“Win the hearts and minds (of the people)”という英語がある。

 意味は「人心を掌握する」、ベトナム戦争時代の米軍のプロパガンダだ。何とかベトナム民衆の心を掴み、米国に協力させたいという気持ちが滲み出ている。最近ではイラクやアフガニスタンでも使われた。元々は英国の政治家が1950年代のマレー半島で使った言葉だ。

 3月11日の東日本大震災2周年追悼式典に中国と韓国が欠席したことを知り、この“hearts and minds”という言葉を思い出した。中国外交のレベル低下については以前にも書いたが、今回は2周年追悼式典での台湾代表の献花を巡る「騒動」を取り上げたい。

台湾に対する待遇

東日本大震災発生から2年、陸前高田市で追悼式

岩手県陸前高田市で開かれた犠牲者の追悼式典〔AFPBB News

 発端は3月11日の式典で日本政府が台湾の代表に「指名献花」を認めたことだ。今回の式典で日本政府は台湾に「外交団・国際機関等」の席を用意したそうだ。

 さらに、出席した各国、在日米軍、パレスチナ代表部に続いて、台湾についても名前を読み上げたらしい。

 これだけ聞けば、何の問題もなさそうだ。もちろん台湾は「国家」ではないから、米軍、パレスチナの後に名が呼ばれて全く不思議はない。2年前に台湾から送られた義援金はダントツの250億円、台湾の人々の善意はこの金額以上に尊いものだった。

 それにもかかわらず、昨年日本政府は台湾に「指名献花」を認めなかった。もちろん、名前の読み上げもない。それどころか、用意された席は「外交団・国際機関等」ではなく、「その他」向けで一般民間団体と同じ扱いだった。日本国内でも「あまりに冷遇」と批判された。

 当然台湾は「今年こそ指名献花させてほしい」と要望したに違いない。日本政府も昨年の判断はバランスを欠いたと思ったのだろう。今年は台湾を「外交団・国際機関等」のカテゴリーに含め、名前を読み上げたうえで「指名献花」を認めたようだ。ここまでは当然だろう。

中国が欠席した理由

 ところが、これに対する中国側の反発はほとんど子供染みたものだった。各種報道によれば、3月12日、外交部の華春瑩報道官は次のように述べ、日本側の対応を強く非難したという(ちなみに中国語原文は未入手、微妙なニュアンスの誤りがあるかもしれない)。

●日本側は、今年の追悼式で、台湾の代表を各国からの外交使節団や国際機関の代表と一緒にした。
●日本政府の措置は日中共同声明の原則と精神、および日本側が台湾問題で行った約束に違反するものだ。

●台湾を国として扱い「2つの中国」を作り出そうとする企てには、いかなる国家であろうと断固として反対する。
●日本側に対しては、過ちを正し、約束を守るよう求める。