春の嵐が日本列島を襲っている。先週末は山形県の金山町に行った。今年は記録的な大雪でまだ2メートル以上の積雪がある秋田県との県境にある町である。ここでとれる杉材はその質の高さが日本一(世界一)とも言われている。
樹齢80年以上の木しか伐採しない
東京から山形新幹線に乗って終点の新庄まで行き、そこからはクルマ。福島までは順調だった新幹線も、強風のため福島と新庄間は往きが25分、帰りは35分も遅れた。東京から4時間以上かかった。
金山町では自慢の林業を育成するために開かれている金山杉サミットに参加した。サミット後には町が運営する森林交流館「木もれび館」で和かんじきの製作を体験。
自分で作ったかんじきを履いて積雪2メートル以上の山道を吹雪の中約1キロほど歩き樹齢92年の金山杉伐採作業を見学に行った。
金山杉は間伐を除いて樹齢80年以上の木しか切らないそうだ。良い材木を供給しつつ山をきちんと守り続けるためだという。
非常に寒く雪深い中でも、伐採作業は行われていた。チェーンソーで切り倒す杉の木に受け口を切り、その後反対側に追い口を切り、さらに横にも切り込みを入れて倒れる方向を安定させるために楔を打ち込み、最後に追い口側から最後のチェーンソーを入れて切り倒す。
切り倒された杉の木の断面は樹皮に近い部分は白みかかっているが、中心部はきれいなオレンジ色をしている。このオレンジ色が金山杉の特徴なのだという。
建材にしたときに、柔らかく温もりのある手触りが得られる一方で、構造材として強度が極めて高く、ひび割れが生じにくい。またシロアリなどの防虫性も高いそうだ。
金山町森林組合の方の説明によると、夏は高温多湿、冬は雪深くとにかく寒い、その厳しい自然が素晴らしい杉の木を育てるという。人間が住むにも大変な環境だが、世の中はよくできたもので、悪いことばかりではない。