腸内細菌はダイエット法論争に終止符を打つのか

『ダイエットの科学』で食による健康法を再考する

2018.03.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

ダイエット法が大きく変わる日が来る

 筆者は体重増が気になり、何度かダイエットに挑んだことがある。その方法は、本書でやや批判気味に扱われている低糖質ダイエットだ。確かに、体重を減らせてもリバウンドはするので、体を「いつまでもだまし続けることはできない」と実感はする。

 ただし、こうした従来のダイエット法を完全に捨て去る気まではなれない。体重が減っている最中はうれしいし、目標達成できたらなんとか体重を保てるのではとつい考えてしまうからだ。

 そうではあるが、一方で、本書によって腸内細菌を中心に考えるダイエットも大切だと気づかされたのもまた確かだ。著者の「自分の体内に未知のパラレルワールドがあることに気づくだけで、食事との向き合い方が心理的なレベルで変わる効果がある」という言葉は印象的。多様な食品を摂ることを心がけて、自分のよき相棒たちに働いてもらおうと考えるきっかけとなる。

 体内にすむ腸内細菌の種類は、個人によって大きく異なるという。自分の腸内細菌の状態を調べることは、お金を払えばもはや不可能ではない(訳者は米国の検査サービスを100ドル未満の額で受けたそうだ)。

 技術の進歩により、自分の腸内細菌の状況を調べた上で、自分に適した「庭」の育て方、つまり食事の方法などを明確にし、体重を落としたり、健康を維持したりすることが当然になる日も遠くないかもしれない。そんな未来になったとき、ダイエット法は大きく変わっていることだろう。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。