これからの住宅はZEHが当たり前
トレンドに敏感なビジネスパーソンなら、ZEHという3文字のアルファベットを見たことがあるだろう。Zero、Energy、Houseの頭文字を並べ、ゼッチと発音することの多いこの単語は、文字をそのまま解釈すると、創り出すエネルギーと消費するエネルギーが、年間を通じて見たときにプラスマイナスでゼロとなる、エネルギー的に地産地消の住宅のことを指す。ただし、そこで営まれる生活は、暗くなっても照明を点けないとか寒くても暖房を使わないといったような、過剰な節約や我慢とは無縁のものだ。
「現実的なZEHとは、快適な室内環境を保ったうえで、できるだけ省エネを可能にし、消費するエネルギーは創り出す住宅のことです」
そう話すのは、芝浦工業大学建築学部建築学科の秋元孝之教授だ。建築設備などを専門とする秋元教授は、ZEHが注目されている背景には、地球環境問題への取り組みが進んでいることがあるという。
芝浦工業大学 建築学部 建築学科 秋元孝之教授 1963年東京都生まれ。1988年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻修了。カリフォルニア大学バークレー校環境計画研究所に留学。博士(工学)、一級建築士。清水建設株式会社、関東学院大学工学部建築学科を経て、現在、芝浦工業大学建築学部建築学科教授。専門分野は建築設備、特に空気調和設備および熱環境・空気環境。著書に「最新 建築設備工学」(共著、井上書院)、「サステイナブルハウジング」(監修、東洋経済新報社)、「CASBEE入門」(共著、日経BP社)、「床吹出し空調Q&A 104の質問」(共著、理工図書)、等がある。
「昨年、パリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で野心的な合意がなされたことはすでに報道されているとおりです。日本は2030年までに、二酸化炭素の排出量を2013年比で26%削減するという目標を提出しましたが、その実現には、ビルや住宅などからの二酸化炭素排出量を4割削減しなくてはならないと言われています。ですから国も、目標達成のためにZEHの普及を進めているのです。現在、ハウスメーカーや工務店の販売する家がすべて耐震基準をクリアしているのと同様に、2030年には、ハウスメーカーや工務店の販売する家はすべてZEHになっているはずです」
秋元教授が委員長を務めたZEHロードマップ検討委員会での検討を経て2015年に資源エネルギー庁により公開されたZEHロードマップにもそのような記載がある。つまり、ZEHではない家は、近い将来には過去の遺物になっているのだ。
ZEHで暮らせば健康になる
さらに、ZEHで暮らせば、それまでの家での生活に比べて光熱費を抑えられるというメリットもある。生活者にも国にも、ZEHはメリットをもたらす存在と言える。
秋元教授はそのZEHの実現には、3つのポイントがあるという。
そのうちの2つは省エネに関すること。
「まずは、住宅が高い断熱性能を持つこと、それから高効率の設備を備えることです」
断熱性が高いとは、外気温の影響をできるだけ受けずに、快適に過ごせる室温を保てること。壁や屋根に断熱素材を使ったり、春や秋など、過ごしやすい季節には自然の光や風を取り入れたりすることで実現できる。
「ZEHでの生活は健康寿命を長くするという実験結果もあります。リビングや寝室だけを快適な温度に保っていても、トイレや脱衣所が寒いなど、温度差があると血圧の急激な上昇、等を引き起こすことがあるからです。イギリスには、居室も非居室も室温を18度以上に保つというルールがあるのですが、それも居住者の健康を考えてのものです」
断熱性能の高い家なら家のどこでも快適な温度が保たれる。住宅のZEH化は、そこに住む人の健康状態にも貢献するのだ。
また、高効率の設備とは、省エネ性能に優れた家電など。エアコンひとつをとっても、数年前のものと最新のものとでは消費電力量に対する暖冷房の効率が大きく異なる。
「家庭でのエネルギーは、暖冷房、照明、それから給湯にそれぞれ3分の1ずつ使われているので、すべてを見直すとかなりの効果が実感できるでしょう」
ポイントの3つめは、創エネにある。
住宅での創エネの基本は太陽光発電
「風力は設備が大がかりになりますし、地熱は工事に多くの費用が必要になりますから、家庭における創エネの基本は太陽光発電です。すでに自宅の屋根などにソーラーパネルを設置して自家発電し、固定価格買い取り制度(FIT)を利用して売電をしていた方も多いでしょう。ただ、買い取り価格が下がってきたこともあり、脱FITし、自宅で発電した電力は自宅で使いたいと考える人も増えているのではないでしょうか」
発電した電気を売る場合と、自宅で使う場合とでは、大きく異なる点がある。
「発電した電気をすべてオンタイムで使うのは難しいので、賢く貯めて、時間差で使うことになります。その時に必要なのは、蓄電池です。地域や季節によって発電量は異なりますが、基本的には1日単位で溜めて使うことを考えると良いでしょう」
ただ、家庭用蓄電池には200万円を超えるような“高額”という印象がつきまとう。
そこに風穴を開けるのがLooopだ。同社は基本料金が無料の電気小売事業『Looopでんき』などで知られる企業だが、ソーラーパネルや蓄電池の開発・販売、自社発電も行っている。そのLooopが2017年4月、家庭用の蓄電池『Looopでんち』の販売受付を開始した。日本製で、10年間の無償保証が付きながら価格は89万8000円(消費税、工事費等別)と蓄電池にしてはかなり手ごろで、容量は4.0kWh。同社の試算によると、太陽光発電と組み合わせれば、停電時でも1日あたり、冷蔵庫を24時間使い、テレビを5時間見て、LED照明を5時間つけ、スマートフォンの充電もできる容量だという。
これなら、明るい間に発電して貯めた電気を、夜の間も不自由なく使える。また、『Looopでんち』には人工知能(AI)が搭載されている。ここには、同社がこれまで発電事業者・小売電気事業者として培ったノウハウが込められており、各家庭ごとに天候に応じた発電量の予測と、電力の使用状況をAIが学習し、電力の経済効率が最適化される設計となっている。
仮に家庭での電力が不足して小売電気事業者から買うことになっても、ユーザー向けのお得なプラン『Looopでんき+』に加入していれば、格安で電気を購入できる。
快適な家は非常時に強い家でもある
こうして自宅で電気を創り貯められるようにしておくこと、自宅をZEHに近づけておくことは、非常時の備えとしても重要だと秋元教授は指摘する。
「東日本大震災では広い範囲でライフラインが断絶しましたが、住宅技術評論家の南雄三さんの調査によると、3月の青森や岩手、宮城であっても、断熱性の高い家で暮らしていた人たちの多くは、暖房を使わなくても寒さに困らされることがなかったと答えています」
※参考資料
http://www.t3.rim.or.jp/~u-minami/class%20archtect/lifeline.pdf
普段を快適に過ごせる家は、非常時にも頼りになる存在なのだ。こういった事実は、これまでのリフォームの概念を変えていく。
「これまでのリフォームは、すでにある家をより良く変えて次の世代に渡すためのものでした。しかし今のリフォームは、快適に過ごせる、健康状態が良くなる、災害時にも頼りになるなど、現在そこで暮らす人にもメリットをもたらすものになっています」と秋元教授。
これから新築住宅の購入を検討している人はもちろん、すでに所有する自宅の改良を考えている人は、ぜひZEHを意識し、非常時に強く、コスト面でも健康面でもメリットがある快適な家造りをしてはどうだろうか。
■Looopの住宅用太陽光発電システム「LooopHome」はこちらから>>
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