あらゆる業種・業界の企業や組織がIoT(モノのインターネット)の活用を目指している一方で、その概念の大きさや広さ故に、大規模な企業や組織、ベンチャーや先進的な企業が実施するものと捉えている中小企業も少なくない。「経営効果の見えないものに手を出すリスクは取れない」「専任の人材がいない」などの理由で投資に踏み切れないでいる企業も多いだろう。そんな中小企業のために生まれたのが「amnimo sense beta(アムニモ センス ベータ)以下、amnimo sense」である。「とにかく手軽に始められる 」をコンセプトに開発した産業用IoTサービスだ。同社の池上大介氏に開発の経緯やサービスの特徴、中小企業におけるIoT活用の意義などについて聞いた。

IoTの取り組みで後れを取る中小企業

 IoTは、ネットワークを介したモノにまつわるデータの活用を通じて現場の課題を解決する、あるいは新しい価値を創出する概念であり、昨今では、あらゆる業種・業界の企業や組織において、IoT活用の取り組みが進展しているといわれる。一方で、その概念の大きさや広さなどから、企業規模で格差が生じているのも事実だ。

 日本能率協会コンサルティング(JAMC)が実施した「第4回ものづくりIoT実態調査」によると、IoTの取り組み状況は、中小企業が大企業や中堅企業を下回り、さらに過去3年では、中小企業は低下傾向にあるという。「推進組織がない」「企画検討の手段が分からない」「開発投資の余力」というのがその理由だが、ヒト・モノ・カネの経営資源で劣る中小企業が本格的なIoT投資に踏み出せないでいる姿が浮き彫りになった格好だ。

 中小企業の労働生産性は、製造業・非製造業ともに大企業の半分以下といわれる。

出典:経済産業省 中小企業庁発行 中小企業白書2018
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 業務効率を高めて、労働生産性を引き上げるには、IoTやAIをはじめとした先端的なデジタル技術の導入が有効だと考えられるが、「IoTは大規模な企業や組織、ベンチャーや先進的な企業が実施するもの」と捉えている中小企業の経営者は少なくないだろう。「経営効果の見えないものに手を出すリスクは取れない」「専任の人材がいない」「どこに相談したらよいかわからない」などの理由から投資できないでいる企業も多い。

中小企業にも簡単に使えるIoTサービス

 そうした悩みを抱える中小企業のために生まれたのが、産業用IoTサービスのスタートアップ、アムニモが開発した「amnimo sense」である。「中堅・中小企業でも、“とにかく手軽に簡単に使える”をコンセプトとして、導入に関わる部分をすべてパッケージ化しました。センサーからのデータ取得・収集用のデバイス、通信、データ保管の運用までの必要な機能がすべて含まれるサービスで、月額課金のサブスクリプションモデルで提供します」。こう話すのはアムニモのサービス企画担当、池上大介氏。

アムニモ株式会社 マーケティング担当
池上 大介氏

 アムニモは横河電機の100%子会社で2018年5月に発足した。「IoTを使った新しいビジネスモデルを検討するなかで、非ミッションクリティカルな領域で、“測る”ことをサービスとして提供する“Measurement as a Service”のアイデアが生まれました。企業の現場で、これまで“測る”ことができなかったために課題となっていたところに対して、小規模から、安く始められるようなIoTサービスを開発し、日本企業の過半を占める中小企業にも手軽に利用してもらいたいと考えました」。サービス開発の経緯について、池上氏はこう説明する。

 ユーザー企業は、アムニモのECサイトを通じてサービスを申し込むと、センサーに接続するLoRa搭載送信器「エンドポイントデバイス」とLoRaの親機にあたりクラウドにデータを送信するゲートウェイの2つのハードウエア(機器)が送られてくる。お客様で必要なセンサー機材を用意していただければ、スタートアップガイドにしたがって機器の接続、設定を行い、機器に貼り付けているQRコードをスマホの専用アプリで読み込むことで、データの取得は自動的にスタートする。IoT通信用の携帯電話回線やクラウドにかかる契約申し込みは不要で、システムのセキュリティ・運用監視もサービスにパッケージされているので、専門的な知識がなくても、簡単な接続ですぐにIoT活用が始められる。

簡単接続ですぐに利用開始

 月額利用料金は、1測定点あたり1,000円から。Eコマースサイトでユーザーが選択するエンドポイントデバイスとゲートウェイの台数、携帯電話通信容量、ユーザー数に応じて課金される仕組みとなっている。例えば、10ユーザーで30測定点(エンドポイントデバイス30個)、1回線あたり100MB利用の場合、月額利用料金は約4万円となる(ただし、センサーはユーザー自身が用意)。

 さらに、具体的にどんなデータを取得し、どう活用すればわからないというユーザーに向けては、IoT版のレシピをウェブサイト上に掲載中だ。「どのような業種・業務で、どのようなセンサーや機材を使えば、どんなデータが取得できて、それを活用すれば、業務改善や課題解決につながるといった事例と具体的にお客様で用意いただく機材と構築手順を、料理のレシピサイトのように紹介していきます」(池上氏)。

 たとえば、医療分野では病院内の保温庫用温度監視・記録レシピを紹介する。ISOの監査対象にもなっている医療機器向け保温庫の温度監視・記録は、これまで現場に人が行って、温度を測定し、台帳に記録していたが、温度センサーを活用すれば、お客様のスマホや職場のPC上から監視・記録が可能になる。湿度センサーを加えれば、温度だけでなく湿度の遠隔管理も可能だ。

 工場向けでは、電流センサーや重量検知センサー、侵入検知センサーなどを用いて閾値を検知し、可視化も可能だ。ユーザーは自社の用途に応じて、センサーをあらかじめ用意する必要があるが、レシピサイトを見ればどんな種類を選択すればよいのかも一目瞭然だ。また、今後はお客様に代わってレシピの機材を設置するインテグレーションパートナーなどさらにユーザーが導入しやすいメニューも検討していく予定だ。

小さな投資で始められ、結果もすぐわかる

 「IoTは新たな価値創造のためのツールとも言われますが、それよりも中小企業にとって切実なのは、現場の業務改善や課題解決でしょう。中小企業こそ『リーンIoT』でそこにチャレンジしていって欲しい」と池上氏は力を込める。

「新しい取り組みには当然、コストがかかります。小さな金額で始められて、すぐに結果を得ることができれば、中小企業でも導入しやすいでしょう。その点、amnimo senseは、月額課金のサブスクリプションモデルですし、最短1カ月単位で利用することもできます。大きな投資をすることなく、数カ月程度の実証実験も可能ですから、スムーズに実利用フェーズまで進んでいただけるのではないでしょうか」。

 アムニモでは、2019年6月中旬よりamnimo senseによるIoTサービスを開始。今後はマレーシアを起点として、東南アジア、欧州でも現地企業や日本の現地法人向けにサービスを展開していく予定だ。

 さらに、企業が抱えるさまざまな課題解決に応えるべく、応用サービスを協業で開発していくパートナー「Value Added Partners」も順次拡大していく。すでにケミカルポンプメーカーの株式会社イワキとの協業し、工場などの生産設備用ポンプの異常動作を検知、通報するソリューションの「pump guard(ポンプガード)」の試験サービスを開始した。

【アイデア例】ポンプ異常時の迅速な対応とデータに基づいた根本対策ができる

 「あらゆる業種・業界の企業がパートナーになる可能性があると考えています。既存のビジネスにIoTを組み合わせてサービス化することで、新しい価値を提供していきたいとお考えの方々と積極的に協働していきたい」。池上氏はこうメッセージを送った。

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