JBpress読者向けに実施した「投資」に関する調査アンケートによると、回答者の7割以上に投資経験があることがわかり、その目的として資産形成だけでなく自己研鑽が多く挙げられていた。ビジネスパーソンにとって、投資は当たり前に行うものであり、自己啓発ツールとしての役割も果たしているようだ。

 しかし、投資に必要な情報収集に使用するデバイスは、PC・新聞紙・スマートフォンが上位を占めており、60%以上がタブレットを保有しているにもかかわらず、「タブレットを既に保有または今後保有したいと答えたユーザー」の3分の2以上が経済情報の収集には使いこなせていない現状も明らかとなった。

 確かに、情報の信ぴょう性にこだわらなければ、ネットニュースのキュレーションアプリなど、手軽に情報収集をする手段はある。日々の時事ネタやマーケットの値動きを追うだけなら、それだけでも事足りるだろう。だが、マクロ経済や金融の知識を底上げし、長期的な金融リテラシーを養うには、J.P.モルガン・アセット・マネジメントが提供するタブレット専用アプリ「J.P.モルガンInsightsアプリ」のような“プロの眼”が不可欠だ。

 そこで今回はJ.P.モルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジストとして同アプリの日本版コンテンツの制作を担う重見吉徳氏に、Insightsアプリの有効な活用法と、2017年の投資判断において注意すべきポイントを聞いた。

7割以上のビジネスパーソンが投資をする理由

——読者アンケートによると投資経験があると回答した方が7割以上という結果だったのですが、この数字についてどのように感じましたか?

重見 一般的な感覚で言えば、予想よりも少し多かったかなという印象です。JBpressの読者にとっては、“やらないことはリスク”という感覚なのではないでしょうか。

 やはり投資をするメリットは、世の中の動向に詳しくなるということもありますし、長期的に資産を形成していくことが、将来の子供の学費や自分たちの老後にとって重要になってきますので、このような認識をお持ちであることはとても良いことだと思いますね。

——投資をする理由についての質問では、資産形成に次いで「情報感度が高まりビジネスシーンで役立つ(24%)」「自己啓発や普段の学習に役立つ(24%)」と回答が続きました。やはり投資は自己研鑽に役立つのでしょうか。

J.P.モルガン・アセット・マネジメント
グローバル・マーケット・ストラテジスト
重見 吉徳氏

重見 それは間違いないです。特に若い世代や小さな子供がいる世帯にとっては、多額の資金を投資に振り向けるのは難しい状況にあると思いますので、投資をしても資産形成に与える影響はさほど大きくはないのかもしれません。

 しかし、新聞という教科書に書いてあることを知識として持っているところから一歩踏み込んで、投資という実践の場で経験を重ねることで、経済政策や保護主義、外交や移民政策など、政治が市場の動向に与える影響を肌で感じられるようになります。

 少額からでも投資を始めることで、「投資を始める→世の中の動きに敏感になる→マーケット情報を肌で感じる→投資で小さな成功体験をする→さらに知識を身につけようとする」という好循環が回りやすくなる。アンケートで自己研鑽と回答された方も、自分自身への投資につながっていると、実感されている部分が大きいのだと思いますよ。

「リアル二刀流」で2017年の荒波を乗り越えろ

——2017年はトランプ大統領元年になります。このような政局が大きく動く場面において投資をすることは、初心者にとってリスクにはならないのでしょうか。

重見 実際、トランプ政権が現実味を帯びてから、日本の株式市場が上がったり、円安が急速に進んだりして、日本株のみならず海外の資産へ振り分けようという意欲が高まる傾向にあるなど、すでに影響は出てきています。

日本株式のTOPIXとドル円の動きがわかる「Insights」の画面
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重見 とはいえ、私がいつもお伝えしているのは「マーケットの中に常に居てください」ということです。初心者によくありがちなのは、利食いをしたり、一番損しているところでマーケットの外に出てしまうことです。

 非常に短期的な投資をするなら話は別ですが、長い目で見れば、大きなイベントがあろうとなかろうと、常にマーケットにいることが重要。大きなイベントに耐えられるよう、長期的な視野を持ちながら、分散投資でリスクヘッジをしたほうが、最終的に良い結果が得られると思います。

