とかく減量といえば、「これは食べない」と食べものを断つダイエットを人はしようとするが・・・。

 年末から年始にかけては「ダイエット欲」が高まる時期だ。忘年会や年末休暇でつい食べすぎて反省し、年が明ければ「一年の計は元旦にあり」と一念発起して食事制限にいそしみだす。これからの数週間、そのように過ごす人もいるだろう。

 だが、世間には「体重を減らすためにはダイエットをすべきでない」とする論があるのをご存じだろうか。「“太る原因の食べものを食べない”という誓いは立ててはならない」というのだ。

減量成功へのカギとなる「意志力」

 この“アンチダイエット”減量法とでもいうべき理論と方法は、ロイ・バウマイスターとジョン・ティアニーの共著書『WILLPOWER 意志力の科学』(渡会圭子訳、インターシフト刊、原題“WILLPOWER”)で述べられているものだ。

WILLPOWER 意志力の科学』(ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー共著、渡会圭子訳、インターシフト刊)

 バウマイスターは米国フロリダ州立大学社会心理学部の教授で、意志を研究対象とする心理学者。ティアニーはジャーナリスト。共著書だが、基本的にはバウマイスターの研究や知見を、ティアニーが紹介する形をとっている。

 ダイエットの本論に入る前に、書名にもある「意志力」とは何かを、説明しておきたい。

 意志力を定義するような記述はないが、近い意味で使われているのが「自己コントロール能力」だ。自分で自身の欲望などを抑える能力、つまりは自制する力といってよい。