1 はじめに

 2011年11月4日(金)の報道によれば、中国は、小型宇宙実験室「天宮1号」(9月29日打ち上げ)と無人宇宙船「神州8号」(11月1日打ち上げ)の自動制御による初のドッキング実験に成功したという。

 宇宙開発の拠点として2020年頃の完成を目指す大型宇宙ステーションの建設に向け、大きな一歩を踏み出した。サイバー空間と共に宇宙空間を、陸海空に次ぐ第4、第5の戦場と位置づけ、国家の総力を挙げての宇宙開発が着実にその成果を挙げていることを実証した。

天宮1号(ウィキペディア

 翻って、現時点においてすら中国の後塵を拝している我が国は、やっと宇宙基本法を制定・施行(平成20年=2008年=8月)したものの、その強力な実行には程遠い状況にある。

 60億キロの旅を終えて、イトカワ由来の微粒子を持ち帰ったハヤブサの世界的な快挙(2010年6月13日)に沸き立ったが、日中の差は益々増大し、気付いた時には、取り返しがつかない状況に陥っているのではないかと危惧している。

 ランチェスターの2次式以上の差が生じるのは自明である。

 本稿は、その様な問題意識の下、中国の宇宙開発が向かう方向を明らかにし、我が国の対応について私見を述べる。