森林の“厄介者”が生み出した新たな食材ビジネス

美味しいタケノコと悩ましきタケ(後篇)

2018.04.20(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 乾燥機は乾シイタケづくりに使われてきたもの。乾タケノコと乾シイタケの生産期は重ならないため、休ませておくだけだった乾燥機を乾タケノコの生産期に使うことができる。「乾タケノコのシーズンは20日ぐらい。24時間連続でフル稼働させます」。

 愛媛県産の乾タケノコの用途は、現在のところ王将のメンマ向けがほとんどだが、上川さんは将来的には、さまざまな用途に拡大できるものと見ている。他県からも学校給食の食材にならないかといった話があったという。チャーハンの具材などにも使えそうだ。「学校給食や家庭料理の食材にも、また、お菓子の材料などにも使えるものと思っています。研究や食品開発が起きてくればと期待しているところです」(上川さん)。

乾タケノコをつくる。(左上)節や硬い部分は除いてカット。(左下)カットしたタケノコを鍋に入れて湯がく。(右)エビラに並べて乾燥機で約1日、乾燥させる。(写真提供:愛媛県森林組合連合会)

 愛媛県では森林組合が主体となり、乾タケノコ生産の担い手を増やそうとしている。上川さんも講習会の講師となり、乾タケノコの作り方を竹林保有者や乾シイタケ生産者などに教えている。

 複数の生産者が携わることでの課題も生じる。品質の維持はその1つだ。硬い部分や黒ずんだ部分は出荷しないようにしているが、その判断は生産者の主観によるところが大きい。「指を水平に挿して、プチンと切れれば柔らかい証拠だからそこは食べられると伝えています」(上川さん)。

 ほかに、県では見た目の色で判別する方法の確立に取り組んでいるというが、黄色い可食部のような色でも下のほうは硬いことなどもあり「はっきり色だけで識別するのはむずかしい」とも上川さんは言う。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。