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徳川家康はなぜ260年もの太平の世を築けたのか。
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 従来とは大きく異なる競争環境で組織が生き残るためには、周囲の変化のスピードを上回る速さで自ら変革を成し遂げられる「自走式」になる必要がある。そして、この自走式組織へと変化を促すために求められているのが、「共感型リーダー」だ。本連載では、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田松雄氏による『共感型リーダー まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法』(岩田松雄著/KADOKAWA)から、内容の一部を抜粋・再編集し、組織を自走させるためのリーダーシップについて紹介する。

 第1回は、リーダーシップ理論の歴史を振り返り、今の時代にふさわしいリーダーシップのスタイルを探る。

<連載ラインアップ>
■第1回 血の気が多かった徳川家康が、なぜ260年もの太平の世を築けたのか?(本稿)
■第2回 危機的状況でも部下に厳しく言えない・・・上司が選択すべき最適解とは?(6月18日公開)
■第3回 本田宗一郎の傍らには藤沢武夫・・・なぜ成功する経営者には「相棒」がいるのか?(6月25日公開)
■第4回 なぜ「人の良いおっちゃん」は、管理職として不合格なのか?(7月2日公開)
■第5回 リーダーは前に出る? 一歩下がる? 元スターバックスコーヒージャパンCEOが悩んだ末に出した答えとは?(7月9日公開)
■第6回 京セラ創業時に、若手に突き上げられた稲盛和夫が悟った「経営の意義」とは?(7月16日公開)
■第7回 元スターバックスコーヒージャパンCEOも実践する自己認識「ジョハリの窓」とは?(7月23日公開)

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リーダーのスタイルは 状況で決まる

■ リーダーシップは生まれつきではない

 リーダーシップを小さい頃から発揮している人は確かにいます。幼稚園でも、保育士や周りを仕切っている子供もいます。あたかも生まれつきリーダーシップを持っているかのようです。しかし一方で子供の頃は泣き虫で、いじめられっ子だったのに、大きくなって立派なリーダーになった人も数多くいます。

■リーダーシップ特性理論

 リーダーシップ理論は1900年代から色々出てきましたが、最初に出てきたのが特性理論です。「行動力」「信頼」「説得力」「決断力」「誠実さ」などの生まれつきの様々な特質(trait) を持っている人が、良きリーダーだという説が出てきました。「偉大なリーダーには共通する特質がある」という前提によって、過去の優れたリーダーが持っている特質を明らかにしようとしました。調査の結果、成功しているリーダーが持っている特質は色々あって、全部数え上げると20項目以上の特質が出てきました。この中の5つだけと言うのであれば、重点的にそこを鍛えれば、立派なリーダーが育成できるかもしれません。実際20項目全てを身につけることは不可能です。人には必ず得意不得意はあります。例えば 「積極性」と「注意深さ」のように矛盾しがちな特性もあります。リーダーシップの特性には、どんな組織でも応用できる万能な特性はないのです。

■ リーダーシップ行動理論

 1940年代後半から出てきたのは、行動(behavior)に着目した理論です。行動は特性や性格と違って人の努力や経験によって変えられ、育成できるという観点が大きく違います。例えば業務(P=目標達成)を重視するスタイルか従業員(M=人間関係)を重視するスタイルかです(PM理論)。2004年の調査では、Consideration(配慮)は、フォロワーの満足度やモチベーションと強い相関関係があり、initiating structure(仕事の構造化)は、リーダー自身のパフォーマンスと強い相関関係があるとしています(入山章栄『世界標準の経営理論』より)