尖閣諸島への中国の強引な領有権所有の主張は日中関係をますます緊迫させてきた。日本と中国との関係の悪化は、2国間にとどまらず東アジア全体に大きな影響を及ぼす。その結果、超大国の米国にも余波をぶつけていく。逆に米国も自国のアジア政策を展開する上で日本と中国との対立を軽視はできない。
しかし米国のオバマ政権の尖閣紛争への対応はどこか歯がゆい。同盟国である日本の固有の領土であり、しかも米国自身がかつて沖縄返還時に日本領と認めて日本に返還した尖閣諸島に対して、中国が根拠薄弱な領有権主張を叫んでいるのである。日本にしてみれば、米国はもっと断固としてはねつけてくれてもよいのではないか、と感じさせられる。
確かに米国の歴代政権は第三国同士の領有権紛争には中立を保つという大原則を掲げてきた。だから直接の関与を公式には避けるというところまでは分かる。だが、米国の歴代政権は尖閣諸島の日本の統治を認め、日米安保条約が同諸島に適用されることを公式に言明してきた。
オバマ政権も同様である。尖閣諸島が第三国から軍事攻撃を受ければ、米国は日本とともにその防衛にあたることを責務だと認めているのだ。だからまったくの中立はありえない、というのが日本側の偽らざる心情だろう。
米国が「中立」でいるとアジアが不安定な状況に
そんなときにオバマ大統領にも近い政権党の民主党の大物議員が、日本にとっては極めて心強い見解を発表した。尖閣を含む東シナ海や南シナ海での中国の領土拡張、他国への恫喝を正面から非難したのである。
この議員はしかもオバマ政権に対して、中国にもっと強固な態度をとることをも求めていた。
オバマ政権の公式対応が米国のすべてではない。同政権を支える民主党にも、中国の主張を排し日本の立場に同調する勢力が健在であることの例証だった。こうした姿勢が米国全体としては本音なのだろうか。