商用車を使ってビジネスを行う事業者なら、その車両に関する悩みに直面することもあるだろう。商用車と一口に言っても、営業車からトラックまで多様な車種があり、また同じ車種でも業種によってさまざまな使い方をしている。そのため、「荷室がもう少し広くならないか?」「バックドアが今よりもう少し高く開かないか?」「床の材質が濡れても平気なものにならないか?」など、商用車に関する悩みも多岐にわたる。日産自動車(以下、日産)では、こうした商用車の悩みに幅広く対応している。その対応策の一つが「特装車」だ。その詳しい内容について、法人向け販売に携わる日産自動車 日本フリート事業本部 フリート営業部の本間 正史氏に聞いた。 

個別のニーズに応える専用機能も、フルラインアップで揃う日産の商用車

 日産では、長きにわたって法人向け車両の事業を展開してきた。近年では、従来から法人向けのイメージが強いバンやトラックだけでなく、乗用車系の車種、例えば「ノート」や「セレナ」、軽自動車の「ルークス」などの需要が高まっている。その他にも、BCP(業務継続計画)対策として、災害時などにバッテリーを蓄電池として活用できるEVや、安全確保のため運転支援システムがついた車両を求める事業者も増えているという。これら軽自動車からトラック、EVまで、フルラインアップを揃えているのが日産の特徴だ。

 幅広いラインアップが揃う日産の商用車だが、事業者によっては、通常のラインアップにはない、専用機能を備えた車を必要とする場合もある。そうしたニーズに応えるため、同社では「特装車」にも注力してきた。

 特装車とは、顧客のニーズに合わせて専用の架装を施した車のことを指す。例を挙げるなら、保冷車や冷凍車、荷物運搬用の車両などがある。また、車いすのまま乗車できる福祉車両や、幼稚園の送迎車なども含まれる。

車いすのまま乗車できる福祉車両(写真左)、冷凍車(写真中央)や保冷車(写真右)など、顧客のニーズに合わせた特装車を揃えている
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 これらはあくまで特装車の一例である。顧客の細かなニーズや幅広い課題に対応するために、要望に応じた特注の相談も受けているという。「量産車では解決することが難しい、事業者が抱えるさまざま課題にアプローチできるのが特装車です。かゆい所に手が届く車と言えるでしょう」特装車の価値について、本間氏はそう表現する。

日産自動車株式会社 日本フリート事業本部 フリート営業部 本間 正史氏/日産自動車のフリート営業部と新規事業開発部 にて兼務主担。 入社大手電機メーカーにて、中東・アフリカの3カ国に駐在しビジネス企画等を担当。 15年より現社にてチーフマーケティングマネージャーとして勤務。米国・南アフリカへ駐在し、24年から現職。

 細かいニーズや課題に対応する特装車の例として、どのようなものがあるのだろうか。

「例えばバンタイプの車種は、2列席(6人乗り)のものが多く存在します。そういった車種を持つ事業者さまの中には、業務で2列目の座席を使う機会がほとんどないため、2列目を取り外して積載量を増やしたいと考える方もいます。座席を折り畳むことはできますが、折りたたんだ座席があるため、荷室スペースを最大限活用できません。そこで座席ごと無くしたいと考えるわけです。ただし座席を取り払うと、車両の乗車定員が変わるため、所定の手続きが必要です。手間がかかり専門知識も必要となるため、事業者さまが独自に行うのはハードルが高いでしょう。当社では、座席のカスタマイズから登録に至るまでサポートしています」

 使わない座席を無くし、少しでも積載量を増やせたら業務で便利になる。こうした何気ない課題も解決できるのが特装車だという。「その他にも、バンタイプの車では重量がある荷物を運ぶときに床を滑らせて使用したいという要望が多く、そのような場合は特装で床を平らにすることもできます。また、積み込んだ荷物が走行中に動かないように固定をするためのラッシングベルトを装置し、安全に運搬できる仕様の車両を特装で作り上げていきます」

後部座席を取り払い、長尺の荷物も搭載できるようにした事例(写真左)
床板張りにして床を平面にし、ラッシングベルト取り付けるレールを設置した事例(写真右)
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2024年問題の解決にもつながる、特装車の活用事例

 さらに、大きなビジネスの課題に対して特装車が活用されたケースもある。一例として、本間氏はある運輸業者のエピソードを紹介する。その運輸業者では、荷物の積み下ろしを全て手作業で行っていた。しかしドライバーの高齢化や、2024年問題による労働時間の削減に対応するため、積み下ろしの効率化やドライバーの負担削減に取り組むことにした。そこで、商用車の相談を日産の販売店に持ち掛けたのだが、相談の時点では特装車という解決策は浮かんでいなかったという。

