DX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性は多くの企業が認識しているものの、思うように進まないことが少なくない。最大の原因として挙げられるのがDXを推進するIT人材不足だ。外部委託に頼ると変化の激しい市場や顧客ニーズにすばやく対応できない、ノウハウが社内に蓄積できないなど、社内の人材不足により多くの弊害を引き起こす。その解決策として注目されているのが、大きな潮流になりつつある「ノーコードツール」だ。なぜDX推進の切り札となり得るのか、アステリア株式会社 マーケティング本部 副本部長 東出 武也氏に話を聞いた。
※出典元:総務省「令和3年版情報通信白書」2021年7月
日本企業のDXが進まぬ理由は「IT人材不足」
日本企業のDXが一向に進まない――そんな言葉をよく耳にする。ビッグデータやAIとともに、DXは数年前からキーワードになっている。実際、多くの企業がDXに取り組み、成功例も出てきているが、全体からするとまだ少ない。
従来からあるアナログ業務のデジタル化や老朽化したシステムの刷新など、企業もやるべきことはやっている。それにもかかわらず、なぜ思うようにDXが進まないのか。最大の原因は「IT人材不足」だと、アステリアの東出武也氏は指摘する。
「DX推進が思うようにいかない一番の原因は、IT人材が不足しているからです。企業のIT化が謳われた数十年前からずっと言われてきた課題ではありますが、近年DXの波が来たことでさらに拍車がかかっています。しかも、全ての企業が同じ状況なので、これから新たに人材を確保することは難しいです」(東出氏)
DX推進における3つのフェーズ
アステリアでは、次のようにDXを3つのフェーズに分けて捉えているという。
●第1フェーズ:IT利用による業務プロセスの強化
●第2フェーズ:ITによる業務の置き換え
●第3フェーズ:業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態
最終的に目指すDXのゴールは第3フェーズだ。しかし、それは第1~2フェーズを経たうえで到達できる。ところが、多くの企業が第1~2フェーズで課題を抱えており、DXがうまく進められないというのだ。
第1~2フェーズとはDXにおける基礎のようなもので、ここがしっかりと確立されていなければ第3フェーズは達成できない。しかし、一見第1~2フェーズをクリアしているようでも、実はできていないケースも多いという。
「第1フェーズでの課題は主に現場業務で、紙ベースで行っている作業、工場や倉庫での業務、客先などフィールドワーク現場でデジタル化と、それに伴う業務プロセスの改善です。これが進んでおらず、多くのアナログ的業務が残ったまま、一応デジタル化はしたものの業務プロセスは従来のままというケースがあります。
第2フェーズでは、ERPやSFA、CRMといった業務システムの導入などで、ここは実践できている企業も多いです。しかし、それらシステム間の連携となると壁があります。SaaSなどによって導入の敷居が下がった反面、システムやデータが乱立してサイロ化してしまうケースが多くの企業で発生しています」(東出氏)
非IT人材をDX人材に変える
DXで重要となるのがデータ活用だ。さまざまな製品やサービスでデジタル活用が進んだことで、企業内には多くのデータが様々なシステムに蓄積されている。それらを組織やシステムを越えて連携させることで、新たな製品やサービスの価値創出につなげる。これが理想的なDXの姿だ。しかし現実は、データやシステムが分断・孤立したまま「サイロ化」している。これを解決しなければ、そもそも本来のDXに取りかかることすらできない。
このようなDXの課題を解決するためにアステリアが提供するのが、データ連携ツール「ASTERIA Warp(アステリアワープ)」だ。柔軟なシステム間データ連携を実現するためのツールで、100以上のクラウドサービスやシステムに対応している。最大の特長は、ノーコードで開発できること。つまり、プログラミングのスキルを持たない非エンジニアでも開発できる。
「IT人材不足の解決策として当社が出した答えは、非IT人材でもDXに携わることのできる環境を提供することです。新たな人材を確保できないなら、今いる人材を活かすしかありません。しかし、近年注目されているリスキリングやリカレント教育は、コストと時間がかかります。
