企業の経営課題を分析し、適切な解決策によって業務改善を図る――。
コンサルタントは「賢くて知性にあふれる、企業のよき外部パートナー」というイメージがあります。では、実際に彼らはどのような仕事をしているのでしょう。分かったつもりで説明できない、そんなコンサルタントの業務をひも解きます。

 

コンサルタントとは「相談に乗ってくれる人」

 企業などから相談を受け、現状を観察して課題を見出し、助言や指導を行いながら企業に発展をもたらしていく。その一連の業務を「コンサルティング」といいます。コンサルタントは、その業務を行っているスペシャリストのこと。いわば、企業にとって頼れる相談相手です。
ひとえにコンサルタントといっても、経営全体を見る経営コンサルタントから、業種別の専門コンサルタントまでさまざま。企業相手のビジネスを行っていれば、具体的な商品やサービスを売る営業であっても、何らかの課題解決のために商品を提案することから「コンサルティング営業」などといわれることもあり、その業務内容、解釈は多岐にわたります。

そこで、代表的なコンサルタントの種類とその仕事内容を整理し、各コンサルタントにはどのような役割があるのか見ていきましょう。
 

企業のどこを見るのかで、コンサルタントの種類は変わる

 企業には、現代社会の中で生き残るための「戦略」があり、その戦略に基づいて業務が細分化され、遂行されることで成り立っています。企業の経営全体を見るのか、戦略を見るのか、または細分化された業務を見るのか、どこを担当するかによって、コンサルタントの「種類」が変わってきます。
 

■経営を見る「経営コンサルタント」

企業の経営上の問題全般を見る経営コンサルタント。戦略、IT、人事、財務などを含めた経営全般に携わり、各分野の専門家と連携をとりながら業務を進めていきます。それぞれの分野に専門のコンサルタントはいますが、何人もお願いすることが難しい中小企業では経営コンサルタントを立てることが多くなります。
 

■戦略全体を見る「戦略コンサルタント」

企業の経営戦略を練る戦略コンサルタント。M&Aでの企業統合のサポートなど、経営のトップレベルの課題を扱うこともあり、クライアントの多くは大企業。複数名のコンサルタントでプロジェクトを組んで推進することも多く、料金は高くなります。業務内容のみならず、人事や財務面まで企業の全体を把握し、細部まで情報収集、分析した上で、戦略立案を進めていきます。
 

■システムを見る「ITコンサルタント」

IT技術によって企業の課題解決に取り組むITコンサルタント。ITに関する知識はもちろん、マーケティングによる現状の分析が求められ、業務への深い理解が必要です。また、業務系のパッケージソフト(売り上げや原価計算ができるERPなど)を利用して業務改善を図るのも、ITコンサルタントの役割のひとつ。アプリケーションコンサルタントと呼ぶこともあります。
 

■間接業務を見る「人事、労務、財務コンサルタント」

企業には、直接利益を生み出す部門のほか、人事、労務、財務などの間接部門があります。この各部門のコンサルティングも、非常に重要な役割を担います。

【人事コンサルタント】
採用や社員のモチベーション・マネジメントなどによって組織の活性化を図る人事コンサルタント。採用に関するコンサルタントとしては、企業に発展をもたらす人材を調達する人材コンサルタントもいます。転職希望者と企業の間に立って最適なマッチングを行い、採用までの段取りを整えるなど、その業務内容はさまざまです。

【労務コンサルタント】
企業の社会保険や雇用保険、年金、給与や就業規則など、労務に関する業務全体の課題を解決していくコンサルタント。社員個人に関わる問題が多く、法律上の専門知識が必須となります。

【財務コンサルタント】
企業の財務状況を把握、分析し、課題を解決していくコンサルタント。資金繰りや資産計画の見直し、適切な節税対策の提案なども手がけます。


これらのほかにも、企業の業種別に専門コンサルタントは数多く存在します。
農業コンサルタント、林業コンサルタント、建築コンサルタント、ホテル・レストランコンサルタント、ブライダルコンサルタント……。あらゆる分野で「相談に乗る人」は必ず必要になりますので、枚挙にいとまがありません。

一概に「コンサルタント」といえど、どんな企業に対して、どのような分野で解決策を提案していくコンサルティングなのかによって、多くの種類があります。これからコンサルタントを目指される方は、その内容をしっかり見極めることが大切です。


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