将棋に「定石」があるように、ビジネスには経営学者や実務家によって開発された「フレームワーク」がある。思考を助ける枠組みであり、アイデア創出やニーズの発見、課題の洗い出し、戦略立案、業務改善など、活用シーンはさまざま。その概要と使用法を心得ておくことが、ビジネスパーソンにとっての大きな武器となる。
本連載では、事例・参考例が豊富な『ビジネスフレームワークの教科書 アイデア創出・市場分析・企画提案・改善の手法55』(安岡寛道、富樫佳織、伊藤智久、小片隆久共著/SBクリエイティブ)から、内容の一部を抜粋・再編集。
第5回は、「儲ける仕組み」と「コスト構造」を整理する「収益モデル」を取り上げる。
<連載ラインアップ>
■第1回 斬新な着想を得るための「ランダム刺激発想法」とは?
■第2回 商品開発のプロセスに顧客を巻き込む「コミュニティ共創法」と実施のポイントは?
■第3回 顧客の「欲しい」を見つける「バリュー・プロポジション・キャンバス」の使い方とは?
■第4回 ライバルとの比較で独自のビジネスを構想する「戦略モデルキャンバス」の使い方とは?
■第5回 「儲ける仕組み」と「コスト構造」を明らかにする「収益モデル」の使い方とは?(本稿)
■第6回 新たな成長戦略の策定に活用できる「アンゾフの成長マトリクス」とは?
■第7回 経済学者H・ミンツバーグが提唱したSWOT分析の発展形とその使い方とは?
■第8回 注力すべき事業・商品・顧客が分かる「パレート分析」とは?
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収益モデル 概要
収益モデルとは、事業活動の売上の獲得方法とコストの構造です。言い換えると以下のようにいうこともできます。
- その製品・サービスで儲ける仕組み
- その製品・サービスを提供していくために必要な支出
ここで紹介する収益モデルを利用すれば、これらを整理し、言語化することができます。
なお、新規事業の収益モデルを検討する際は「売上の獲得方法」から検討するとよいでしょう。例えば、「サブスクリプション(定額制)」「成果報酬」「ソリューション提供」といったさまざまな型(モデル)を検討します。
自社のビジネスを、現状とは異なる収益モデルに当てはめてみることで、新たな提供価値を見出せる可能性もあります。
【ここがポイント!】
収益モデルとは、事業活動の「売上の獲得方法」と「コストの構造」
使い方
収益モデルを検討する際は次の各項目について整理します。
なお、既存ビジネスの革新を検討する際は、マーケティングデータなどから「市場ニーズの変化」や「競合の事業変革の動向」を分析して、自社の資源をどのように転換すべきかを事実ベースで検討することが重要です。
一方、アイデアベースの新たな収益モデルを検討する際は「リフレーミング」(p.68)を用いて売上の獲得方法を模索することも有効です。
また、新規ビジネスの創造を検討する際は、マーケティング調査に基づいて代替品の売上の獲得方法や価格を参照したうえで「潜在顧客はどのような価値に対してお金を払うか」や「適正価格はどのくらいか」などを検討するとよいでしょう。