米ステラのイーロン・マスクCEO(写真:ロイター=共同)
止まらない中国EVメーカー「BYD」の快進撃
[上海、ロンドン発]中国との自由貿易を続ける英国で中国の電気自動車(EV)メーカー、BYDの快進撃が止まらない。7月の新車登録台数が前年同月の768台から3184台に315%増を記録し、1~7月では前年同期比515%増の2万2574台。ドイツでも390%増を記録した。
米EV大手テスラは最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏に約300億ドル(約4兆4000億円)相当の株式を付与し、引き留めを図るが、英国でのテスラ退潮は明白だ。7月の新車登録台数は前年同期比60%減の987台、1~7月では7%減の2万3708台。BYDとテスラの完全逆転は不可避だ。
BYDのEV「海豹(SEAL)06」(写真:Ying Tang/NurPhoto/共同通信イメージズ)
英国では7月、総額6億5000万ポンドの新EV補助金制度が始まり、生産段階の排出量が少ないメーカーのEVは1500~3750ポンドの割引対象となる。中国製は実質的に除外されるため、中国側から「排他的」「保護主義」「事実上の裏口関税」との批判が噴き出る。
BYDの国際展開を統括するステラ・リー副社長は英紙フィナンシャル・タイムズ(7月22日付)に「新EV補助金制度は意味をなさない。麻薬のようなもの。廃止すれば自動車メーカーは損害を被ることになる」と非難する。