「サミット」と言えば、かつてはG5、つまり世界経済をリードする先進国5カ国の集まりを指し、字義通り、サミット=頂上から世界経済の諸問題を解決していく会合だった。

 まだ子供の頃、その集まりに日本の首脳が入っているのを見て、場違いなような、それでも少し自尊心をくすぐられるような複雑な感覚があったものだ。

量産される「サミット」

G8首脳会議、「アラブの春」に支持表明

フランスのドービルで開催されたG8に参加した各国の首脳〔AFPBB News

 しかし、昨今、かつての先進国はその輝きを失い、世界経済における指導力も色褪せる一方で、新たな新興諸国が台頭し、G5もいつの間にかG20に拡大するに及んで、サミット=頂上会議は、日・中・韓3カ国サミットもそうだが、国のトップ(頂点)たちの集まりというくらいの意味に成り下がってしまった。

 先週フランス・ドービルで開催されたサミットは、かつてのG5の流れを引き継ぐものだが、そこでの決定事項がこれからの世界情勢全般にどれほど実質的に影響を与え得るのか、いささか心許ない状況だ。

 そこで今回は、近年量産されつつあるサミットのうち、BRICSサミットに、主としてロシアの視点から注目してみたい。

 4月13日、14日の2日間、中国・海南島に、ブラジル、ロシア、インド、中国、そして今回から新たに南アフリカを加えて、首脳が集まり、第3回のBRICS首脳会議が開かれた。

 第1回は2009年にロシア・エカチェリンブルク、第2回は2010年にブラジル・ブラジリアで開催されている。

 今回は従来の4カ国に加え、南アフリカの参加を得て5カ国の新興国の集まりとなり、大いに注目を集めることになった。この5カ国は、サッカーW杯の開催地になったり、夏季・冬季のオリンピックの開催地になったりしていて、そういった意味でも注目に値する。

 周知の通り、BRICsという言葉自体、BRICSサミット参加国とは全く関係のない米国の投資銀行(ゴールドマン・サックス)の発案であり、その狙いも、ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を響きの良いフレーズにしてブームを起こし、人々の投資意欲をかき立て、そこから上がる利益に与ろうとしたものである。