歴史があるが故に、新しいITの導入がなかなか進まなかった農業。ところが、農業の流通システムが変わりつつあるのに合わせるように、ITの活用も進んできている。そのキーとなる存在が、立ったまま操作でき、画面も見やすいタブレットだ。

 なかでも、今年3月にパナソニックが発売した、Windows 8.1 Pro を搭載した企業向けのタブレット「TOUGHPAD(タフパッド) FZ-G1」(以下、TOUGHPAD)は、その名の通りのタフさから、様々な過酷な現場での活用が期待されている。そのひとつが、農業だ。

 従来、農業生産者はJAを通じて、生産物を全国に流通させてきた。これに加え、今、生産者グループと呼ばれる組織がいくつかの生産者を束ね、大手外食チェーンや宅配業者へ直接生産物を売るというスタイルが増えている。

 野菜くらぶ(群馬県昭和村)は、その先駆けとなる存在だ。高原の気候を利用したレタスやコマツナ、群馬名物のコンニャクなどを手がけている。

 同社の創業は1992年で、すでに21年の実績がある。トレースができる生産物を、数量を間違いなく、滞りなく出荷することを重視している。

 なかでも、標高や気候の異なる拠点を設けたことで実現した、レタスの安定的な通年出荷に定評がある。納入先には「らでぃっしゅぼーや」や「モスフードサービス」など、大手が名を連ねる。

 今回、その野菜くらぶで、TOUGHPADの可能性を伺った。

情報のやりとりはすべて紙ベース
入力に手間がかかることが課題

 現在、野菜くらぶがとりまとめる生産者の数は50以上ある。その一軒一軒と、毎週、生産発注や農薬の使用状況の報告などを、ファクスで行っている。あっという間にファイルがいっぱいになる。また、野菜くらぶの敷地内に野菜が届いたときには、紙のチェックシートに数量などを記入している。

 これらのファクスやメモは、事務所で、スタッフがパソコンに入力することになる。

 「手書きは読み間違えることがありますし、パソコンに入力したデータを印刷し、それをわざわざファクスしてくる生産者さんについては、データをそのままもらえた方がお互いに楽なのになと思います」

 そう話す野菜くらぶの専務取締役で事業本部本部長の毛利嘉宏さんは、その手間を何とかしたいと考えてきた。

 「例えば入荷チェックでは、紙の代わりにIT端末を使い、そこで入力したデータがそのままパソコンでも管理できれば、かなり楽になります」

 入荷チェックは、屋外のトラックの脇や、倉庫で行われる。作業中は立ったままだ。

 「ですから、パソコンというわけにはいきません」

株式会社 野菜くらぶ
専務取締役  事業本部本部長
毛利 嘉宏 氏

 そこで毛利さんは、タブレットに注目した。

 なかでも、10.1型IPS液晶を搭載したTOUGHPADはうってつけだ。強い外光の下でも画面が見やすい。また、約1.1kgと軽量でショルダーストラップが付けられるので、持ち運びは苦にならず、ペンも付いているため、たとえ軍手のままでも操作ができる。さらに、万一の落下の衝撃にも強い。

 「このTOUGHPADと生産現場で使いやすいシステムが組み合わされば、とても便利になるでしょう。15年ほど前から、システム化を試みてきましたが、その頃はタブレットがありませんでした」

 システムは独自開発を進めてきた。しかし、パソコンのスペックが低いなどの理由で、快適には操作ができず、入力に時間がかかり、イライラすることもあったという。

 その点、CPUはインテルの Core i5-4310U vPro で、ハードディスク代わりに搭載されたSSDの容量は128GB、メモリーは4GBと最新のパソコンに引けを取らず、直感的に操作できる Windows 8.1 Pro を搭載するTOUGHPADは、仕様に不足がない。

 「このタブレットが登場したことで、不便だった物が改善されることは、簡単にイメージできます」

パリ・ダカに耐えられるタブレットでなければ
農業の現場では使い物にならない

 すでにTOUGHPAD JT-B1(7インチモデル)を購入した生産者もいる。野菜くらぶにレタスやキャベツ、ブロッコリーを納めているノームランド高橋の代表取締役・高橋宣明さんだ。

 36歳と若い高橋さんは、タブレットが登場した当初から、仕事に使えるのではないかと注目していた。

有限会社ノームランド高橋  
代表取締役  
高橋 宣明 氏

 「圃場に持っていって、過去に使った農薬の使用量を参照したり、その日に使った農薬の種類や量をその場で入力できれば、便利だと思っていました」

 しかし、スマートフォンは入力には小さすぎる。では、タブレットならどれでもいいかというと、そうではない。

 「雨も降るし、泥のついた手で触るし、水や土に弱いタブレットは絶対に使えません。(砂漠地帯を長時間走行することから、世界一過酷なモーターレースと言われる)パリ・ダカに耐えられるほどのスペックが必要なんです。だから、TOUGHPADしかありません」

