NOK 代表取締役 社長執行役員CEO 鶴 正雄(撮影:宮崎訓幸)

 自動車部品や電子部品でトップシェア製品を手掛けるNOKだが、「知る人ぞ知るメーカー」からの脱却を図るべく、2023-2025中期経営計画が進行中だ。今年4月には、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を起用し、グループ統一の新しいコーポレートアイデンティティ(CI)を策定。変革を加速させている。代表取締役社長執行役員CEOの鶴正雄氏に2031年に向けた戦略と中計の位置付けを聞いた。

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変革基盤の構築が3カ年計画の大きな方針

鶴 正雄/NOK 代表取締役 社長執行役員CEO

2005年NOK入社。常務執行役員、専務取締役などを経て、2021年代表取締役社長に就任。2022年より代表取締役社長執行役員。日本メクトロン代表取締役会長、NOKクリューバ―代表取締役会長、ユニマテック代表取締役会長を兼務。2023年CEOに就任。

――主に自動車向けオイルシールの製造を手掛けるNOKにとって、注視すべき環境変化とは何でしょう。

鶴正雄氏(以下敬称略) やはり100年に一度の変革期と言われる自動車業界の電動化の波です。エンジン、トランスミッション(変速機)がなくなることでオイルシールの採用点数が減ることは、ある程度想定しておかなければいけません。

 一方、グループ子会社の日本メクトロンが製造するフレキシブルプリント基板(FPC)は、従来のスマホ向けに加えて電気自動車(EV)のバッテリー向けのアプリケーションも登場し、高い成長性が期待されます。

 世界最大の自動車市場である中国では、日系メーカーに代わって中華系メーカーの存在感が高まっています。われわれは日系メーカーと日本でビジネスをして、彼らの海外展開に追随することでこれまで成長してきましたが、今後は中国、東南アジアの地場のメーカーとも協業しながら、新たな成長を取り込んでいくことも検討していきます。

――足元では2023年度にスタートした中期経営計画が進行しています。「変革基盤の構築」「絶えず変革し続け、計画を達成」など、「変革」の文字が目立ちますが、背景にはどのような思いや意図がありますか。

鶴 今までの計画はフォアキャストベースで立案していました。自動車関連ビジネスはライフサイクルが長く、生産計画なども読めるので、積み上げ方式でも比較的精度の高い計画を立てて、なおかつそれで成長もできました。

 しかし、変革期の真っただ中にあって、日系メーカーもEVシフトを加速していますが、日本ではなかなか普及が進んでいません。EV先進国の中国では中華系メーカーにシェアを食われる状況で、今までのようなフォアキャストベースで3カ年の計画を立てることにリスクを感じたことが背景の1つにあります。

 もう1つ、NOKは創業が1941年で2041年に100周年を迎えることから、その節目にNOKグループとしてありたい姿を若手社員を中心に描きました。しかし、2041年だと定量目標を持つには少し遠いので、90周年にあたる2031年をターゲットとして、「売上高1兆円、営業利益率8%以上」という大きな目標を掲げました。

 幸いなことに、2023年から計算すると9年後ということで、3カ年計画を3回立てれば、ホップ、ステップ、ジャンプで行けます。そこで2031年のあるべき姿からバックキャストして、それぞれにおいて何をすべきかを考えたのが今回の中計というわけです。

 ただ、フォアキャストベースだとなかなか到達できない、かなりチャレンジングな数字だったので、今までにない新しいビジネスのやり方、新しいマインドセットが必須であり、変革に向かう意識を常態化させるという意味で、変革基盤の構築をこの3カ年の大きな方針にしました。

3つの3カ年計画で、2031年度に「売上高1兆円、営業利益率8%」を目指す
(出典;https://www.nok.co.jp/pdf/csr/report/2023/integrated_report_2023.pdf)
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