「この事業者さまに対して、カーライフアドバイザーがまず普段配送している荷物の重量やサイズ、配送頻度、積み下ろし作業の詳細など、業務内容を細かくヒアリングしていきました。その上で、業務に合った車種を提示し、さらに積み下ろし業務を補助するリヤゲートリフターの架装を提案したのです。事業者さまは、要望されていた業務の効率化やドライバーの負担軽減につながると考え、この提案を承諾いただきました」

リヤゲートリフターを装着した車両の事例
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 今後、運輸業に限らず、車を使ったビジネスにおけるスタッフの高齢化や人手不足は深刻になる。さまざまな課題への対応が求められる中で、人をサポートする機能、仕事を効率化する機能を持った特装車は有効になるだろう。

 ただし、事業者が何かしらの課題を抱えた時、特装車による解決を思い浮かべる人は決して多くない。上述の運輸業者の事例も、業務内容や課題をヒアリングする中で、事業者が知らなかった「特装車による解決」という手段が浮かび上がってきた。さらにいえば、仮に「特装車による解決」を思い浮かべたとしても、どこに相談すれば良いのかわからないという声も少なくないだろう。

 その点、日産では全国の販売店で特装車の相談ができるとのこと。全国に約2000の販売店があり、顧客の相談役となるカーライフアドバイザーがおよそ1万人いる。最寄りの店舗で、顔馴染みのカーライフアドバイザーや店員に気軽に相談できる点はメリットだろう。

全国の約2000の販売店で相談が可能

「特装車の場合は、細かな打ち合わせが必要になることもあります。普段通いやすい販売店で打ち合わせを行ったり、親しいカーライフアドバイザーに自分の要望を心置きなく相談できたりするのは大きいのではないでしょうか」

 販売店に加えて、日産の商用車に関する情報がまとまったウェブサイト「Biz NISSAN」の問い合わせフォームからも特装車の相談が可能とのこと。まずはここから質問してみるのも有効だ。

特装車導入は「アフターサービス」の確認が重要に

 実際に特装車の導入を検討する場合、どのような流れで進んでいくのだろうか。もちろんさまざまなパターンがあるが、まずはその事業者がどのように車を業務で使っているのか、また業務上の課題はどんなものかを明確にすることが重要だという。実際に、日産の販売店のカーライフアドバイザーがそれらをヒアリングしていくことも多い。

「特装車は、あくまで業務の課題を解決するための手段であり、仕事のニーズを満たすことが最優先です。ですから、まずは業務での車の使い方や必要な機能、あるいは今のお車で困っていることなどを明らかにすることが大切です。運輸業ならどのくらいの大きさ・重さの荷物を運べる車両が必要か、福祉施設の送迎車両ならどのような方が何人乗るのか、車いすのまま乗れる仕様にすべきか、手すりなどの補助はどこまで必要か。これらを明確にした上で最適な車両を考えていくというステップです」

 こうしたプロセスを踏むと、先述のように当初は特装車を考えていない事業者でも、自社の課題解決手段として特装車に行き着くケースもある。

 もう一つ、特装車を導入する際のポイントとして、本間氏は「販売店のアフターサービスが充実しているかを確認してほしい」と話す。

「特に重要なのが、車検などで代車が必要になった場合の対応です。販売店からどのような代車を提供してもらえるのか、事前に確認しておくことが大切でしょう。なぜなら代車を使用している期間も、事業者はビジネスを止めるわけにはいきません。運輸業にしても福祉施設の送迎にしても、一時的に特装車の代わりを務められる車、最低限その業務に必要な機能を持った代車を提供してもらえる販売店が望ましいでしょう」

 なお、こうした特装車を選ぶ上で、車種のラインアップが揃っていることも日産の強みだという。冒頭で述べた通り、日産には軽自動車からバンやトラック、EVまでフルラインアップで車種がある。事業者にとっては、コストダウンを目的に車種を普通乗用車から軽自動車に変えたり、荷物の積載量を増やすためにバンからトラックにしたり、経営の課題に合わせて臨機応変に車種変更しやすい。「メーカーや販売店を変えず、そのまま車種変更できるのはメリットではないでしょうか」と話す。

 これらをふまえて、「商用車や特装車への要望、悩みがある方は日産のHP(Biz NISSAN)にあるお問合せ窓口からお気軽に相談ください。こちらのお問合せ窓口なら仕様(架装)や価格に関する質問を始め、納期や修理に至るまで幅広くお客さまの質問を受け付けています。必要に応じて適切な販売店に引継ぎ、ワンストップでお客さま対応をしています」と本間氏。繰り返しになるが、最初は車に関する小さな悩みや要望を伝えるだけでも良いという。その悩みを聞く中で、解決策として最適な1台が浮上してくるかもしれない。

 業務で使う車について課題を感じている事業者の方は、まずは日産の販売店で相談してみてはいかがだろうか。

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