身に着けるたびにうれしく、誇らしい気持ちになる、そんな腕時計に出会えた人は幸運だ。
ドイツ製時計の聖地・グラスヒュッテで生まれたNOMOS(ノモス)は、
ビジネスパーソンにとってそんな「運命の一本」になる腕時計。
それはなぜか? 腕時計ジャーナリストの渋谷康人氏が、この冬登場の新シリーズの魅力とともに分析する。
腕時計は「時を知る道具」ではなく
その人のパーソナリティーを伝えるアイテム
街角やオフィス、家の中、そしていつも持ち歩く携帯電話。身の回りには時刻を教えてくれるアイテムがあふれている。腕時計がなくても時間が分かる時代になった。それなのに、高級な機械式腕時計を求める大人は増えている。
(タンジェント ネオマティック 39)
理由はただ一つ。腕時計に対する私たちの意識が、「時を知る道具」から「自分のスタイルやセンス、価値観を表現するアイテム」になったからだ。
男性にとって、特にビジネスパーソンにとって、腕時計は「自分を表現するアイテム」として大きな意味を持っている。それは、スーツや靴などで自分のスタイルや個性を表現することが、意外と難しいことを知っているからだ。
しかし腕時計なら、袖口からのぞかせるだけでさりげなく、印象的に自らの存在をアピールできる。一本の腕時計が、その背景にあるブランドの哲学や個性を介して、持つ人のセンスや考え方まで語ってくれるのだ。決して声高に主張することはない。でも、伝わる人には他の何よりも伝わるメッセージがある。
だから多くのビジネスパーソンは、心の底から愛着が持てる「運命の一本」に出会いたい、と常に考えている。「腕時計に対してそこまで考えたことはない」という人は、今日がその日になるかもしれない。
時計ブランドの中でも別格の存在感
腕時計ブランド「NOMOS」の信念
まだ「運命の一本」に出会っていないなら、ぜひ心にとどめてほしい、一度は手にしてほしい時計ブランドがある。ドイツの一番東側、かつて銀鉱山で栄え、今はドイツで最も優れた時計づくりで知られる山麓の街グラスヒュッテで、1990年に創業した機械式腕時計ブランド「NOMOS」だ。
グラスヒュッテの時計産業は19世紀半ばに始まった。アメリカやスイスの時計ほど知られてはいないが、独自の発展を続け20世紀初めごろには世界最高水準に到達した。
一時は停滞したが、東西ドイツ統一をきっかけに、この地域の時計づくりの伝統を継承した高級時計の製造が再び行われるようになった。高級時計の代名詞であるスイス時計とは一線を画した独自のメカニズム、スタイルで、ドイツ国内はもちろん、世界にその名を知らしめている。
NOMOSはそんなグラスヒュッテの時計ブランドの中でも別格の存在だ。
「Metro neomatik 39(メトロ ネオマティック 39)」
時計王国スイスでも、またグラスヒュッテでも、機械式腕時計の外装、つまり文字盤やケースはその地域の伝統的なスタイルを踏襲した古典的なものが主流だ。
ところがNOMOSは90年の創業から、こうした復古調のアプローチではなく、現代的でシンプルな外装デザインの腕時計をつくり続けてきた。
デザインは、アートでも文化でも世界をリードする国際都市ベルリンにある100%子会社「ベルリナブラウ」が手掛けている。
華美な装飾を廃し合理的で機能的なデザインを追求した「バウハウス」(世界の芸術・建築に多大な影響を与えた伝説のデザイン学校)の精神を継承・発展させていることから「バウハウス ウォッチ」と呼ぶ人もいる。
彼らにはバウハウスこそスイスとは違う、ドイツの腕時計が継承・発展させるべきスタイルだという信念がある。
NOMOSは、モダンな外装デザインを追求するだけではない。その一方で、時計の中身、つまりムーブメントについては、グラスヒュッテの時計づくりの伝統への敬意、その技術やスタイルの継承・発展に力を注いでいる。
2015年には、ゼロから薄型自動巻きムーブメント「DUW3001」を完成させた。量産されている自動巻きムーブメントの中でも、最薄クラスの3.2ミリという際立つ薄さを誇り、さらに自社開発の「ノモススウィングシステム」を搭載する。
この巻き上げ機構は効率が高い上に、過剰な巻き上げによる主ゼンマイの破損を防ぎ、安定した高精度を実現するものだ。またムーブメント全体が、グラスヒュッテの伝統で、時計愛好家が絶賛する3/4プレート様式でつくられている。
これは、歯車やバネ、カムなどの部品を個別に固定するのではなく、剛性の高い、ムーブメントの面積の3/4にも及ぶ大きな1枚のプレートで固定するもの。個別に固定するより、格段に高い工作精度が要求される。
NOMOSは、ムーブメントの価値や独自性という点でも、世界中の時計愛好家から一目も二目も置かれる存在なのである。
現代のビジネスパーソンのために生まれた
「At Work」シリーズが12月上旬登場
NOMOSが世界に誇る自社製ムーブメント「DUW3001」を採用した新作コレクション「At Work(アット ワーク)」が、この12月1日から発売される。
(オリオン ネオマティック 39)
工業デザインの世界をリードするドイツらしい現代的でシンプルでクールなデザインと、ドイツ・グラスヒュッテの伝統と最新技術。NOMOSの2つの魅力が高い次元で融合した、新しい機械式腕時計コレクションだ。
モデル構成は丸型ケースの「タンジェント」「メトロ」「オリオン」、そしてスクエア型の「テトラ」の4種類。ケースの厚さは7.20ミリから8.65ミリの間という薄型で、スーツの袖口にも美しくフィットする。
モデル名の通り、働く人に似合う。それぞれに3種類の文字盤カラーが用意されており、どのモデルにも「現代を生きる人の腕時計は、現代の工業製品らしく、シンプルでミニマム、機能美を追求したデザインであるべきだ」という、NOMOSの創業以来の変わらぬポリシーが貫かれている。
(テトラ ネオマティック 39)
しかも、腕時計を外してケースを裏返すと、無色透明なサファイアクリスタルを通して、グラスヒュッテの伝統と最新技術から生まれた美しいムーブメントの姿、時を刻む整然とした動きを眺める楽しみもある。
特にシルバーカットモデルのシックな表情は、大人の落ち着きと高級感にあふれ、“働く男”にぴったりな装飾といえる。
流行や個性を強く主張し過ぎるアイテムは好きになれない。モノ作りの姿勢に共感でき、機能的で洗練されたものを愛する。
そんなビジネスパーソンに、このNOMOSの新作「At Work」は、「運命の一本」になるに違いない。
渋谷 康人(しぶや・やすひと)氏
時計評論家、文芸編集者。月刊モノ情報誌「GoodsPress」と同誌の増刊・時計専門誌「世界の本格腕時計」の副編集長。
スイス2大時計フェアを継続して取材し続けるエキスパートとして、新作腕時計から時計ブランドの工場取材、さらに時計業界の動向までをウォッチ、男性誌、カード誌を中心に多数の雑誌の記事を企画・取材・執筆する。
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