津田さん(仮名)
前職 外資系コンサルティング会社 コンサルタント
外資系事業会社 経営企画
現職 株式会社ビズリーチ ビジネス開発部 部長

 

優秀な人が全力で働く職場環境。追いつきたいという焦りが成長を支えた

 大学卒業後、戦略コンサルタントになった津田さん(男性・30代)。28歳のとき、5年間のコンサルティング会社勤務を経て、外資系の事業会社に転職しました。もともと「20代は世の中の仕組みを広く知れる環境で過ごしたい」とコンサルタントを志望していた津田さんは、その「修業」を3年から5年で終えて事業会社に行こうと考えていたそうです。

「就職活動を始めるまで、コンサルタントという仕事がどんなことをしているのか知りませんでした。ただ、面談や面接で実際にお会いしてみると、皆さん知的好奇心にあふれた面白い方ばかり。日本のため、お客様のためにと、あらゆる業界を相手に仕事をしているところにも魅力を感じ、私もコンサルタントとして知見を広げたいと思うようになりました」

そして、実際にコンサルティング会社に入社すると「頭のいい人たちが必死に働いている環境」に衝撃を受ける毎日。帰国子女であることから、英語力、コミュニケーション力に自信を持っていましたが、「そんなのはツールのひとつでしかない」と痛感したと言います。

「世の中にはこんなに頑張って働いている人たちがいる。すごい人はたくさんいる。その衝撃は大きかったですね。帰国子女というだけで何かできると勘違いしていた自分が恥ずかしく、もっと働かないと到底追いつけないという焦りが生まれました。圧倒的な地頭の良さに加え、情報収集力、分析力、コミュニケーション力に長けた人たちに囲まれ、社会人としてさまざまな力を鍛えられる環境で20代を過ごせたのは、とても恵まれたことだと思います」

実際の業務では、行政からゲーム業界、建設機械業界まであらゆる業界のプロジェクトに参画。毎回アウトプットが違う案件にアサインされ、業界知見はもちろん、諦めない粘り強さや、周りを巻き込んで仕事を動かす突破力が評価されることも多かったそうです。

「求められるのは気力、体力、知力。海外案件では、現地の方とコミュニケーションがとれる語学力が必要条件でしたね」
 

「事業をつくる」側のひりひりした感覚が醍醐味

 コンサルタントから事業会社への転職を決めたのは社会人5年目。「自分が目指すキャリアは実業家」という初心に戻り、自分で事業を動かす経験をしたいと思うようになったそうです。「コンサルタントは、お客様のために現状分析に基づいた業務改善案を提示します。でも、実際に会社を動かすのはお客様。私は、その『動かす側』になるための修業としてコンサルタントという道を選びました。仕事は非常に刺激的でしたが、はやく自分で事業を動かす経験をしたいと思うようになり、知り合いから紹介された、外資系ベンチャーの事業会社に転職を決めたのです」

会社を「動かす側」になりたいという思い通り、経営企画として入社すると、営業、営業管理、審査部、編集部、CS、店舗向け窓口、パートナーマネジメント、管理系業務など、幅広く何でも担当。さらには、本国に週次の報告をする電話会議など、英語が必要となる業務にもほぼ携わったそうです。「本国からは、売り上げ状況を深く掘り下げて詳細まで聞かれます。それに対して数字的根拠をもとに的確に答えていく必要があり、とても大変でしたが、事業会社にいるからこそのひりひりした感覚、国をまたいで数字で議論を重ねていく経験は、私が欲していたものでした。コンサルタントの経験で鍛えられた、答えが出るまでとことん考え抜く持久力、リスクを承知で動いていく突破力が生きていることを実感しました」

しかし、その会社では新しいサービスを生み出すことを期待されておらず、つくられた事業を滞りなく運営し、KPIを最大化させることが求められたため、このままでは事業家としての経験を積めないと考えるように。35歳までに何をすべきかを考えたとき、起業か日系のアーリーベンチャー企業への転職か、という2つの選択肢が浮かんだそうです。そんなとき、会員制転職サイトを運営する株式会社ビズリーチと出合いました。「もともとビズリーチの代表である南とは遠い知り合いだったので、話を聞くことにしました。すると、日本では珍しいアントレプレナーシップを感じ、自分の想像を超えた人・会社と出会えたと直感。そのまま、ビズリーチへの転職を決めたのです」

現在はビズリーチで新規事業を立ち上げている津田さん。新規事業の立ち上げは、暗闇に頭から突っ込むようなものなので、コンサルタント時代に培った「諦めない心」が生きていると言います。逆に、コンサルタントの経験がデメリットになっていると感じるのは、リスクをいろいろと考えすぎてしまうとき。「新規事業は、合理的だから成功するというわけではありません。そこには突破力が必要で、できる理由から考える必要があるのです。リスクをとらないと承知で動かないと何も始まらないことを実感しています」

現在の仕事の面白さを「事業をつくる、主導権を持っている感触が醍醐味」と語る津田さん。コンサルタント時代、「もっとやらないといけない」と思わせてくれた周りの優秀なメンバーが、自分を大きくストレッチさせてくれたと話します。「コンサルタントは決して簡単な仕事ではありません。でも、全力で頑張っている人たちとともにプロジェクト経験を重ねることで、その後のキャリアの幅も大きく広がっていくと思いますよ」