2016年5月、富士通の最先端テクノロジーが一堂に会する社内向けのイベント「富士通フォーラム」が東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。テーマは『Human Centric Innovation Driving Digital Transformation』。Human Centric Innovationとは、先進技術で人々をエンパワーすることによって、ビジネスや社会のイノベーションを創り出す新たなアプローチ。Driving Digital Transformationは、新たなデジタル・テクノロジーがビジネスや社会の現場や中核的なプロセスの中に取り入れられ、非常に大きな革新を引き起こすことを指す。今回の国際物流総合展では、そこで初お披露目されたものも含め、富士通の最新の物流ソリューションを展示する。その内容について、近岡氏と上岡氏に聞いた。
物流ソリューションブランド『Logifit』シリーズが勢揃い
IoTやAIという言葉は、今は当たり前に使われるようになった。幅広い分野で高い品質のサービスを提供する富士通はそれらを物流の課題解決にも活用しようとしている。今回の国際物流総合展2016では『Human Centric Innovation Driving Digital Transformation~IoT/AIを起点とした次世代物流モデルの実現~』をテーマに、ステージでの導入事例の紹介を交えながらプレゼンテーションを行う。
近岡氏は「輸送コストの削減と品質の向上を進めたい、労働力の確保が難しくなってきたという声をお聞きすることが増えているので、IoTとAIを活用し、課題解決を進めていこうとしているところです。それを意識して、ロジスティクスソリューションブランド『Logifit』シリーズの主要製品の紹介を行います。また、最新の現場機器を利用した運用イメージを把握していただけるような展示を行います」と話す。
産業・流通営業グループ
産業・流通ビジネス推進統括部
ロジスティクス推進部長
近岡 由雪氏
2014年に発表し、約2年間でLogifitシリーズ全体で40社、385拠点をサポートしている。高いシェアを持つ物流センター管理システム『Logifit WM』もそこに名を連ねる。
「このシステムは、パラメータを調整するだけで、食品や衣料品など、さまざまなものに対応できます。ですから、複数のセンターで別々の荷物を扱う場合でも不自由なくお使いいただけます」(上岡氏)
産業・流通営業グループ
産業・流通ビジネス推進統括部
ロジスティクス推進部
上岡 正氏
このほか、グローバル版物流管理システム『Logifit WS』や、運輸業販売管理システム『Logifit TM―基幹』、配車管理システム『Logifit TM―配車』をラインナップする。Logifit WMにはクラウド版もある。
需要起点予測で生産計画の最適化も可能に
そのLogifitシリーズに代表される富士通の物流ソリューションは、ロジスティクス全体を最適化する「物流情報システムソリューション」、物流センターに関わる課題をワンストップで解決する「物流センターソリューション」、情報連携に注目し輸配送の上流から下流まで構築する「輸配送ソリューション」に大きく分類できる。
そのなかから、今回の展示のポイントをいくつか紹介すると、まず、物流情報システムソリューションの一角を占める予測物流によるSCMの実現がある。これは、需要起点の予測から、在庫・車両・人員を平準化し、全体のコストを最小化するものだ。
「たとえば都内のある店では、月曜の朝にAという商品が売れる。千葉県内のある店では、週末にBという商品が売れる。ビッグデータ解析により“その店で必ず売れるもの”を把握できれば、AIを使って、どこ行きのどのトラックの空きスペースには何を乗せるかを自動で判断できます。現在は配車表を見ながら人が手で調整している現場がほとんどですが、その繁雑な作業をサポートできます。こうすることで、余計な配車をせずにすみますし、生産計画の最適化にも貢献します」(近岡氏)
物流センターソリューションとしては、センター内の効率的な人員配置を実現するため、作業者の位置情報を取得する、BLE通信(Bluetooth Low Energy)を用いた仕組みを提案する。
「ハンディターミナルなどの端末を持たない作業者には、たとえばバッジ型のセンサーを装着させることで位置を把握し、誰がどこにいるか、何の作業をしているか、つまり生産性が把握できます。すると、生産性をもとに人員の配置が可能になり、コスト管理も容易になります。センター内で同時に別の作業が進められているとき、進捗状況に応じて人員を再配置することもスムーズに行えます」(上岡氏)
また、物流現場のピッキングや搬送、検品・仕分けといった各場面での効率化の提案を行う。たとえばピッキングの場面では、人間の後を追いかけて移動する自動追従台車を導入し、検品・仕分けはロボットで自動化するといった具合だ。ロボットまでの搬送にはAGVを用いるといった具合だ。
配送後の荷物の温度もリアルタイムで観測
輸配送ソリューションでは、複数温度帯の一括配送をより低コストで行いたいというニーズに答えるものとして、移動型冷凍ボックスと温度・位置センサーを組み合わせた、新しい複数温度帯一括配送の仕組みを提案する。
「移動型冷凍ボックスは、物流センターでは冷凍庫、車載時・車から降ろしたときは保冷ボックスとして機能するものです。一般的な常温車にこれを乗せれば、他に冷凍車を手配しなくても、複数温度帯の商品を一括で配送できるのでコストが削減できます。また、移動型冷凍ボックスにはGPSと温度センサーを搭載するので、たとえば配送先の店舗の軒先にしばらく置いておいた場合でも、盗難防止や温度管理がリアルタイムで可能です」(近岡氏)
また、ドライバーのバイタルデータをリアルタイムに観測する『FEELythm』も、IoTを標榜する富士通らしいサービスだ。
「ドライバーの耳につけたセンサーから、ドライバー自身は自覚しないような“眠気”も測り、検知した場合にドライバーや運行管理センターにアラートを発することで、安全な運転をサポートするものです」(上岡氏)
すでに大手の高速バス運行会社に導入されているこの仕組みは、物流の現場でも安全性を高めることができる。
これまで紹介してきたのは、多岐にわたる富士通のロジスティクスソリューションのごく一部だ。
「トータルでのソリューションを提案していますが、現場のソリューションがなければ管理側のソリューションの魅力も半減しますので、まずは現場のソリューションをぜひご覧いただきたいと思っています」(近岡氏)
富士通の物流ソリューションが揃った場にぜひ足を運んでいただき、課題解決のヒントを見つけて欲しい。
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