 それに加え、高橋さんはもうひとつ、TOUGHPADを選んだ理由を挙げた。

 「僕は、松下幸之助さんのファンなんです」

 毛利さんも、TOUGHPADの約13時間(JEITA1.0)というバッテリーの持続時間をこう評している。

 「作業中に電池切れという心配がありませんね。私は普段、パナソニックのノートパソコン『レッツノート』を愛用していて、長い持続時間を実感できているので、TOUGHPADにも期待しています」

 現在、多くの生産者は、農薬の使用量について過去を参照したければ厚いファイルを圃場へ持っていき、その日の使用量は、農作業が終わってから自宅でパソコンに入力している。要するに、パソコンの前で残業をしている格好だ。手間がかかるのはこれだけではない。本来ならITに任せたい再計算も、生産者の負担となっている。

 例えば、生産者側は、「いつどの圃場にどれだけ肥料や農薬を使ったか、コストがかかったか」という記録を取っておきたい。

 一方で、野菜くらぶや納入先、そして消費者は、「この作物10アール当たりに、どんな肥料や農薬がどれだけ使われてきたか」を知りたい。

関係者をつなぐシステムと組み合わせると
TOUGHPADの可能性はさらに広がる

 「だから、出荷の時には全部計算をし直して、決められた形式の書類に記載する必要があります。しかも、出荷先によって、提出する書類に必要なデータが少しずつ異なるので、その数だけ再計算が必要です。でも、生産者グループと生産者をつなぐシステムとTOUGHPADがあって、自分たちに便利な方法で記録をしたら、見る人にも便利な方法にデータが自動的に変換され、それをそのまま送ることができれば、こういう手間はいらなくなります」(高橋さん)「手間だけでなく、ミスも減りますよね。もし私たちが納入先やその先にいる消費者の方に、間違った数字を伝えてしまったら、信頼を失うことになります。それはあってはならないことです」(毛利さん)

 高橋さんには、日々の生産の管理以外にも、TOUGHPADに期待することがある。それは、後継者の育成だ。

トラクターでTOUGHPADを操作する高橋氏

 「若くして農業を志す人の中には、親は農業をしていない人もいます。ですから、子どもの頃に親の仕事を見て農業のセンスを身につけられていない。でも、絶対に農業にはセンスが欠かせません。もし、センスを身につけられないまま、農業を始めようとする人の側に、TOUGHPADがあったらどうなるか。そこで簡単に過去のデータベースなどを参照できれば、センスを磨く助けになります」

 農作物と切っても切り離せない水と土。これからの農業に欠かせないIT化。どちらにも強いTOUGHPADは、まさに農業にうってつけの存在だ。

 

TOUGHPAD(タフパッド)シリーズ

TOUGHPAD FZ-G1

■OS:Windows 8.1 Pro Update 64ビット(日本語版)
(Windows 7 Professional ダウングレード権含む)
■CPU:インテル® Core™ i5-4310U vPro™ プロセッサー
(インテル® スマートキャッシュ 3 MB、動作周波数 2.00GHz、
インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー2.0利用時は最大3.00GHz)
■液晶:10.1型IPS液晶 WUXGA(1920x1200ドット)
(AR処理 静電容量式マルチタッチパネル+デジタイザー機能付き)
■ストレージ:SSD 128GB
■メモリー:4GB
■質量:約1.1kg (デジタイザーペン除く)
■駆動時間:(JEITA2.0)約9時間、(JEITA1.0)約13時間

【選べるシリーズ】
・Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデル
・Windows 7 Professional 32ビットプレインストール済みモデル
 

 

TOUGHPAD FZ-M1

 

≪通常モデル≫
■OS:Windows 8.1 Pro 64ビット(日本語版)
(Windows 7 Professional ダウングレード権含む)
■CPU:インテル® Core™ i5-4302Y vPro™ プロセッサー
(インテル® スマートキャッシュ 3 MB、動作周波数 1.60 GHz、
インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー2.0利用時は最大2.30GHz)
■液晶:7型TFTカラー液晶 WXGA(1280×800 ドット)
(静電容量式マルチタッチパネル(10フィンガー対応))
■ストレージ:SSD 128GB
■メモリー:4GB
■質量:約0.54kg(ワイヤレスWAN内蔵モデルは約0.55 kg)
■駆動時間:(JEITA 1.0)約9時間
(オプションのバッテリーパック(L)装着時には(JEITA 1.0)約18時間)

【選べるシリーズ】
・Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデル
・Windows 7 Professional 32ビットプレインストール済みモデル

≪Celeronモデル≫
■OS:Windows 8.1 64ビット
■CPU:インテル® Celeron-N2807 プロセッサー 1.58GHz
■液晶:7型TFTカラー液晶 WXGA(1280×800ドット)
(静電容量式マルチタッチパネル(10フィンガー対応))
■ストレージ:eMMC 64 GB
■メモリー:2GB
■質量:約0.54kg(ワイヤレスWAN内蔵モデルは約0.55 kg)
■駆動時間:(JEITA2.0)約8時間、(JEITA1.0)約9時間

【選べるシリーズ】
・Xi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデル
・Windows 7 Professional 32ビットプレインストール済みモデル


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