11月はパリの写真月間。1年を通じて大小の写真展が尽きない町であるが、中でもこの月は特に盛んで、その核となるのが、「Paris Photo(パリフォト)」という見本市である。ルーブル美術館の地下にあるイベントスペースを舞台にしたこの見本市は、回を重ねて今年が13回目となった。

日本からの出品が大人気だったパリフォト

ルーブルの地下で開催される「パリフォト」

 世界23カ国から、89のギャラリーと13の出版社が参加してスタンドを連ね、4日半にわたって一般公開される。

 「パリフォト」には、毎年招待国というのがあって、今年はアラブ、とりわけイランの写真作品をクローズアップしたコーナーが設けられているのだが、昨年は日本がその招待国だった。

 折しも世界経済危機のショック直後という開催時期だったにもかかわらず、多大な成功を収めたと、2002年からこの企画に携わっているギヨーム・ピアンス氏は熱っぽく語る。

 「特設の日本コーナーに、明治から現代までの写真が網羅された前代未聞の一大写真展のようでしたよ」

 「海外は初めてというところも含めて日本の14のギャラリーと5つの出版社が参加しました。特に日本の写真集のレベルは世界的にも非常に高いですから、パリの写真美術館が、出展したすべての出版社、すべての作家の写真集を1部ずつ買ったほどでした」

今年はアラブが招待国なのに目立つ日本作品

企画者の1人、ギヨーム・ピアンス氏

 その昨年に続く今年であるが、会場では、かなりの数の日本人の作品、しかも、外国のギャラリーが扱う日本人写真家のものが多く目についた。

 また昨年とは違って、招待国枠ではない一般参加になるのだが、日本のギャラリーの数も5件と、全体の中での高い割合を占めている。

 その1つ、東京日本橋の Base Galley も昨年からの参加。代表取締役の大西利勝さんは今年の手応えに満足の様子だ。会期3日目の朝、ブースの壁には空きが目立つ。つまり、既に売れて、配達まで済ませた作品が少なくないのだ。