世界に先駆け超高齢社会を迎えている日本。
がん、脳疾患などが死因の上位にあがる中、「心臓突然死」で亡くなる人が年間に約7万人もいることをご存知だろうか。
患者さんの身体的な負担を軽減させる「低侵襲治療」において、様々な医療機器を開発・提供しているボストン・サイエンティフィック ジャパンは、心疾患領域においても積極的なチャレンジを続けている。
その姿勢について、ジャーナリストの蟹瀬 誠一氏が話を聞いた。
超高齢社会に直面
欠かせない予防医療の視点
――少子高齢化・多死社会という日本の「医療」課題に対して、我々はどのように向き合うべきでしょうか。
蟹瀬 長生きできる社会自体は素晴らしいものです。
一方、社会が超高齢化を迎えた中、膨らみ続ける医療費負担が国の財政を圧迫し、国民皆保険の維持は難しくなるという指摘もあります。
また、人口1000人あたりの日本の医師数はOECD加盟国の平均以下という問題もあり、様々な課題を抱えていると私には思えます。
鈴木 これから日本が経験するさらなる超高齢社会は、これまで人類が経験したことのないものです。
おっしゃる通り課題は山積みですが、歳を重ねても健康で若々しく過ごせる、いわゆる健康寿命を延ばすことが、結果的に医療費の抑制にもつながる。
課題解決に成功すれば、世界にお手本を示すことができ、日本はこの分野のリーダーになることもできるはずです。
蟹瀬 症状が悪化後の治療に加え、健康寿命を延ばす予防医療・先制医療の高度化は確かに欠かせない視点です。
ボストン・サイエンティフィック ジャパン(以下、BSJ)は、医療機器メーカーとして日本の医療の現実にどんな価値を提供できるとお考えですか。
鈴木 BSJは、身体的負担を抑える「低侵襲」、革新的な製品やサービスを創り出す「イノベーション」、そして「患者さんの人生を実り多いものにする」ということをミッションにしています。
ただ革新的というだけでなく、患者さんの視点に立った価値を創造していくことが重要だと考えているのです。
グローバルカンパニーとしての強みを生かし、世界標準となる製品・サービスを日本の医療や患者さんに提供し続けたい。
またグローバルな知見を持つからこそ、日本に最適化した開発や提案もできると思います。
心臓突然死の不幸を回避し
患者さんと共に生きる最新機器
――日本人の死因の上位には、がん、心疾患、脳血管疾患などがありますが、BSJは心疾患領域に積極的に取り組んでいますね。
鈴木 心疾患に対する事業展開は弊社のコアビジネスの一つです。蟹瀬さんは、心臓突然死で亡くなられる方が年間にどれくらいいると思われますか。
蟹瀬 うまく想像できないけれど、年間数万人でしょうか。数年前、元サッカー日本代表の選手が練習中に倒れ、突然死されたニュースには驚きました。
鈴木 実は約7万人といわれています(図)。約7分間に1人が心臓突然死で亡くなっているのです。
お話にあった元サッカー日本代表選手のように、年齢は若く、直前までなんの気配もなかったのに、いきなり倒れてしまうケースもあります。
心臓突然死は、患者さんの家族の喪失感も大きい。そのことをもっとたくさんの方に知ってもらいたいですね。
蟹瀬 近年、いろんな場所でAEDを見かけるようになり、意識は高まっていると感じます。
先日の新聞に「AEDが9年間で8000人の命を救った」という記事もありました。
鈴木 AEDが一定の効果をあげているのは間違いありませんが、「年間7万人」の不幸を減らしていくためには他の方策も必要だと思います。
心臓突然停止に対する治療法の一つとして、心臓の脈を監視し、不整脈の発作に反応して電気ショックを与えることで突然死を防ぐICD(Implantable Cardioverter Defibrillator)という、胸部に植え込む医療機器があります。
AEDの小型版を心臓近くに取り付けておくようなイメージです。
蟹瀬 心臓の近くに機器を植え込むことには、正直、怖さと不安もあります。
鈴木 ICDには大きく二つの種類があり、従来型は血管内にリードを入れ、必要な電気ショックを与えるものです。
一方、最近は心臓内にリードを入れることなく、同様の効果を得られる機種が開発されました。
BSJはどちらのタイプの機種も開発しています。
新型のICDは血液に触れないため、従来型にあったいくつかの問題を解決できる機器として多くの医療関係者から注目されています。
すでに欧米では多くの実績があり、ICD治療はこれから日本でも認知されていくでしょう。
蟹瀬 まさにBSJが目指す、体への負担が少ない低侵襲でイノベーティブな医療機器ですね。
「患者さんの人生を実り多いものにする」という面ではどうでしょうか。
鈴木 患者さんが日常生活を送るうえでの制約は非常に少なく、多くの方は、ほぼ通常通りの生活を送っていらっしゃいます。
ヨーロッパにはICDを植え込んでプレーしているプロサッカー選手もいます。
蟹瀬 それはすごいですね!
何かを諦めたり、躊躇したりせずに済むならQOLの向上につながり、これほどありがたいことはありません。
よりオープンな情報発信で
治療と向き合う患者さんを支援
――医療技術が進化する一方、高度化した技術を患者さんが正しく理解できるかという視点も重要ではないでしょうか。
ボストン・サイエンティフィック
ジャパン株式会社
リズムマネジメント事業部
営業部 営業部長
鈴木 新しい治療方法を理解してもらい、機器を適切かつ安全に使ってもらうためにも情報発信は重要な取り組みです。
総合病院のような規模の大きな病院だけでなく、クリニックや診療所などまで、より広範囲な情報発信を行っていきたいですね。
日々、多くの患者さんたちと直に接している開業医の方々に最新の技術を知っていただければ、より多くの方にICDのような機器を有効な治療方法だと認識してもらうきっかけになるからです。
蟹瀬 なるほど。
患者さんのことを最もよく知る「かかりつけ医」が、症状と様々な治療法を検討し、アドバイスしていくのですね。
私も、鈴木さんのお話を通じて心臓突然死について深く考え、ICDという治療を知ることができました。大いに期待しています。
鈴木 医療機器メーカーとして、どのような医療と患者さんを「つなぐ」かは大きなテーマ。
課題も多いのですが、次のステージに進むために全社一丸で乗り越えなくてはいけないこと。
我々が目指す「患者さんの人生を実り多いものにする」ために、これからもBSJならではの視点で様々な提案を行っていこうと思います。
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