「人生100年時代」と言われる中、単に長生きするだけでなく、人生の質が問われている。心身ともに満たされ、人生に前向きな状態を英語では「Well-Being(ウェルビーイング)」と言うが、ウェルビーイングは、人生の充実感・幸福感を測る尺度とも言い換えることができる。
満たされた人生の定義は個々人で異なるだろうが、お金が重要な要素であることは想像に難くない。このほど「ウェルビーイングはお金と密接に関わっている」との調査結果を発表したのが、世界最大※1の資産運用会社、ブラックロックだ。この調査からは、資産形成のために投資に踏み出した人の方が、ウェルビーイングを強く感じる傾向があるということも分かってきた。オンライン証券大手SBI証券 商品開発部の福田由里加氏と、資産運用会社 ブラックロック・ジャパンの渡邉啓輔氏が専門の見地から解き明かした。
※1 出所:Willis Towers Watson, The world’s largest 500 asset managers(2019年11月)、グローバルの運用資産残高ベース
株式会社SBI証券
商品開発部 主任 福田由里加 氏
ブラックロック・ジャパン株式会社
ETF事業部門 ETF事業部 ヴァイス プレジデント 渡邉啓輔 氏
投資をしている人は
投資をしていない人よりも幸福?
福田 「人生100年時代」と言われるようになっています。長生きできることは喜ばしいことですが、気になるのはお金の問題です。ほとんどの方は、老後に備えて蓄えをしておかなければいけないという意識は持っていらっしゃると思います。しかし、「老後2000万円問題」が話題になったように、大きなお金をどうやって貯めればいいのか分からず、不安に感じている人も多いようです。御社の調査でも退職後の生活に対する不安は強いと指摘されていますね。
渡邉 当社が行った「世界の投資家動向調査」ですね。 この調査は、世界13市場の約2万7,000人を対象として実施したもので、世界では6度目、日本では4度目となります(日本では25~74歳までの1,000人(男性493人、女性507人)に対して、2018年7月から8月までオンラインで実施)。今回は特に、個人の資産とウェルビーイング(Well-Being:人生に対する充実感)がどのような関係にあるかを理解するため、深く掘り下げた調査を行いました。国や地域によってお金とウェルビーイングの関係は異なりますが、それでも、調査した全ての国・地域において、ストレスの原因は健康や家庭、仕事ではなく、お金であると答えた人が最も多く見られました。日本では52%の人が、お金がストレスの原因であると回答しています。
福田 調査の中で「お金の健康」という表現が随所に見られます。お金の健康がウェルビーイングに影響を及ぼすということでしょうか。
渡邉 日本人にとって、お金の健康とは、借金のないこと、日々の支出に困らないこと、不測の事態に備えることと捉えられているようです。その上で、お金の健康が自身のウェルビーイングに影響があるか尋ねたところ、「影響がある」と答えた人が76%と多い一方で、お金の健康状態を「良好」と答えた人は36%にとどまっています。また、日本人の67%が、「将来蓄えが尽きるか不安」だと回答しています。
福田 ストレスの原因がお金であるならば、それを取り除かなければいけませんが簡単ではないようですね。政府も「貯蓄から資産形成へ」との旗印を掲げてさまざまな施策を打っていますが、なかなか浸透していないようです。日本のお客様はリスクのある投資を敬遠する傾向があります。預貯金であれば元本は保証されていますが、投資は元本が減ってしまうかもしれない、それは避けたいということですね。投資においては、価格が下がることもありますが、上がることもある。リスクを取ることでリターンの期待も高まるということを理解することが大事だと思っています。
渡邉 現在の低金利環境が続けば、老後に必要な蓄えを預貯金だけで用意するのは容易ではないでしょう。まずは少額からコツコツと中長期に投資をすることで時間を味方に付け、リスクを分散した投資をすることが大切だと思っています。ところで、意外に思われるかもしれませんが、株式など現金以外の金融資産を保有していると答えた割合は、日本が53%で、米国が49%と、日本の方が米国よりも高いのです。ただ、投資している金額や投資対象の幅広さでは大きな差があります。
福田 米国の方が、投資が普及している印象がありますが、必ずしもそうではないのですね。
渡邉 調査は投資とウェルビーイングの関連性も示唆しています。例えば、「他の人よりも幸福感を感じているか」という質問に対し、投資をしている人は、投資をしていない人よりも20ポイント高い結果となりました。また、投資をしている人は、投資をしていない人と比較して「人生が充実している」と回答した割合が19ポイントも高くなりました。
さまざまな資産クラスに
分散投資ができるETF
