2月下旬、ボルボ・カーズは従業員を1000人削減すると発表した。同社は昨年秋に工場で働く1100人を解雇したばかりだが、今年の解雇はホワイトカラーをターゲットとしたものだ。同社の社長兼最高経営責任者(CEO)、ホーカン・サミュエルソン氏が同20日、スウェーデンTVのインタビューで明らかにした*1。
欧州市場における1月のボルボの販売台数は前年同月比で16.8%減と、スウェーデンにとってはショックな数字だった。
スウェーデン経済を脅かすボルボの不振
自動車はスウェーデンの基幹産業だ。2010年に中国企業に買収されたとはいえ、やはりボルボは依然としてスウェーデン人にとっては国民車であり、スウェーデン福祉国家をその両肩に担っていると言っても過言ではない。
ボルボが傾いたら、スウェーデン全体の経済状況に影響すると誰もが考えている。
ボルボ・カーズの本社があるヨテボリ・トシュランダを訪ねてみた。
今回の解雇が予定されている1000人は、エンジニアリングなどのコンサルタント職が大半だ。
そのうちの1人に声をかけ、話を聞いてみた。「心の準備はしていました」と話すのは、ケネス・ウィクベリさん。現在、ボルボの研究開発部門に勤めている。職場では近々人員削減がある、ということは周知の事実であったという。
「不安がないわけではありません。しかし再雇用されるチャンスはありますから」
ノルウェーやデンマークへの「出稼ぎ」も視野
ボルボは親会社である中国・浙江吉利控股集団と共同で、ヨテボリ・リンドホルメンに研究開発センターとなる新会社を設立する予定だ。新会社には中国とスウェーデンから合わせて技術者200人を雇用し、年内に稼働を開始する。ウィクベリさんが再雇用される可能性は十分にある。
しかし、雇用されなかったらどうするのか?
「ここで職が得られなければ、ノルウェーに行くかもしれません」
*1=http://www.svt.se/nyheter/sverige/1000-tjanster-bort-fran-volvo