民主党幹事長・小沢一郎の資金管理団体「陸山会」による土地取引事件で、東京地検は小沢の元秘書ら3人を政治資金規正法違反で起訴したが、小沢については嫌疑不十分で不起訴とした。しかし、元秘書らが起訴されたことに伴う小沢の政治的責任、あるいは監督責任、道義的責任は厳しく問われなければならない。様々な疑惑も残されたままであり、小沢は国会の場できちんと説明責任を果たすべきだ。(敬称略)

小沢氏、不起訴で幹事長続投

 小沢の幹事長続投は、民主党にとってマイナスとなろう。2010年7月の参院選への悪影響は避けられない。鳩山内閣や民主党に対する支持率にもよるが、いったんは沈静化した幹事長辞任論もいずれ再燃しよう。小沢不起訴で全てが終わったわけではない。

 2010年2月5日、各紙の一面記事の大見出しは「小沢氏不起訴」と「朝青龍引退」。朝青龍は引退に追い込まれたが、小沢は幹事長辞任を決断するには至らなかった。

 角界と政界を比較するつもりはないが、こうした奇妙な感慨にとらわれたのは筆者だけではないだろう。そう思っていたら、みんなの党代表の渡辺喜美は「朝青龍だって辞めてるんですから・・・」とテレビのインタビューに答えていた。ある意味でさすがの反応である。

 朝青龍はけじめをつけたが、小沢はけじめをつけずに幹事長居座りを決め込んだ。この判断は当然と言えば、当然なのかもしれない。小沢本人の刑事責任は問われなかったから、参院議員会長の輿石東に言わせれば「何で辞任しなければいけないんだ」となる。

首相「党の人事をうんぬんする状況でない」

 しかし、不起訴になったとはいえ、小沢は自らの資金管理団体の政治資金をめぐる事件で、元秘書ら3人が起訴された事実を重く受け止めなければならない。

 「国民の皆さま、また、同志の皆さまにご迷惑とご心配をお掛けしたことを心からお詫びを申し上げる。私は不起訴という知らせをいただいた。公平公正な検察当局の捜査の結果と受け止めている」

 2月4日夜、小沢は民主党本部で記者団に淡々と語った。自らの進退に関しては、「幹事長の職責を返上しなければならないとは考えていない」と述べ、幹事長続投の決意を示した。