ドイツ最大の経済地域・NRW州の貿易投資振興公社NRW.Global Business日本法人であり、日独の架け橋として大きな役割を果たす「NRW.Global Business Japan (NRWジャパン)」。同社で代表取締役社長を務めるゲオルグ・K・ロエル氏が、世界的にコロナ禍に揺さぶられる中、ドイツ、そして日本にこそ、デジタル時代ならではの成長余地があると語る。

 


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持続可能な社会と経済を構築するにあたって

 世界は今、地球温暖化という大命題から目をそらすことはできません。経済的発展との両立は、先進国をはじめ多くの国々にとって喫緊の課題であり、地球温暖化を抑制するためにサステイナブル(持続可能)な社会の構築は必須の条件です。実際にさまざまなチャレンジが始まっています。

 もちろんドイツにも先進的な取り組みがあります。直近では2020年7月3日、ドイツ連邦議会と連邦参議院が、2038年までにドイツの脱炭素を実現する法案を可決しました。石炭・褐炭の生産が多い連邦州に対して合計400億ユーロの支援が盛り込まれ、そのうちドイツ全16州中で人口、国内総生産共にトップのNRW州には148億ユーロの資金を投じられることになっており、脱化石燃料を目指していきます。

「脱化石燃料」の取り組みは、とりもなおさず「脱炭素」「持続可能な社会」に向けて不可欠なステップです。われわれがゴールとして見据えているのは、太陽光・風力などの自然エネルギー活用、そして、資源的にも安定供給が期待できる水素をエネルギー源とする社会です。これはまさにエネルギー革命そのものと言えるものです。

 ドイツは今、この持続可能な社会構築に向けて大きな動きを見せています。先ごろ掲げた「水素社会戦略2020」では、2019年末にEU委員会が決定した「欧州グリーン・ディール」とも協調し、施策を展開しています。「欧州グリーン・ディール」は、EUとして2050年までに、温室効果ガス排出を実質ゼロとする「気候中立」の達成を目指すもので、当座のマイルストーンである2030年に向けて、EU気候目標の引き上げや、それに伴う関連規制の見直しなどを行動計画に盛り込んでいます。

 そこに、日独の連携の証を見て取ることができます。一例として挙げられるのが、NRW州における旭化成の取り組みです。同社はNRW州に、「グリーン水素」(自然エネルギーで発電した電力によって精製された水素)を生み出すパイロットプラントを設置しました。

 また、ドイツから再生可能エネルギーで日本市場への参入を図る動きも活発です。風力や太陽光など、再生可能エネルギーの発電量が、およそ10ギガワットにも及ぶドイツの最大手エネルギー企業グループであるRWE(所在地:NRW州エッセン)傘下のRWE Renewablesが日本法人を設立、その知見を生かした洋上風力発電施設の準備を進めています。こうして、持続可能な社会・経済の実現に向けた日独協働の動きは始まっており、今後もさらに深化していくはずです。

日独コロナウイルスへの挑戦とデジタル革命

 今世界は新型コロナウイルスに大きく揺さぶられています。その中で人類は、「新しい常識」を身につけるため、日々試行錯誤を重ねています。ここでもNRW州と日本のコラボレーションが期待されています。われわれNRW.Global Business Japanは、両国の研究機関、大学のキーパーソンを引き合わせ、ワクチンや治療薬の開発などに向けて、課題解決の場を積極的に創出していきたいと思っています。

 一方でコロナウイルスとの闘いは、さまざまな局面でデジタルテクノロジー活用の必要性を痛感させることになり、デジタルトランスフォーメーション(DX)を一気に進化させるきっかけになりました。DXがビジネスの可能性を飛躍的に広げ、もしコロナが終息しても、以前の世界に戻ることはないでしょう。

 そのDXのけん引役となるテクノロジーがAIと5Gです。ものづくりの現場に限らず、今や生活のあらゆるシーンに張り巡らされたIoTデバイスから取得した膨大なデータは、5Gをはじめとした次世代通信網でクラウド上に集められ、AIによってわれわれに新たなインサイトを与えてくれます。

 国連が呼び掛ける「持続可能な開発目標」(SDGs)は日本でも良く知られるようになっていますが、この中で大きなテーマの一つとして掲げられているのが、冒頭で触れた地球温暖化による気候変動です。その影響は年々大きくなり、台風や豪雨災害は、各地で大きな爪あとを残しています。もちろんその被害は日本だけには収まりません。アジア、アメリカ、ヨーロッパと、地球規模の災害となっています。

 共にモノづくり大国である日本とドイツは、手を携えて持続可能性の高い社会の構築によってこのテーマ解決のために大きな力を発揮するに違いありません。そのために、われわれは、両国の橋渡しとして、これからも力を注いでいきたいと考えています。

NRW.Global Business Japan / (株)エヌ・アール・ダブリュージャパン 代表取締役社長
ゲオルグ・K・ロエル氏

ドイツ ノルトライン・ヴェストファーレン州(NRW州)
ヨーロッパの中央に位置し、オランダとベルギーに隣接する欧州屈指の経済圏。州都デュッセルドルフをはじめとした大都市が複数あり、ドイツ16州の中でも人口および人口密度はトップ。多くの日本企業が進出していることでも知られており、現在約670の日本企業がNRW州に拠点を構えている。州単独でのGDPは、EU加盟諸国との比較でオランダに次ぐ7位ときわめて大きく(1位はドイツ)、ドイツの投資拠点No.1を誇る。

NRW.Global Business Japan(株式会社NRWジャパン)
ドイツNRW州貿易投資振興公社NRW.Global Businessの日本法人(所在地:東京都千代田区。ドイツNRW州経済省100%出資)であり、主なミッションは、日本から同州への企業誘致・進出のコンサルティングとNRW州企業の日本市場参入のサポート、また同州のマーケティングを行う。1992年設立。

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