パーソナルトレーニングジムの事業を展開するRIZAP(ライザップ)の親会社で、およそ30社の企業を傘下に置く健康コーポレーションは今年(2016年)5月16日、7月1日をメドに純粋持ち株会社へと移行し、社名を『RIZAPグループ株式会社』に変更する方針を固めたと発表した。
RIZAPの勢いと、その根底に流れる理念をグループ成長の柱に据え、2017年度(2017年3月期)で1,000億円の売上げを目指す。
4年で営業利益が6倍
瀬戸 健・代表取締役社長
「我々が目指しているのは、“より輝いた人生”を送るための“自己投資”の産業で世界ナンバーワンになることです。
そのゴールに向けて、健康コーポレーションからRIZAPグループへの社名変更を決意しました」
こう語るのは、RIZAPの親会社である健康コーポレーションの瀬戸 健・代表取締役社長だ。
健康コーポレーションは、美容・健康食品の通販事業を展開する上場企業で、傘下にはRIZAPを含め37社のグループ企業を擁する。
そうした健康コーポレーションの「持ち株会社」の機能を残し、社名を『RIZAPグループ株式会社』へと変更、併せて美容・健康事業を受け継ぐ健康コーポレーション株式会社を新たに設立し、RIZAPグループ傘下に組み込む。
これが、健康コーポレーションが今年(2016年)7月1日をメドに予定する社名変更・体制変更の骨子だ。
この変化の中心にあるRIZAPについては、ことさら詳しい説明は不要だろう。
太り気味の男性・女性が筋肉質のスリムな体型へと劇的に変身する──。
そんなTVでのCMが話題を呼び、同社が展開するパーソナルトレーニングジムのサービスは一躍万人の知るところとなった。
また2010年の設立以来、RIZAPの事業は急激な伸びを続け、初年度で10億円だった売上げが一昨年度(2015年度)で約100億円、昨年度(2016年度)で約200億円に到達、「名実ともにグループの柱へと成長しています」と、瀬戸氏は言う。
RIZAPビジネスの急伸を背景に、健康コーポレーションの業績(グループ連結の業績)も急カーブを描いて上昇し、2013年度から昨年度までの4年間で売上高が3倍強、営業利益も約6倍へと膨らんでいる。
昨年度の売上高は約554億円強で、営業利益は50億円強。
その数字を、持ち株会社RIZAPグループを始動させる今期(2017年度)、売上高1,000億円/営業利益100億円強へと大幅にアップさせる計画だ。
また、この計画の中で、店舗数も現在の81店舗(国内75店舗/海外6店舗)から120店舗以上に増強、とりわけ海外での展開には力を注ぐという。
RIZAPが好調を維持しているとはいえ、売上高/営業利益を前年度の約2倍に拡大させるのは容易なことではない。
計画に無理はないのか──。
この問いかけに、瀬戸氏はサラリと答える。
「今年4月、5月の数字はすでに見えていますが、むしろ計画以上の結果が残せそうな勢いです。
しかも、健康コーポレーションは2006年に上場を果たした公開企業で、それを引き継ぐRIZAPグループも上場会社で、今期計画も我々の株主に対してコミットしたものです。
それを達成するのが我々の当然の責務ではないでしょうか」
人は変われる、変わることでより輝ける
瀬戸氏が、健康食品の通販事業者として健康コーポレーションを立ち上げたのは2003年のこと。
その後、「豆乳クッキーダイエット」と呼ばれるダイエット食でヒットを飛ばし、年商100億円の大台に乗せた。
それと連動させるように新会社の立ち上げやM&Aによって業容を拡大させてきたが、一貫して守ってきたのが、事業ドメインを「生活必需品」の提供には置かず、「自己実現」のための製品/サービスの提供に絞ってきたことだ。
ここで言う自己実現とは「顧客がなりたい自分になる」、あるいは、「もっと自信を持って人生を楽しめる自分になる」ことを意味している。
「そうした自己実現のための製品/サービスは、生きるために必要不可欠なものではありません。
だからこそ、利用者がなりたい自分に変われるような製品/サービスが求められるのです」と、瀬戸氏は語り、こう続ける。
「人は誰でも、何歳になっても変われます。また、変わることで一生輝ける。
我々はRIZAPを通じて、それを証明し、成功を収めてきましたが、このように“人は変われる、人の可能性は無限にある”ことを証明し続けることこそ、“自己実現・自己投資”の領域でビジネスを拡大させるためのカギであり、最大のミッションととらえています」
そのミッション遂行をグループ全体で推し進め、いずれは自己投資産業で世界ナンバーワンの地位を獲得する──。
そうしたねらいが、RIZAPグループへの社名変更の背後にはあるというわけだ。
“結果へのコミット”をすべてのグループへ
もう一つ、RIZAPグループへの社名変更には、RIZAPのサービス理念である“結果にコミットする”という成果報酬の考え方をグループ全体に波及させる意図もある。
瀬戸氏によれば、「結果へのコミット」とは、「顧客が求めているモノを必ず提供すること」と同義であり、それにこだわることで提供するモノの顧客価値が高まり、結果として、さまざまな分野のビジネスを成功に導くという。
好例の一つが、RIZAPのモデルを取り入れ、利用者のゴルフスコアを上げることにコミットしたレッスンサービス「RIZAP GOLF」だ。
このサービスでは、新規店舗がオープンした瞬間に申込者が殺到し、瞬く間に定員が一杯になる状況が続いている。
RIZAP GOLFのレッスン料金は、通常のゴルフレッスンより「2倍~3倍は高額」(瀬戸氏)という。
それでも顧客が欲しているのはレッスンそのものではなく、スコアを伸ばすこと。
その目的の達成にコミットしている点が、RIZAP GOLFの人気につながっていると、瀬戸氏は説明を加える。
健康コーポレーションではすでに2020年に向けた中期経営計画「COMMIT 2020」を打ち出し、連結売上高3,000億円/営業利益350億円という具体目標も掲げている。
RIZAPグループへの社名変更は、もちろんその目標達成のための布石だ。
「今回の社名変更の発表を機に、世の中をあっと驚かせるような取り組みを矢継ぎ早に発表していきます」と瀬戸氏は言う。
文字通り、同社の動きからは目が離せそうにない。
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