腸内細菌はダイエット法論争に終止符を打つのか

『ダイエットの科学』で食による健康法を再考する

2018.03.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
人間の体には100兆個もの腸内細菌がいる。共生しているといっても過言ではないようだ。

 栄養過多の時代、ダイエットに取り組んでいる人は多い。マクロミルが全国の15〜59歳の男女1000人に調査したところでは、現在ダイエットをしている人が27.4%、過去にダイエットをしたことがある人が37.8%に上ったという。

 ダイエット実践中の人は、今やっている方法が適切なのかに興味を持つことだろう。本コラムでも、「痩せたければダイエットをするな」という逆説や、「筋肉増量のダイエット効果」の幻想など、ダイエットをめぐるいくつかの言説を伝えてきた。

 これらの記事もそうだが、断片的なダイエット法の情報は巷に多くある。そんな中で、分厚くて読み応えのあるダイエット本が出版されていることを知った。ティム・スペクター著『ダイエットの科学』だ。

 ダイエットをめぐる「神話」の一掃を試みるとともに、自分の体という「庭」と、その庭に住んでいる微生物たちを管理することの大切さを述べた本であることが、読んでみると分かる。

ダイエット法の「神話」の真実を明らかにする

ティム・スペクター著、熊谷玲美訳『ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く』(2017年4月、白楊社刊)。430ページ。原題は“The Diet Myth”(ダイエットの神話)。

『ダイエットの科学』の著者ティム・スペクターは、英国ロンドン大学キングスカレッジの遺伝疫学教授。双子を対象とした研究の権威として知られる。一卵性と二卵性それぞれの双子で体の特徴などを比較し、ある特徴について一卵性の双子のほうが強い類似性を持てば、その特徴には遺伝子が大いに関係しているとする考え方をもとに研究をしてきた。指揮する研究では、世界最大規模となる1万3000人の双子を対象としてきたという。

 著者自身が「この本で実現したかったのは、ダイエット法や食べ物にまつわる無数の神話の真実を明らかにすることだった」と述べるように、ダイエット法をめぐり根強く広まる言説の数々を、科学的根拠をもって検証していく。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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