アジア最大の物流・ロジスティクスの総合展である国際物流総合展2016が、9月13日(火)から16日(金)まで、東京ビッグサイトで開催される。出展者数も出展規模も過去最大となる今回の国際物流総合展の狙いについて、この展示会の事務局長である公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の寺田氏に聞いた。

ロジスティクスとはマネジメント

 ネット通販が急成長し、物流は日常生活にも深く関わる存在になった。しかしながら、少子高齢化に伴う労働力不足の深刻化は物流業界にも大きな影響を与えている。一方で、IoTやビッグデータの活用により、ますますの効率化が期待される。最新の技術・システム・サービスと、時代の変化によって生じる課題を解決する方策を一堂に集めた場として1994年から開催されているのが国際総合物流展だ。12回目の開催となる今年は、出展者数も出展規模も過去最大となる。メインテーマは「物流展で見つけよう ~課題解決のネクストステップ~」。この言葉に主催者側が込めた思いを寺田氏はこう語る。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会
理事 事務局長
寺田 大泉氏


 「物流を取り巻く環境は日々、変化しています。今回のメインテーマに据えた『課題解決のネクストステップ』という言葉には、物流環境の変化や発展する新技術への対応と、それに基づく新しいサービスを踏まえて、ロジスティクスをさらに高度化し、効率化したいという思いをこめています。最新のハード、ソフト、サービスが一堂に会する場ですので、来場者のみなさまの抱える課題を、個別具体的に解決するための情報が必ず得られると考えています」

 ロジスティクスには、未だにA地点からB地点までものを運ぶこという印象が強いが、その言葉でカバーされる範囲は広く、また、それぞれが深く結びついている。

「ロジスティクスとは、調達、生産、販売、場合によっては回収や廃棄といった活動を同期化するマネジメントのことです。必要なときに無駄なく行えるのが理想ですし、企業活動においては、サービスレベルとコストをバランスさせる必要もあります」

 

年々高まるロジスティクスの責務

 ロジスティクスの歴史を振り返ると、取り巻く環境とニーズの変化が見えてくる。

 1970年代は、オイルショックとスタグフレーションと呼ばれる急激なインフレに見舞われた。石油をはじめとする資源の制約は、わが国の産業構造の変化を促した。日本の産業を支えてきた重化学工業に加え、軽工業が急成長し始めると、運ぶものは小さく、軽くなり、その数は増えていく。大量生産・大量消費を伴う高度経済成長は物量を倍増させたのだ。この頃の物流の最大の課題はコストダウンだった。このような時代を背景に、日本ロジスティクスシステム協会の前身である、物流の専門団体が発足している。

 80年代に入ると、プラザ合意以降の円高を受け、企業の海外進出が進んだ。これにより企業の関心は貿易の円滑化や物流のグローバル対応に向くようになった。景気の好転に伴い、消費者ニーズの多様化が進んだのもこの頃だ。

 90年代は、多様化した消費者ニーズに対応するべく、多くの品種を消費者に届けるため、物流分野における自動化・機械化が急速に進展した時期だ。物流をめぐる規制緩和が行われ、物流における課題は、コストダウンから市場競争力の強化にシフトした。ロジスティクスは、企業活動において重要な経営課題として認識されるようなったのだ。第1回目の国際物流総合展が開催されたのは1994年。こうした時代の要請に対応してのものだった。

「また、90年代半ばは、物流が果たす社会的役割が注目された時期でもあります」

 1995年の阪神・淡路大震災を機にライフラインという言葉が広く認識されるようになった。我々の生活を支える電力やガス、水道とともに物流の重要性も広く社会から認識されるようになったのだ。

 2000年代に入ると、新興国の存在感が大きくなり、日本経済は激しいグローバル競争を強いられるようになった。団塊の世代が一斉に退職した2007年以降は、技術伝承や労働力不足も大きな課題となった。物流の現場ではその問題を解決するために、ICTの活用が進められた。国際物流総合展にも、この頃からIT系の企業の出展が増えている。

 2010年代になると、東日本大震災を契機にますます労働力不足は深刻化した。電子商取引の急拡大により、個人消費者における物流ニーズが高まった。クリックひとつで自宅まで必要なものが翌日届くことは、もはや当たり前である。こうした変化に伴い、自動運転やドローン、パワーアシストスーツなどの新技術にも注目が集まっている。物流に対する関心が高まっていることを反映してか、第12回目の開催となる国際総合物流展2016は出展者数も出展規模も過去最高となった。

  

ロジスティクスの課題は組み合わせで解決する

 これまで、国際物流総合展は、多くの企業に課題解決のきっかけをもたらしてきたが、その役割はますます大きくなっている。

「ロジスティクスはいくつもの活動を同期化させるマネジメントですから、さまざまな要素技術や、設備、システムを組み合わせることでしか高度化は実現できません。国際物流総合展は、最新のハード、ソフト、サービスが集結する場ですので、最新の情報をこの場だけで集めることができます。そこには、個別具体的な課題解決のヒントもありますし、セレンディピティ、つまり予期せぬ出会いや偶然の価値の発見も期待ができます」

 ロジスティクスのあり方は社会の変化に応じて変わってきたが、ロジスティクスが進化することは、社会をより良くすることでもある。

「日本国内には急激に進むグローバル化や少子高齢化、世界を見れば人口増加や食糧不足、エネルギーの枯渇といった課題があります。こういった課題解決に、ロジスティクスが果たす役割は非常に大きいといえます。事務局としては、この国際物流総合展が出展者・来場者双方の発展に寄与し、それが豊かな未来の構築につながることを強く望んでいます。そのためにもぜひこの展示会にご来場いただき、ロジスティクスの今を肌で感じ取っていただきたく思います」

 ロジスティクスに関わるすべての企業人には、国際物流総合展2016の各ブースを訪れていただき、ロジスティクスの今に触れ、見て、聞いて、感じて、課題解決のきっかけをつかんでほしい。

日本ロジスティクスシステム協会前回物流展の様子

来場者事前登録はこちら 

【第12回国際物流総合展9/13(火)~9/16(金)】は過去最大規模で開催予定。ご来場の予約は下記URLの「来場者事前登録」より、お申込みください。
http://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/

  

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