腸内細菌はダイエット法論争に終止符を打つのか

『ダイエットの科学』で食による健康法を再考する

2018.03.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 日本でも世界でも人気があり、実践者の多いダイエット法が、肉は食べてよいが米や麺は避けるべきとする「高タンパク質・低糖質ダイエット」だ。著者は、体重が落ちていきやすいことを認めつつも、脂肪の蓄えを補充しようとする体を「いつまでもだまし続けることはできない」と述べる。ダイエット経験者で、10%以上減った体重を12カ月以上維持したことがあると答えた人は6人に1人以下といった論文データも示す。

大豆の良し悪しをめぐって「激しい議論」も

 一貫的な主張として感じられるのが、人が手を加えすぎた食は健康の足しにはならないということだ。

 スナック菓子やファストフードの揚げものに多く含まれるトランス脂肪酸(米国では添加禁止となった)は、健康な体に欠かせない短鎖脂肪酸に影響を与えるなどして、体に「混乱状態を生じさせる」。食事とは切り離されたビタミンサプリメントは、有効性がないか種類によっては体に害があるとする報告などから「悪影響を与える可能性がある」。また、ダイエット飲料に含まれるアスパルテームなどの人工甘味料は、カロリーを余計に取る結果になった研究などから「味覚受容体をだまして摂取カロリーを増加させている」と述べる。

 他にも、ダイエットや食と体の関係をめぐって再考させられるような話を提供する。

 ココナッツ油やパーム油などに多く含まれる飽和脂肪酸については、複数の研究を統合した分析から、心臓病リスク上昇を示す関連性は見られなかったとする結果を示すなどして「何が何でも避けるべき悪者ではない」と結論づけている。

 また、大豆については、認知症予防効果などのエビデンスを挙げる一方で、成分のイソフラボンがホルモン反応経路を混乱させたり遺伝子を改変させたりする可能性も示し、健康に良い・悪いをめぐって「激しい議論が交わされている」と述べる。大豆は、私たち日本人の食生活に縁の深い食材であり、気になるところだ。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

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