そもそもDXの本質は、システムの構築やデータ連携そのものではなく、それによって何を見出すか。これはエンジニアではなく現場の担当者が担うべき領域です。ASTERIA Warpを使うことで、IT人材ではなくても、DX人材にはなれるわけです」(東出氏)
ノーコードツールによる内製化でDX推進
ASTERIA Warpによるノーコード開発は、非IT人材のDX人材化を実現し、結果として企業システムの「内製化」をもたらしてくれる。これはDX推進において大きな意味を持つという。
「ノーコードによる社内総DX人材化は、システムの内製化を促進します。一般的に日本企業はITシステムの開発を外部委託しがちです。それはメリットがあるからですが、DXにおいてはデメリットのほうが多いと考えています。自社で可能な限り開発できる体制を整えておくことで、市場やユーザーのニーズに迅速に対応できて、ノウハウも蓄積できます。いざDXという段階で何から始めればいいか分からないというのは、まさに人材もノウハウも社内にないことが原因です」(東出氏)
業種や職種を問わず幅広く対応
ASTERIA Warpを導入することで実現できるデータ連携とは、具体的にどのようなものか。企業システムの典型的なデータ連携といえば、会計やERPなどの基幹システムやSFAなどの各種支援システム周りだ。また最近では、クラウド同士の連携、表計算ツールと社内申請システムやクラウドとの連携も多いという。
例えば、旅館やホテルといった宿泊施設の運営を行う株式会社星野リゾートでは、ASTERIA Warpを介して会計システム、ホテルシステム、BIツールの連携を実現している。この事例の注目点は、エンジニア抜きでこのシステムを構築したという事実だ。
「星野リゾート様は、インフラシステムの構築には社内エンジニアを使わないというポリシーをお持ちです。IT専門の人材は、顧客体験価値創造のために高度な開発を担うべきだという考えです。したがって、プログラミング経験のない方が担当されましたが、わずか1か月間という短期間で開発できました」(東出氏)
また、柳井電機工業株式会社では、営業活動の見える化をASTERIA Warpによって実現した。スマホアプリからの営業報告の提出や取引先企業の情報閲覧、SFAとの連携など、DXを大きく推進できた。なお、営業担当者が使うスマホアプリのシステムは、アステリアが提供するアプリ開発のノーコードツールPlatioを使ってわずか3日間で開発されたものだという。
このように、ASTERIA Warpは業種や職種を問わず、さまざまなシステム・部署・業務でのデータ連携に利用できる。
最善の準備はDX人材化による環境づくり
ASTERIA Warpは、中小から大企業までその規模に関わらず幅広く対応できる。開発生産性や運用形態の違いごとにラインナップが用意されており、月額3万円から利用できる。データ連携に関わる機能に大きな差はないので、チームレベルでの試験導入も気軽にできる。メリットを実感できたらアップグレードして、社内での利用規模を拡大するというシナリオも可能だ。
あらためてDX推進のポイントを東出氏にたずねると、「目的を持つこと」と答えが返ってきた。しかし、この目的を設定すること自体が難しいのもDXである。さらに、仮に目的を設定できたとして、その実現にかなりの時間がかかってしまう。
「市場や顧客のニーズが変化しても柔軟に対応できる環境を用意しておくことが、最善の準備といえるでしょう。そして、IT人材不足の解消が難しい状況では、非IT人材を(IT人材ではなく)DX人材にするためのツールとして、ノーコードで開発できることは必須条件です。当社では、すぐにできる現場のデジタル化にはPlatio、システムや組織を越えたデータ活用にはASTERIA Warpというノーコードツールを用意しています。DXの推進において、システム開発は手段であり、目指すべき目的はその先にあります。いち早くそこに到達できるように、ツールを活用してほしいです」(東出氏)
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