和食展で来場者を待ち受けるクロマグロの模型。(筆者撮影、以下同)

 お正月はお雑煮やおせち料理など和食を食べる機会が多かった。あらためて和食や伝統食のよさを見直した人も多いのではないだろうか。

 いま、東京の上野公園にある国立科学博物館では「和食~日本の自然、人々の知恵」が開催されている。2020年春に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行で延期されてしまった。3年たち、ようやく開催の運びとなった。

海外でも注目される和食

 和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて10年たった。登録をきっかけに和食がずいぶん注目され、海外の和食(日本食)ブームのきっかけにもなった。

 ここに登録された和食とは、料理そのものではなく、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた食に関する習わしとされている。北は北海道から南は沖縄までと南北に長い地形をもち、四季のある日本は多様な気候風土をもつ。その地域に根差した食材を用い、自然の恵みをいかした食文化を育んできた。

 和食展では、第1章の「和食とは何か」から始まり、「列島が育む食材」「和食のなりたち」「和食の真善美」「わたしの和食」「和食のこれから」まで、6つのコーナーに分かれて、科学や歴史の視点から和食の魅力を探る。

 国立科学博物館らしい展示は、やはり「列島が育む食材」のコーナーだ。水、キノコ、山菜、野菜、魚介、海藻、発酵、だしの順番でさまざまな標本やレプリカが展示されている。会場の中心には巨大なクロマグロの模型が私たちを迎えてくれた。