2019年11月5日から11日まで『BEYOND FES 日本橋』が開催された。このイベントは、パラスポーツを応援する人を増やす東京都のプロジェクト『TEAM BEYOND』が競技やアスリートの魅力を発信し、競技会場での観戦を促進するためのもので、ステージイベントやパラスポーツ体験会などが目白押し。

 そのうちの『パラスポーツ×共生社会』をテーマにしたJBpressのステージには、パワーリフティング選手の宇城元さん、元オリンピック選手の千葉真子さんが登場した。進行役はJBpressの鶴岡弘之編集長が務めた。

鶴岡:2020年8月25日の東京パラリンピック開幕まで約9カ月です。パワーリフティングでロンドン、リオと2度のパラリンピックに出場した実績があり、今回3度目の出場を目指す宇城さんにとっては、最後の仕上げの時期ですね。

宇城さん(以下、敬称略):そうですね。僕の場合は東京パラリンピックへの出場権をかけて、2月と4月に大きな大会が控えています。

鶴岡:千葉さんは最近、さまざまなパラスポーツを体験しているそうですね。

千葉さん(以下、敬称略):千葉県内のケーブルテレビ6社が共同制作する『ちば情熱アスリート』という番組でナビゲーターをしているのですが、そこで、ボッチャとかブラインドサッカーとか、それから、車いすバスケットも体験しました。パラスポーツって難しいんですよね。たとえば車いすバスケットは、車いすに座っていると体幹がうまく使えなくて、ゴールまでボールが届かないんです。

宇城:そうなんです。僕はパワーリフティングの前に車いすバスケットをやっていたのですが、やはりゴールに届きませんでした。

鶴岡:宇城さんは、車いすバスケットを経て、パワーリフティングに取り組まれたんですよね。パワーリフティングとはどんなスポーツなのか、どこが見どころなのか、教えてもらえますか。

宇城:ものすごく迫力のある競技です。車いすの選手が、腕の力だけで200kgとか300kgとかを持ち上げるんですよ。男女ともに体重によって10階級に分かれていて、僕は今は80kg級で戦っています。

鶴岡:宇城さんのベストはどれくらいですか。

宇城:188kgです。

鶴岡:横綱白鵬関の体重が158kgだそうですから、あの横綱を軽々と持ち上げてしまうわけですね。

千葉:でも、宇城さんの厚い胸板を見れば納得です。

宇城:一方で、パワーリフティングは繊細な競技でもあります。バーベルは胸の上で静止させなくてはいけない、持ち上げるときには傾いてはいけないといった、細かいルールがあるからです。ここも、パワーリフティングの面白さです。

鶴岡:ナショナルトレーニングセンター(東京・北区)でトレーニングを積んでいるほか、わざわざ自宅に設置したトレーニングルームでも、練習を重ねているそうですね。

宇城:狭い部屋ですが、重さが400kgもあるマシンを設置したことで、たとえ短時間でも、毎日欠かさずトレーニングができるようになりました。

鶴岡:千葉さんは、『千葉真子 BEST SMILEランニングクラブ』のキャプテンとして、日々、たくさんの市民ランナーと触れ合っていますね。そもそも、どうしてそういった活動をしようと思ったのですか。