首都圏も近畿圏も300キロ圏内に持つ静岡県は、数多くの製造業の拠点、物流の要所として知られている。その静岡県の物流インフラは今後5年のうちに強化される。その恵まれたインフラを企業活動に活用してほしいと言うのは静岡県政策企画部部長代理の佐藤典生氏だ。静岡市と共同で国際物流総合展2016に出展する静岡県の取り組みについて聞いた。
静岡県を「便利に使ってもらいたい」
「静岡というと、みかんやお茶というイメージが強いことでしょう。しかし、それだけではありません。多くの企業の方に静岡県を知ってもらい、便利に使ってもらいたいと思っています」
静岡県西部の遠州織物を使った「ふじのくにシャツ 武襯衣(むしゃ)」を身にまとった佐藤さんは、国際物流総合展2016へ静岡市と共同で出展する理由をそう語る。
部長代理
佐藤 典生氏
静岡県は東西をつなぐ東名高速道路と新東名高速道路がいち早く開通し、また清水港・田子の浦港・御前崎港からなる通称駿河湾港をはじめとした海運の拠点や、県の中央部分に位置する富士山静岡空港等の整備により、広域物流ネットワークが形成され、物流の便に恵まれた地となった。
陸・海・空と全方位的に充実した物流インフラを持つ静岡県は企業立地件数が多く、2001年から2015年の累計は1,148件に上っている。この数字は全国で1番だ。その背景には、静岡県が積極的に企業を誘致していることも挙げられるだろう。静岡県では更なる支援策として今年度より、本社機能の移転に対して不動産取得税や法人事業税(3年間)を、95%減免するなどの優遇措置を打ち出し、本社機能の誘致にも力を入れている。
来年度には南北の、2020年度には東西の物流が強化される
静岡県内に企業の数が増えれば物流量は増えることになるが、今後、インフラはさらに強化される。
「新東名は2020(平成32)年度に神奈川の伊勢原までの区間が開通し、東西を結ぶ大動脈が名実ともに2本になります。また、2017(平成29)年度には中部横断自動車道が開通見込みであり、長野県、山梨県とつながります。中部横断自動車道の最終地点は清水港ですから、静岡県だけでなく、山梨県、長野県でつくられたものが清水港から日本全国、そして世界へと届けられるようになるなど、南北の物の流れが変わることが予想されます。特にセミナーでは、プロジェクトチームを組んでの物流の課題解決支援について説明をする予定です。テーマはそれぞれ、人材確保・育成、生活支援、そして中部横断自動車道完成を見据えたネットワークづくりです」
人材確保・育成の取組とは、主に不足するトラックドライバー対策だ。ドライバーの高齢化や労働環境の厳しさからトラックドライバーの不足は全国的な問題となっているが、静岡県も例外ではない。静岡県では、課題の解決に向け、中小零細運送事業者の集団化等による人材確保・育成の促進に取り組んでいる。
生活支援の取組とは、人口減少社会に対する物流の視点からの対策で、山間部など買い物に不自由をしている人々の暮らす地域への貨物をバスに乗せて届ける試みなどが挙げられる。
「帰りの便にはその地域の特産品を乗せて運ぶことで、人口の多い地域での販売も可能になります。昨年、国のモデル事業として取り組みました。今年は新たな取組を掘り起こして進めます」
南北のネットワークづくりは「道路が完成してからでは遅い」と佐藤氏は言う。開通に先駆け、今年10月には清水港と大分港の間で、クレーンを使わずに港から港へ荷台ごと貨物を運べるRO-RO船が就航する。
「これにより、清水港は静岡県内だけでなく、長野や山梨でつくられたものを九州の市場へ運ぶゲートウェイにもなります」
防災先進県として新しい形の地域成長に取り組む
これら3つに加え、もうひとつ静岡県がプロジェクトチームを組んで進めている取組がある。それは、災害時の緊急物資輸送だ。この必要性は、阪神・淡路大震災や東日本大震災、さらにはつい最近も熊本地震で再認識されたばかりだ。
静岡県と聞くと、南海トラフ地震などを想起する人も少なくないだろう。昭和49年に東海地震説が発表されて以降、静岡県では積極的に防災・減災に取り組んできた。過去37年間における地震対策事業の実績額は2兆2789億円にのぼり“防災先進県”として地震対策を進めてきた結果、学校・幼稚園施設や社会福祉施設の耐震率は全国1位となっている。
その防災・減災と地域成長を両立させた魅力ある地域づくりを実現するため静岡県は“「内陸のフロンティア」を拓く取組”を進めている。これは、防災・減災の充実と強化を進めるとともに、地域資源を活用した新しい産業の創出と集積を県内全域において行うというものだ。
「新東名高速道路の開通により可能性が広がる内陸・高台部だけでなく、沿岸・都市部においても、津波対策を最優先に進めるとともに、企業の誘致・定着を強化しています。
また、「企業に来ていただくということは、人に来ていただくということですから」と、自然と調和したゆとりある住宅地を整備するなど新しいライフスタイルの実現の場を作り出すことも、この取組の目的に据えている。詳細は、国際物流総合展2016でもPRする。
市町や民間事業者と連携しながら様々な取組を紹介し、商談スペースも用意しながら、多面的な施策をアピールする静岡県のブースにぜひ足を運んでいただきたい。
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【第12回国際物流総合展 9/13(火)~9/16(金)】は過去最大規模で開催予定。
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