煮貝では山梨県随一の老舗である「信玄食品」。主力商品のあわびの煮貝は、四方を山に囲まれた甲州の名産品でもある。同社は40年以上前にオーストラリア産のあわびに着目し、現在では海外の各地からあわびを仕入れている。特徴は活きたままのあわびを現地工場で一次加工していること。風味と鮮度を保った状態で日本に輸入し、本社工場で加工して商品化している。
「あわびは協力工場の冷凍倉庫に常時100トン程度保管し、本社工場の大型冷凍庫にあるのは40トン程度」と同社の商品開発部長の海野至唯氏は説明する。同社にとってあわびの在庫量は生命線であり、本社工場の冷蔵庫はまさに心臓部にあたる。
内田 広志 氏 課長 海野 至唯 氏
しかし、同社が本格的に在庫管理に取り組んだのはほんの数年前からに過ぎない。現場任せで棚卸時に大きな差が生じることも珍しくなかった。
「大事な経営資源なのだからもっと正確に管理したい」と考えた海野氏は、PCが使える製品管理部の係長の内田広志氏に管理業務を担当させた。2年前のことだ。
「ただ、製造現場や開発現場は水を常時大量に使い、包装現場や倉庫は埃が多く、PCを設置したり、タブレットを持ち込むことができません。事務室のPCでプリントアウトして、現場に持ち込んで使っていました」と内田氏。
冷凍庫の在庫確認には、在庫表のプリントアウトにペンで現在の数量を記入する。開発室の開発工程では、調味料などの配合を記入した試作計算表を打ち出して、試行錯誤の結果を記入する。製造現場ではパウチで加工した作業指示票をもとに進める。包装紙の資材倉庫では担当者が持ちだした数を備え付けの表に記入するといった具合だ。
「PCにデータを入力し直す手間がかかり、ヒューマンエラーが起きやすく間違いも多い。でも現場にPCは持ち込めない。管理のインフラまでは構築したのですが、次のステップに進めず悩んでいました」(海野氏)。そこで今回、同社の現場で水や埃に強いパナソニックのタブレット「TOGHPAD(タフパッド)FZ-G1」(以下、TOUGHPAD)を使ってもらった。
棚卸用シートを用意してTOUGHPADで在庫チェック
「TOUGHPAD」の最初の適用領域として同社が選択したのは、心臓部である冷凍庫の在庫管理作業だ。ただし、冷凍庫はマイナス18度前後になるので、冷凍庫の前の予備室での在庫確認をメインに取り組んだ。
内田氏は早速、在庫管理表とリンクした棚卸用シートを作成した。サーバーから過去の在庫データを落とし込み、シート上で入力したデータは在庫管理表に反映させた。「数量や保管場所などを現場で入力しやすいようにシートにはプルダウンメニューを用意するなど、工夫しました」と内田氏。
作業時には手袋をしているので、入力にはタッチペンを使用する。TOUGHPADのCPUはインテルの Core i5-4310U vPro プロセッサー2.00GHz。ハードディスク代わりに搭載されたSSDの容量は128GBでメモリーは4GB。性能面で最新のパソコンと遜色ないだけに、思い通りのセッティングができたという。
「チェック作業には手書きと同様に1日かかりましたが、データの再入力の手間がなく、棚卸作業全体はかなり効率化できました。駆動時間が長いので安心して使えますし、Windows8の画面は直感的に操作できるので、PCに不慣れな作業員でも使えそうです。重量も約1.1キログラムと軽く、ハンドストラップを使えば作業中に落とす心配もありません」と内田氏は手ごたえを語る。
また、試しにTOUGHPADを冷凍庫の中に持ち込んで使ってみたが、問題なく作動したという。スペック上保証されているのはマイナス10度までだが、使い方によってはマイナス18度でも問題はなさそうだ。
水や埃を気にせず使えるから現場とITの距離が縮まった
「なんといっても一番の利点は、水や埃を気にしないで使えることですね」と海野氏は話す。PCを持ち込めないと思っていた現場にタブレットを持ち込めることがわかり、ITの活用の可能性が広がった。「現場の作業の生産性を上げ、より正確な経営数字を把握できそうです」(海野氏)。
最大のポイントは、現場にタブレットを持ち込めるようになって、情報がつながることだ。例えば、開発現場では、調味料の配分などの変更情報を紙に記入して、PCのあるところまで行って再入力する必要がなくなる。情報はタブレット上で変更することで記録できる。
海野氏は「作業現場に人が紙を持って行き情報を伝えるという今のやり方はあまりにも非効率的。大きなディスプレイを使って、製造現場や包装現場にサーバーからの情報を表示するのも良いですね」と今後の展望を語る。急な変更をスムーズに現場に伝えることができ、機動力も上がる。こうした発想も現場にタブレットが持ち込めることが分かったことで広がっていく。
バーコードで棚卸作業を円滑に進めたいと考えていた内田氏は、TOUGHPADをカスタマイズすることで、バーコードリーダーやLAN、シリアルなどがを装着できると聞いて興味を示す。
(※カスタマイズ機能の詳細はこちら)
「バーコードを取り入れれば、在庫管理が飛躍的にやりやすくなりますね」と期待を語る。
また、海外にある一次加工場での活用も視野に入る。ここではTOUGHPADに搭載されたカメラが武器になりそうだ。遠隔地から撮影した写真を送って、本社の担当者に確認をとりながら、現地の体制をチェックしたり、作業の進め方を指示できる。
「3年前から描いていたIT活用の構想がTOUGHPADによってようやく実現できそうです」と海野氏と内田氏。これまで現場のIT化がなかなか進まなかっただけに、今後の展開が楽しみである。
TOUGHPAD(タフパッド)シリーズ
■OS:Windows 8.1 Pro Update 64ビット(日本語版)
(Windows 7 Professional ダウングレード権含む)
■CPU:インテル® Core™ i5-4310U vPro™ プロセッサー
(インテル® スマートキャッシュ 3 MB、動作周波数 2.00GHz、
インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー2.0利用時は最大3.00GHz)
■液晶:10.1型IPS液晶 WUXGA(1920x1200ドット)
(AR処理 静電容量式マルチタッチパネル+デジタイザー機能付き)
■ストレージ:SSD 128GB
■メモリー:4GB
■質量:約1.1kg (デジタイザーペン除く)
■駆動時間:(JEITA2.0)約9時間、(JEITA1.0)約13時間
【選べるシリーズ】
・Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデル
・Windows 7 Professional 32ビットプレインストール済みモデル
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