フィンテック先進国では「信用度を活用したサービス」が広く普及しつつあるが、「日本はまだまだ」と考えていないだろうか。しかし、国内でも先進的な企業によってサービスが始まっている。日本で活用できるサービスは、どういうものなのかさっそく試してみた。そこから見えたものとは。
信用度を活用したサービスって?
アメリカや中国などのフィンテック先進国では、個人の信用度をスコアリングする仕組みの普及が加速している。キャッシュレス大国である中国では、特にその動きが顕著だ。銀行のAPI開放もあり、キャッシュレス化が徐々に進む日本でも、2018年からメガバンクや通信事業者、IT系企業などがスコアリングへの参入を表明、市場が徐々ににぎやかになりつつある。
しかし中には「監視社会を助長しかねない」など、ネガティブなイメージを持つ人がいるかもしれない。中国などの社会信用システムと混同している人も少なくないようだ。
個人の信用度を活用したサービスとはどんなものか。例えば、中国では信用度が高いと判断された人は、就職や転職活動、婚活などのマッチングサービスで有利になったり、審査のあるサービスに受かりやすくなったり、サービスを低いデポジットで利用できたりと、さまざまなメリットを享受できる。
では、日本国内におけるスコアリングサービスは、どうなのだろうか。先駆けは、みずほ銀行とソフトバンクにより設立されたフィンテック企業「J.Score(ジェイスコア)」の「AIスコア」だ。2017年9月、国内でいち早くサービスが開始された。特徴は、利用料が無料であり、スマホを使ってわずか2分程度で試せること、ニックネームなど個人を特定しない情報によって信用度を算出できることにある。信用情報機関に記録が残ることもなく、データはユーザーが任意で入力するので安心。興味深いのは、趣味嗜好、ライフスタイルの情報記入によってもスコアが変動するということだ。「AIスコア」は中国のスコアリングサービスとも一線を画する独自のサービスとなっている。
「AIスコア」にトライ!
チャットで質問に答えるだけで完了
さっそく自分の信用度を算出してみようと思う。
“はじめまして。あなたのスコア診断のお手伝いをさせていただきます“
“ここでは個人を特定する情報の入力は不要です”
最初に迎え入れてくれたのはチャット画面。AIスコア診断のチャットボットがユーザーに話しかけてくる。最初にニックネームを決めたら、生まれた年月や性別、最終学歴、あとは現在勤める会社のことや家族構成を回答していく。設問の多くは選択式で、全部で18問程度ある。
ここまでの入力にかかった時間は2分。すぐにAIスコアが算出される。
こちらが診断結果。AIスコアは「830」だった。
ただ、「たった2分間でAIスコアが算出される」ことはほんの入り口。ポイントは、情報が多ければ多いほど分析の精度が上がり、AIスコアが変動していくこと。これをウオッチすることで自分の成長を自覚し、キャリアマネジメントにも役立てることができそうだ。
情報を追加すればスコアの精度が向上
スコアとともに自らが成長していく楽しさ
項目として並ぶのは、生活・情報連携・性格・ウォレット・ファイナンス・追加プロフィールなどだ。これら全てに回答する必要はなく、追加したい項目のみ回答すればよいようだ。設問の途中で「これは回答したくないな……」と思ったときは「回答しない」をクリック(スキップ)して問題ない。
そして、海外のスコアリングサービスとの違いで最も大きな特徴なのが、アプリ版にのみ実装された「ハビットチェンジ」。ここでは「毎日の運動習慣」「継続的な学習習慣」「規則正しい睡眠習慣」「意識するお金の習慣」といったトピックが並び、「1日8000歩を歩く」「アプリ内に積読された推薦図書を読む」「規則正しい生活を実践する」「支出内訳と自己投資金額を記録する」……といった“ハビットチェンジ”(習慣化)でスコアが可変するというものだ。
これまでのスコアリングサービスは「過去」や「現在」の情報からスコアが算出されていたが、ハビットチェンジによりこれからの自分の行動次第でスコアが変化する。つまり「未来」の行動でスコアが変化するという画期的なものだ。J.Scoreの目指しているスコアリングサービスは中国の社会信用システムとは異なることが分かる。
スコアリングサービスどのような価値を見出して活用していくのか——。J.Scoreはこんなキャッチフレーズを掲げている。
「毎日は 自分が変わるチャンスに あふれてる」(J.Score公式ホームページより)
スコアの変化を自己成長の指標として、市場価値を高めていってもいいし、時代の変化に応じて求められる能力を予測しながら目標を変化させてもよい。場合によっては、「AIスコア・レンディング」も活用して、留学や資格取得などスキルを高める資金を調達してもいいだろう。「AIスコア」は、自分の成長や可能性を見える化し、これからの“キャリアマネジメント”をより具体性のあるものにしてくれそうだ。
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