省象山県の漁港から尖閣諸島周辺へ向かう漁船(2012年9月16日撮影)〔AFPBB News

 下村さんが先日の衆議院予算委員会の質疑で言及されたように、尖閣諸島をめぐり日中間の緊張が高まっています。東シナ海では3カ月半ぶりに休漁期間が終了し、中国漁船が台風の通過後に尖閣周辺海域に向かうとの報道がありましたが、なぜこうした状況が起きているのでしょうか。

下村 元寇の役(げんこうのえき)ではありませんが、台風はいわば神風になっています。台風が来なければ、すでに中国漁船が大挙して尖閣諸島周辺に入ってきていたかもしれない状況です。

 そもそも中国は2008年に戦略の方向転換を図り、尖閣諸島を「核心的利益」と位置づけました。中国は、かつてチベットやウイグルなどを吸収合併した時にもこの核心的利益という言葉を用いています。つまり“尖閣諸島なしに中国の存在意義はない”と位置づけたのです。

 実は、昨年の6月17日に「世界華人保釣連盟」という、尖閣諸島を中国領土だと主張する中国の活動家集団が尖閣周辺に約1000隻の漁船を出航させ、何百人かを上陸させる計画を立てていました。2011年6月17日は、沖縄返還協定が締結されて40周年にあたる記念日です。

 ところが昨年は、東日本大震災が発生した。そこで、同連盟の会長が「池に落ちた犬に石を投げるようなことをすれば、華人(中国人)は世界から笑われる」と言って延期しただけなのです。ですから、今月や来月に彼らがやって来てもおかしくはありません。

 これはかつて南シナ海で実際に起きたことですが、ベトナムやフィリピン、インドネシアなどが領有を主張する南沙諸島や西沙諸島に中国漁民が難破したという形で上陸し、彼らを保護するという理由で今度は中国軍軍隊が上陸してそのまま居座ってしまった。そうやって南シナ海の無人島は中国に占拠され、南沙諸島が支配下に入ったのです。

 これと同じパターンの行動を、中国は尖閣諸島や東シナ海に対しても着々と進めている。日本政府はその意図をしっかり読み取り、的確な対応や判断をすべきだと思います。

周辺国は民主党政権によって揺らいだ日米関係を見透かしている

中山 先日、リビアの米領事館が襲撃され、大使ら4人が死亡する事件がありました。これは米国で制作された反イスラム的な映画に対する抗議運動の一環と見られています。イスラム圏では、これに端を発するデモによる死者数が17人に達したほか、オーストラリアにもデモが飛び火するなど、世界中で宗教的な反米国活動が広がっています。