福田 資産形成のための手法にもさまざまなものがあります。投資というと現物の株式をイメージされる人が多いと思います。ただし、先ほどお話ししたリスクの観点で言えば、少ない銘柄に絞って投資をすると、値下がりしたときに資産全体が大きな影響を受けます。リスクを抑えた投資のセオリーとして「投資対象の分散」「投資地域の分散」「投資タイミングの分散」などの考え方があります。そのセオリーにのっとった投資がしやすい金融商品もあります。ETF(上場投資信託)はその典型です。まだあまり知られていないのですが、低コストで柔軟に売買できるなど、いろいろな特色がありますね。
渡邉 そのとおりです。当社は「iシェアーズETF」というブランドでETF の運用を行っていますが、純資産残高、銘柄数ともに世界トップクラスの実績を誇っています。米国など海外では、多くの機関投資家、個人投資家がETFをポートフォリオに組み込んでいます。ETFは複数の株式や債券に投資を行いますので、投資対象が分散されます。例えば、多くのETFは米国の代表的な株価指数である「S&P500指数」のような指数への連動を目指して、その指数が組み入れている銘柄に投資を行います。投資家がこれらの銘柄全てに投資することは容易ではありませんが、ETFを通じてそれが可能になります。さらに、ETFの信託報酬率(経費率)などのコストは他の金融商品に比べて低い傾向にあります。また、ETFは証券取引所に上場しているため、株式のように取引時間中はいつでも売買できます。銘柄によっては1口あたり数千円と少額で始めることができるのもメリットの一つといえるのではないでしょうか。
福田 ETFは大きく分けて、国内上場ETFと海外上場ETFがあります。SBI証券は、海外ETFのうち米国の証券取引所に上場しているETFも取り扱っています。
渡邉 米国は改めて言うまでもなく世界で最も時価総額が大きく流動性も高い市場です。当社が運用するETFの中にはS&P500指数への連動を目指すものがありますが、文字どおり米国の大型株を含む500銘柄に分散投資するのと同じ効果が期待できます。海外上場ETFはこのように外国株式に投資するETFの他、外国債券、REIT、金や原油などのコモディティといったさまざまな投資対象のETFがあります。日本にいながら、多様な資産クラスにアプローチできるのも大きな特徴といえます。ちなみに、海外上場ETFの取引通貨は外貨建て(米国ETFの場合は米ドル建て)です。
「ETF定期買付けサービス」なら
便利に低コストで投資ができる
福田 米国ETFは数多くの銘柄があります。選び方のポイントはありますか。
渡邉 投資家によって投資スタイルや目標が異なるので一概には言えませんが、一般的にはS&P500指数に連動するものなどを長期的な視点でコアに据え、社債、新興国の株式、テーマ型などのETFをサテライトにして機動的に投資するのがセオリーとされています。相対的に高い利回りを狙いたいということであれば、優先株式に投資するETFなどを組み合わせるのも一つの方法です。
福田 「投資対象の分散」「投資地域の分散」に加えて「投資タイミングの分散」を図る方法では、当社が提供している「米国株式・ETF定期買付サービス」の利用が有効的です。これは、お客様の設定に応じて、毎月好きな日に好きな銘柄を設定した口数または設定した金額以内で自動買い付けすることができる、米国株式や米国ETFの新しい投資スタイルです(米国ETFは1口単位)。円貨でも自動的に外貨に両替されて買い付けができますし、もちろん外貨(米ドル)での買い付けも可能です。毎月給料日後に忘れずに買い付けをしたいといった方や、雇用統計など重要な指標発表後に買い付けをしたいという方、更にはボーナス月を設定して、追加買い付けをすることもできるので、サービス開始以来多くのお客様にご活用いただいております。定期的に一定金額ずつ買い付けすることもできますので、ドルコスト平均法の恩恵を受けることが可能になります。
渡邉 ETFを使って投資対象や投資地域の分散をし、定期買付サービスで投資タイミングを分散することで、買値の平均化も図ることができますね。
福田 また、NISA、ジュニアNISAでは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。さらに、当社ではNISA、ジュニアNISA枠で米国ETFを買い付ける際の取引手数料は無料となっています。
渡邉 もともとETFは相対的にコストが低く、当社が運用するETFも経費率が業界最低クラスといったものがいくつもあります。御社のサービスを利用して、そのメリットを生かしてほしいですね。
福田 投資というと、どうしてもある程度年を重ねてからというイメージがありますが、ぜひ若い人にこそ始めてほしいですね。毎月1万円からでもコツコツと続けることで、時間を味方にして資産を形成することができます。1銘柄でも投資をすると、経済のニュースなどにも敏感になり投資に対するリテラシーも上がります。
渡邉 お客様のウェルビーイングと資産形成は切っても切り離せません。とはいえ、なかなか最初の一歩踏み出せないかもしれません。ETF を利用した中長期の資産形成をまずは少額からでも始めていただきたいですね。それにより、より良い人生、実りある人生を実現していただきたいと思います。
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