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昨年9月21日、日銀金融政策決定会合を経て金融政策のフレームワーク変更が発表された。東京大学大学院経済学研究科教授・植田和男氏は、これを「追加緩和ではないが、考え方の大きな変更」と呼んでいる。ここに至る背景や枠組み変更がもたらすもの、今後の金融政策について、植田氏に解説していただく。

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これは以前「マイナス金利」をご説明した時に用いたのと同じ図で、全体の動きをもう一度図式的に整理しておきましょう。

タテ軸には金融政策でいう「金利」の次元をとり、横に「量」の次元をとります。日本の場合、「通常の緩和」と見なされてきたのは、1990年代の半ばぐらいまで金利(特に短期)を下げていくことでした。しかし、1995年ぐらいにほぼ0パーセントに近づいたため、その後いろいろ考えられました。2000年代以降は、量を拡大する方向で金融緩和政策をやったりやめたりして、とりあえず直近までは中央金融の名の下で、進められてきたわけです。

しかし、今から申し上げる理由で、量の拡大にも限界があるのではないかということが次第に明らかになってきました。そこで、今年の1月には、金利をマイナスにする措置を行えば、多少の量的拡大と相まって、赤線で表したマイナス金利の下限に近づける方向に行けるのではないかという局面に入りました。

この方法にもいろいろな問題があり、なかなか素直に移行できない中で、今回の見直しが発表されたわけです。

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日本銀行の新しい政策枠組み~二つの変更ポイント
提供元:10MTVオピニオン