Business Model Generationの共著者で、「ビジネスモデルキャンバス」を提唱したアレックス ・オスターワルダー氏
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 将棋に「定石」があるように、ビジネスには経営学者や実務家によって開発された「フレームワーク」がある。思考を助ける枠組みであり、アイデア創出やニーズの発見、課題の洗い出し、戦略立案、業務改善など、活用シーンはさまざま。その概要と使用法を心得ておくことが、ビジネスパーソンにとっての大きな武器となる。本連載では、事例・参考例が豊富な『ビジネスフレームワークの教科書 アイデア創出・市場分析・企画提案・改善の手法55』(安岡寛道、富樫佳織、伊藤智久、小片隆久共著/SBクリエイティブ)から、内容の一部を抜粋・再編集。

 第4回は、競合他社を意識した差別化戦略を構想するためのフレームワーク、「戦略モデルキャンバス」を解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 斬新な着想を得るための「ランダム刺激発想法」とは?
第2回 商品開発のプロセスに顧客を巻き込む「コミュニティ共創法」と実施のポイントは?
第3回 顧客の「欲しい」を見つける「バリュー・プロポジション・キャンバス」の使い方とは?
■第4回 ライバルとの比較で独自のビジネスを構想する「戦略モデルキャンバス」の使い方とは?(本稿)
■第5回 「儲ける仕組み」と「コスト構造」を明らかにする「収益モデル」の使い方とは?(7月10日公開)
■第6回 新たな成長戦略の策定に活用できる「アンゾフの成長マトリクス」とは?(7月17日公開)
■第7回 経済学者H・ミンツバーグが提唱したSWOT分析の発展形とその使い方とは?(7月24日公開)
■第8回 注力すべき事業・商品・顧客が分かる「パレート分析」とは?(7月31日公開)

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戦略モデルキャンバス 概要

ビジネスフレームワークの教科書』(SBクリエイティブ)

 戦略モデルキャンバスは、新規事業の構想や既存事業の見直しの際に、ライバルとの比較を行いながらどのように差別化をするかを確認・整理するフレームワークです。

 戦略モデルキャンバスの特徴は、左側に自社の事業を構築する資源や活動、製品を記入し、右側にライバルに関する事項を記入することで、市場の競争環境を検討しながらビジネスモデルを構想できる点にあります。

 キャンバスの各項目を埋めていく際に意識すべきことは「ライバルとの差別化」です。差別化には、価格、ターゲット、ニーズといった検討項目がありますが、戦略モデルキャンバスで確認できるのは「自社が持つ資源とそれを用いた活動の組み合わせがいかに独創的であるか」です。「資源と活動の組み合わせ」が独創的であればあるほど模倣障壁が高くなり、ライバルとの差別化が可能となります。