——このように世界経済の見通しが難しい中で、2017年はどのようなポートフォリオを組めばいいのでしょうか。

重見 2017年は「リアル二刀流」の年になると予測しています。つまり、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手の“打ってよし、投げてよし”のように、“攻めてよし、守ってよし”という意味で、個人投資家は「攻め」と「守り」を兼ね備えた資産運用を心がけたいということです。

 具体的には、株式のようなキャピタルゲイン(値上がり益)を取れるものに投資してアップサイドを狙いながらも、円ヘッジした先進国債券でインカムゲイン(利息収入)を確保しながらダウンサイドリスクにも備えておくと。まさに分散投資という二刀流でバランスをとることが有効であると考えています。

——アンケートでは「損するのが嫌だから投資はしたくない」という声も聞こえましたが、キャッシュだけで資産を保有することが、逆にリスクになることはないのでしょうか。

重見 あります。キャッシュは景気後退になっても上がってくれませんから、何かあったときに資産価値が一気に下がってしまい、その損失を被ってしまいます。そんなときでも上がってくれる資産を同時に保有していれば、資産価値の下落を相殺してくれます。

 ただ、先進国の国債をヘッジせずに持ってしまうと、どっちも下がってしまうので意味がありません。円ヘッジして国債を持つと期待リターンはゼロになるのですが、景気後退に備えるという意味では、キャッシュよりも円ヘッジした国債を持つほうが、資産運用のメリットははるかに高いと思います。

 個人投資家の方はややもするとリスク資産だけに偏りがちなので、少し円ヘッジ付きの国債に振り分けてもらえれば、すごく良いポートフォリオが作れるのではないでしょうか。

タブレットだからこそ、できること

——重見さんは普段タブレットを使って情報収集されていますか?

重見 はい。正直に言って、タブレットの有用性は実際に使ってみて初めてわかることではあると思いますが、私自身タブレットを使うようになって、非常に生産性が高まっていると実感しています。いざタブレットを使ってみると、スマートフォンの小さな画面で細かい数字を見るのはストレスになってきますし、新聞や雑誌よりもタブレットのほうが随分と持ちやすいです。

 自分でもInsightsアプリでマーケットや経済の動向を確認していますし、必要な情報があればInsightsアプリ内のフォルダにまとめておいて、お客様に提示しながら解説するといった使い方もしています。フォルダの中には必要なページだけを取り出して、順番も好きなように並べ替えられるので、ただ受け身に情報を受け取るだけでなく、それを取捨選択することによって、“自分にとってこの情報がどんな意味を持つのか”といった思考力も鍛えられると思います。

 紙と違ってタブレットは周辺情報にアクセスしやすいので、気になったたんごキーワードをInsightsアプリ内で検索したり、チャートや関連レポートを見るだけでなく、解説の音声やビデオも視聴できるので、多面的に投資判断をする上で役立っています。

 

投資判断に役立つ情報をビデオ視聴でも得られる投資判断に役立つ情報をビデオ視聴でも得られる
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——重見さんのようなプロの方が活用されていると聞くと少し腰が引けてしまうのですが、Insightsアプリは投資初心者でも使うことはできますか?

重見 もちろんです。様々な投資経験のレベルに合わせた使い方ができるよう、できるだけ基本的な情報を載せていますので、世界経済や世界の金融市場の動きについて、基礎的なところを学びたいという方にも最適です。タイトルや目次を見て、ご自身の興味のあるところから開いてみてください。

 また、あえて自分たちの見通しは含めず、客観的で“公平な情報”を載せていますので、「マーケットのプロはどのようなところを見ているのか」という視点で見ることで、ビジネスにおける先見の明や投資における冷静な判断力を養っていただけると思います。

投資がビジネスパーソンとしての価値を高める

——最後に、今年ビジネスパーソンが備えておきたいスキルとは、何でしょうか。

重見 与えられた情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、疑いの目を持ちながら自分自身で調べて確認する姿勢でしょうね。これまでの投資は、一面的な情報に左右されてきた感が否めません。そこを何とか変えていきたい。このInsightsアプリで世の中の金融リテラシーを底上げしたいのです。

 2017年は何が起こるかわかりません。変化が起こる可能性が高い年だと思いますから、このようなときに投資を始めることは、いろんな経験ができる好機だとも言えます。その変化を身近に捉えるためにも、ぜひInsightsアプリで情報を取得しながら、ビジネスや投資にお役立ていただきたいと思っています。

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本記事内のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点におけるJ.P.モルガン・アセット・マネジメントの判断を示したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を示唆・保証するものではありません。

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